Quattro TKLで実際に原稿を何度か書いてみても、ThinkPad TrackPointに慣れた指先は、一向にポインティングスティックの操作に慣れてこない。TrackPointと同じではないのでWindows用のTrackPoint設定ユーティリティは無効で、実際にポインティングスティックの動作を多少管理できるのはWindows標準のマウスのプロパティだけとなる。ポインターの速度をいじるのが精一杯だった。
結局、Quattro TKLを約1ヵ月ほど使ってみたが、未だに操作に関してなかなか慣れないので、自宅にあるThinkPad X390と、数台のTrackPoint付きのThinkPad外付けキーボード、TrackPointを採用している台湾TEXのShinobiキーボードをQuattro TKLと切り替えながら同時並行的にテスト使用してみた。
3台のポインティングスティックとその左右のクリックボタン位置を比較するとおもしろいことが分かってくる。TrackPoint系は何れもその関係性が正三角形の位置関係になる。しかし、Quattro TKL(最下段)の場合は極端に扁平な二等辺三角形だ
TrackPointもQuattro TKLのポインティングスティックも、基本的にはカーソル移動方向を指示するスティックとマウスの左右のボタンに該当する2つのクリックボタンの最大3個の要素のコンビネーション操作に過ぎない。
世界は狭いようで広いので、特殊なユーザー例はあるかもしれないが、筆者の知る限り、スティックは左右どちらかの人差し指の先で操作するのが一般的だ。そしてマウスのボタンに当たる2つのクリックボタンは左右どちらかの手の親指か、あるいは一部の人は左右の親指を使う人もいるかもしれない。
筆者は左右の両クリックボタンとも、右手の親指でクリック操作するのが四半世紀以上の習慣だ。Quattro TKLの左右のクリックボタンは、キーボードアセンブリーの外側にクリックボタンのあるThinkPad系と異なり、最下段のキー列にあり、左右のクリックボタンの間にキートップの中では最大幅であるスペースバーが存在する。そのために左右のクリックボタンは95mmも離れてしまう。
この間隔は左右のクリックボタンの間が、いずれも60mm前後のThinkPadやThinkPadの外付けキーボードとは大きく違う点だ。ThinkPadと同じTrackPointを採用しているTEXのShinobiキーボードも、そこは同じ。Shinobiキーボードもキーボードアセンブリーエリアの外側(下側)に左右のクリックボタンを配置しており、スティックと左右のクリックボタンの関係を実測してみたところ、ThinkPadほどきれいな正三角形の位置関係にはならないが、少し底辺の短い二等辺三角形だった。
Quattro TKLの場合は左右のクリックボタンの間にスペースキーが存在するために、左のクリックボタンははまだ問題ないが……右のクリックボタンを押す時は、不自然なほど、スティックを保持した人差し指を軸に右手首を大きく右側に回転スライドさせないとクリック出来ない
一方、キートップの中では最大幅であるスペースバーを挟んだ形で左右のクリックボタンを配置したQuattro TKLは、底辺95mm、高さ25mmの極端な扁平二等辺三角形となる。これは筆者のように右手の親指で左右のクリックボタンを押しているユーザーにとって、左クリックボタンは問題なくても、右クリックボタンを押す時には手首全体の動きの必要な操作になる。
繰り返しになるが、あくまで右手の人差し指でスティックを操作し、右手の親指で左右のクリックボタンを押している筆者のようなユーザーだけのお話だ。
もう一つ、Quattro TKLのようにクリックボタンが左右に大きく離れ、直ぐ上に位置するスティックに近いポインティングスティックが使いにくいと感じる理由は、パームレストの欠如だ。しつこいようだが、あくまで右手の人差し指と親指で全ての操作をしている筆者の場合だ。

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