大魔王の美術館と怪盗団 TQJS-00007
2020年11月19日発売
メーカー希望小売価格 5980円+税
発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
https://toio.io/titles/kaitoudan.html
3歳児くんの保護者をやっております盛田諒ですこんにちは。ソニー「toio」を親目線で遊ぶ「お父さんのtoio日記」第5回はボードゲーム系の最新作「大魔王の美術館と怪盗団」を遊びます。
桃鉄における「ボンビー」のようなおじゃまキャラが自動的に動く、新世代のボードゲーム。いわゆる知育玩具の堅さがまったくなく、ゲームとして面白いです。1人でも3〜4人でも遊べる内容で、実は先日メディア対抗戦ということでボードゲーム通のライターさんと3人で遊んできました。
私の戦績自体はひどいもので「ボドゲのプロ相手に勝てるわけねーし」とクソのような負け惜しみを吐くほどでしたが、大きなお友達がガチで盛り上がるほど完成度が高いことはわかりました。確率要素もあってボドゲ初心者も楽しめる内容。ソニーが子どもをボドゲ沼にひきずりこみにきました。
●大魔王から美術品を取り戻せ
あらためて、toioは本体にソフトを入れて遊ぶゲーム機のようなおもちゃ。電車のつり革のようなコントローラーと「キューブ」というサイコロ状のロボットで遊びます。キューブにはルンバ顔負けのセンサー入り。ラジコンのように動かすだけでなく自動走行もできるのがポイントです。
ではソフトが入ったピザのような箱を開けていきましょう。
じゃらじゃらじゃら。ソフト以外も色々出てきましたね。
ジグソーパズルのようにバラバラになった盤面を「マップガイド」を参考に組み立てて遊ぶのですが、まずはチュートリアルの「ルールブック」をやっていきます。一冊丸ごとチュートリアルってのが豪華ですね。
はじめにプレーヤーカードを用意します。
プレーヤーは怪盗で、大魔王に盗まれた世界中の美術品を取り戻すという設定。みんなで遊ぶときは取り戻せた美術品についた点数の合計で順位を決めます。1人で遊ぶときは美術品をすべて取り戻すのが目標。
プレーヤーが動かすコマにあたるタイルには、よく見るとキューブが読み取るための情報が入ったドットの印字がありますね。
次に、ルールブックどおりにマットを組み立てます。上下左右が間違っているとプレイ中エラーが起きてしまうので注意が必要。意外と間違えやすいので子どもがやるときは親が手伝ってあげるといいですね。
マップができたら美術品のタイルを飾りつけます。美術品は種類によって点数が違うので、みんなで遊ぶときはどれをねらうかも戦略になります。
次にプレーヤーの助けになるアイテムのタイルを配置します。主なアイテムは「罠」と「ボーナス」の2つ。たとえば「電気ショック」の罠をおじゃまキャラが踏むと、ビリッと感電して一歩後ろに下がります。アイテムのタイルは裏返されて木箱になっていて、中身は取ってからのお楽しみ。
次におじゃまキャラにあたる「番人」が管理している「金庫」のタイルを置きます。プレーヤーが番人に見つかったときは、取り戻した美術品がこの金庫にしまわれてしまい、ふたたび取り戻すことになります。
すべてのタイルをマップに置いたら、いよいよ番人の出番です。
チュートリアルに登場する番人は、ジャック・オ・ランタンっぽい「セレン」と緑色のオバケっぽい「ゴリ」の2人。大魔王の部下である2人は美術品を取り戻しに来たプレーヤーを探すという設定です。
番人のフィギュアをキューブで踏み「ピッ」と読み込ませ、フィギュアをキューブに載せて「電話」マスに置くと、ギュンギュン動きながら「私はセレン…」「オレはゴリ!」と自己紹介をします。ボンビー的で楽しい。
電話は大魔王とのホットラインで、美術品に異常があった(盗まれた)ことがわかったとき、番人たちが大魔王に電話をかける設定。みんなで遊ぶときは「番人が電話まで戻る」というのも駆け引き材料になります。
それではいよいよゲームスタート!
ゲームはすごろくのようなターン制で、プレーヤーと番人が1回交代でマップを進みます。プレーヤーは初期状態で7マス進めますが、美術品を取り戻すたびに進めるマスが1つずつ減っていきます。1人で遊ぶときは基本的にすべての美術品を取り戻し、美術品の外に出るまでが勝負となります。
自分のターンが終わったら番人を動かします。ゴリには見つかりませんでした。ヒヤヒヤします。
しかし次の自分のターンを終えてセレンを動かすと、美術品が盗まれたことに気づきました。するとゴリが電話のところまで戻り、途中でプレーヤーが見つかってしまいました。見つかってしまったので、プレーヤーは外につまみ出され、美術品はゴリの金庫に入れられました。
プレーヤーはふたたび入り口からスタート。「無傷で逃げられたのかよ」という気もしますが、そこは大怪盗なので見事に逃げおおせたのでしょう。
今度は番人に見つからないよう、暗がりのマスに身を隠すことにします。完全な影があるマスなら、番人が踏んでも見つかりません。
一方、半分の影があるマスなら一定確率で見つかりません。ということで半分の影に止まってみると……今回はセーフ。ヒヤヒヤです。
番人はそれぞれ性格によって行動パターンが異なります。
ゴリは仕事をサボる(動かずにターンを終了する)ことがよくありますが、動くときには2つ先の部屋まで動けます。セレンは仕事をサボることは少なくて、1つ隣の部屋までしか動きません。
2人の性格の穴をつき、見事ゴリとセレンの目を盗んですべての美術品を取り戻せました。しかし最後になってゴリがじゃまで出口に近づけません。ということで「電気ショック」の罠を使い、感電してもらいます。感電して止まっているゴリの脇をすりぬけたら、無事に美術館から脱出完了!
●対抗戦は「タマの取り合い」に……
チュートリアルでルールを理解したら、マップガイドを開いて遊んでいきます。
入門的なマップから始まり、徐々に登場するアイテムやキャラクターが増え、難度が上がります。たとえばチュートリアルで登場しなかった「鍵」と「鍵つきのドア」というアイテム。鍵がないとドアが開かず、先に進めません。
番人も難度にしたがって増えていきます。中盤には番犬のような「ガルル」、大ボスである「大魔王」が登場。基本的に番人はランダムで動くのがポイントで、「来るな来るな!」「おい気づくなよ!半分影あるだろ!ギャー見つかった!」と1人で大騒ぎすることになります。
マップは一見シンプルながら相当練られている印象があり、序盤から「これはどうしたら……?」と悩まされる場面が出てきました。ボドゲ好きなら楽勝なのかもしれませんが、初心者ならかなり研鑽が積めます。
遊べるのは12マップ、16ミッション。ゲームは1回あたり30分くらいで、長いものだと1時間から1時間半くらいかかります。終盤にかけてはマップも広大になり、組み立てるだけで10分くらいかかることもありました。
そして3〜4人で遊ぶこともできるという話で冒頭にも書いたメディア対抗戦です。4Gamer、GetNavi web、アスキーキッズの3誌で戦ったんですが、なんかもうね、みなさん目がマジなんですよね。プロが集まる雀荘に素人のお父さん(私)が間違って入っちゃった感じでした。それでも配牌の良さで2位は獲れたので、運がよければ子どもでも善戦はできそうですが。
1人プレイと対抗戦で何が違うって、まず番人の動かし方がえげつないんですよね。1人の場合「どうすれば見つからないか」しか考えないんですが、対抗戦は「いかに他のプレーヤーを“取る”か」目線になってきます。
番人に美術品が盗まれたことをあえて気づかせて電話まで飛んで行かせたり、番人を一番遠いところまで行かせる「クモ」を踏ませたり、あらゆる手段で相手のプレーヤーを見つけさせる。いわばハラの探り合いで、自分のターンが終わるたび「これでよかったのか……?」と疑心暗鬼になります。
この時点でもう魂が抜けはじめるんですが、それに加え、どれだけリスクをとれるかが勝敗のポイントになってくるのも神経が削られるところです。ゲームの特性上、美術品を取ることに注目が行くんですが、実は美術館の外に逃げるまでが一番難しいところ。チキン野郎の私は極力リスクを減らそうと動くんですが、そうするとまんまと出し抜かれてしまいます。それであわてて賭けに出るんですが、慣れないことをするとものの見事に裏目に出るんですよね……。
結局リスクとリターンを見極めて賭けに出て、賭けを制した人が一番多くの美術品を外に持ち出せる結果となり、「これが勝負の世界……」と緊張から血を吐くことになりました。ちなみに配牌の良さで勝てたというのは外に出なくても美術品を獲得できる「風船」というアイテムを引けたこと。このアイテムで早めに点数を固められたので最下位は免れることになりました。これなかったら間違いなくビリだったわ……お父さんがんばったよ……。
●親子でタマの取り合いを
タマの取りあい(対抗戦)を終えた後、他誌さんと話していたのは「やっぱり番人がランダムに動くところが面白いね」ということでした。
ボードゲームといえばサイコロですが、キューブがいわばデジタルなサイコロのようになることで「番人はどう動くかな」「半分の影に隠れたけど見つからないかな」というドキドキの確率要素が生まれてきます。
しかしゲームデザイナーたちに話を聞いたところ、肝心のキューブを盤面の上で動かすための調整が最も難しいところだったそうですね。キューブは盤面をすべらず、溝にひっかかって止まらないように。タイルは子どもの手指でもうまく取れて、なおかつ強度が保たれるように。湿気で紙が反ってしまうとキューブが溝に引っかかりやすくなってしまうので、内側に紙を1枚増やして反りにくくしたり、さまざまな工夫をしたと話していました。
スマホゲームっぽいキャラデザインもかわいらしく、ゲームとしての完成度が高い出来。知育的な意味としては、コミュニケーション能力や、戦略立てて考える思考力を育てられる設計になっていると言っていました。その辺は対抗戦をやった今となっては身にしみて理解できるところですね……。
親がメンドーに感じそうなところは準備と片づけ。準備は、遊ぶ前にマップを広げられるくらいの場所を用意して、慣れないうちは一緒にマップを作ってあげる必要がありますが、慣れれば子どもでもできそうです。片づけは、大量のマットやタイルを箱にしまうことになりますが、プレーヤーやアイテムなどのタイルと番人のフィギュアはカートリッジの入っている箱にザラッと収納できるようになっているので、そこそこラクなものでした(メーカーの方に教えてもらって初めて知りました)。
対象年齢は6歳以上で、メインは8歳くらいから。一見難しそうなルールもわかってしまえばシンプルで奥が深い内容です。親子でできるゲームを探している方は桃鉄や人生ゲームに加えて「大魔王」も選択肢に入れてみてはいかがでしょう。ただし本気でタマの取り合いにならないようご注意を……。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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