●リサイクルの技術で構成
S5はApple Watch Series 5が初出でしたが、2020年9月に発売されたApple Watch SEにも引き続き採用され、今回のHomePod miniにも入りました。これまでスマートウォッチ向けSiPの最新型は1年が寿命だったことを考えると、S5の製造は続けられ、Apple Watch SEのコストダウンにつながっているのでしょう。
マイクは4つですが、音を再生するドライバ自体は1つで、底面の円錐形の「アコースティックウェーブガイド」で、360度方向へと音の拡がりを作り出すそうです。ドライバは1つなので、HomePodのように、単体で包み込まれるようなステレオサウンドを実現することは、物理的には不可能なはず。そこで、このリアルタイムのオーディオ処理によって、どれだけサラウンド環境を実現するのかが、実機レビューの際の興味のポイントです。
重低音の拡張には、フォースキャンセリングパッシブラジエータが採用されました。この「フォースキャンセリング」はMacBook Pro 16インチに採用されて、非常に豊かなサウンドに驚かされたことは記憶に新しいところです。
このように、HomePod miniは、プロセッサもスピーカーも、これまでリリースしてきた製品に用いられてきたチップや技術を上手く取り入れて構成されていることが分かります。そして、iPhoneやiPad、AirPods Pro、Macなどで採用されるサイコアコースティックなどの手法を用いた「コンピュテーショナルオーディオ」を最大限に発揮する、とてもユニークな製品であることが浮かび上がってきました。
●SiriとHomeアプリの充実
HomePod miniの登場で、スマートホーム関連にも変化が出てきました。
まず、Homeの新たな機能として、「インターコム」。自宅に複数のHomePodを設置している場合、全部屋向け、あるいは特定の部屋向けに、声のメッセージを届けることが出来、声だけで簡単に返信をすることができます。
しかもインターコムは、家族メンバーのiPhoneやiPad、Apple Watchにも通知されるため、外出中の家族に買い物を頼む、帰ってくる時間を聞く、といった家の中と外のコミュニケーションにも利用できます。家族メンバーと家の空間向けの音声グループチャットのような仕組みです。
またSiriでは、家族メンバーの声を聞き分けて、聞いた人のスケジュールやリマインダーを返してくれるほか、「私のiPhoneを探して」というと、その人のiPhoneの音を鳴らすことができます。このあたりも、家の中で共有するスマートスピーカーとして、実用性を高めてきたと言えます。
また、グーグルが主導するスマートホームの無線ネットワーク規格「Thread」もサポートします。
![](/img/blank.gif)