おんがくであそぼう ピコトンズ TQJS-00006
実売価格 6578円(ソフト単品)
9月10日発売
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
https://toio.io/titles/picotons.html
ソニーの音ゲーにハズレなし、PlayStation時代から変わりません。3歳児くんの保護者をしてます盛田諒ですこんにちは。親目線でソニー「toio」を遊ぶ「お父さんのtoio日記」、第3回は音系の「おんがくであそぼう ピコトンズ」です。
紙のシートを入れ替えるだけで、ピアノやギターやドラムを鳴らせる電子ピアノ、簡単にループを作れるDJツール、作曲をして音源やMIDIの書き出しができる簡易DAWとしても遊べる、かなり多機能なタイトルです。しかも、付属の本を読みながらゲーム形式でストーリーを進めていくだけで音楽や作曲の基礎がわかってしまうという作り。「退屈な音楽教育っぽいやつか〜?」と疑っていた私が愚かでした。パラッパ世代の親にオススメです。
●カートリッジは2つ
あらためて、toioは本体にソフトを入れて遊ぶゲーム機のようなおもちゃです。電車のつり革のようなコントローラーと「キューブ」というサイコロ状のロボットで遊びます。キューブにはルンバ顔負けのセンサー入り。ラジコンのように動かすだけでなく自動走行もできるのがポイントです。
このキューブを使って、音を鳴らし、楽器を演奏し、曲を作り、ファイルとして書き出し、発表できる音楽系タイトルが、今回の「ピコトンズ」というわけです。
ソフトは紙製シートなどとあわせて宅配ピザのような正方形の箱に入っています。では開けていきましょう。
いろいろ出てきました。カートリッジが2つ、演奏に使う紙製シートが4枚、音楽について教わるプレイブックが1冊、キューブと本体をデコレーションするフィギュアと紙製カバー。フィギュアはキューブに装着するとかわいくなるだけでなく、紙製マットを傷つけにくくする効果もあります。
キューブにつける2つのフィギュアは音楽初心者の「Aくん」「Bくん」というキャラクター。アナログのA面とB面を意識しているそうです。親世代にしか伝わりません。
toio本体のカバーはゲームのナビゲーター「ミスター・コンソール」というキャラクター。1980年代の「My First Sony」のラジカセがモデルになっています。同上。
カートリッジは、「えんそう編」「プレイブック編」の2つ。音楽について学ぶときは練習をはげますボイスを収録したプレイブック編、実際に演奏するときは楽器のパターンがたくさん入ったえんそう編を使うことになります。
●電子ピアノのように鳴らせる
「プレイブック編」は後回し、さっそく「えんそう編」から始めます。シートにキューブを置いて鳴らします。
使うのは紙の「えんそうマット」おもて面。リズム、メロディ、ハーモニー、そして「ねいろ」という効果音を鳴らせます。シートに印字されたドットを情報としてキューブが読みとり、toio本体から音を鳴らすしくみになっています。
最初はリズム。○や□の図形をタッチすると「ズン」「タッ」とリズム系の音が鳴ります。図形の上でキューブをダイヤルのようにくるくる回すと「エレクトロキック」「和キット」などに音色が変わっていきます。リズムがとりづらいときはメトロノームがあるのでズンズンタッと合わせます。
次はメロディ。15鍵のミニ鍵盤にキューブを置くとピアノのように「ポーン」と音が鳴り、横にスライドさせると「ドレミファソ〜」と鳴らせます。鍵盤の上でキューブを右に回すとシャープ、左に回すとフラットに。「トランスポーズ」にキューブを置いて、オクターブを上げることもできます。
面白いのが、スケールを変えられる「スケールダイヤル」。ジャズなどで使われるブルーススケール(ブルー・ノート・スケール)、沖縄民謡に使われる沖縄スケールを設定可能。スケールを変えて「かえるの歌」を弾くだけで「ジャズver.」「沖縄ver.」が演奏できるようになります。
楽器の変更もできます。デフォルトはピアノですが、トランペットや、シンセ、ひずませたエレキギターなどに変更可能。たとえばトランペットでブルース系のスケールにすればインプロピゼーションっぽく鳴らせて楽しいです。
最後はコード。ギターやベースのイメージで和音(コード)をジャーンと鳴らしたり、単音をベベンとアルペジオで鳴らせます。ここもやっぱりアコースティックギターや、ピコピコ系のシンセベースなど様々な音色を選択可能。
おまけに、コップをたたく音、水が落ちる音、おならをする音などの「効果音」も鳴らせます。効果音は300種類におよび、子どもにウケる音もたくさんありました。
シートは2枚あるので横に並べ、親子同士、きょうだい同士、友だち同士などで合奏することもできます。
●曲を作ってファイルとして保存できる
まだまだ序の口です。どんどんやっていきましょう。えんそうマットをひっくりかえすと、ひらがなの並んだマスとターンテーブルが見えてきました。ここで仮歌をつくったり、音をターンテーブルでこすったりして遊べます。
ひらがなのマスにキューブでタッチすると典型的なロボ声で読みあげます。がぎぐげご(濁音)、ぱぴぷぺぽ(破裂音)、ちゃちゅちょ(拗音)ももちろん発声可。「YO」「アーハン」みたいな合いの手を入れるという遊び心もあります。
音声の音程は変更可能。先ほど「えんそうマット」おもて面で設定したスケールが使えるので、たとえば「沖縄スケール」にしておけば沖縄民謡を歌わせたりもできます。
また単語登録エリアを使って「ピコトンズ」「あいしてる」などのフレーズを登録しておくと、メロディにあわせて一発で歌わせられるので、後半で曲を作るときに便利です。
ひらがなの隣にあるターンテーブルをこすると、やはり作った曲をいじったり、キュキュッとスクラッチして遊べます。
ここまで遊んだら、もう1枚のシート「オートプレイマット」を出してみましょう。
これはコルグ「iKaossilator」のような自動演奏ツール。シートにキューブを置くとメロディ、コード、リズム、ボイス、効果音がそれぞれ自動的に流れはじめます。マット上でキューブを動かすと演奏パターンが変わり、これを組み合わせるだけで曲(ループ)ができます。好きな効果音にリズムを与えられるので「おなら」だけでループを作ることも可能。
最後にオートプレイマットをひっくりかえすと、フレーズを保存して曲を作るための簡易DAWになっています。
保存できるトラックは4つで、パートは3つ。1パート16小節で、合計48小節の曲が作れます。メロディ、コード、リズム、ボイスを4つのトラックに割り当て、曲を作り、再生して、音声データを作り、QRコード経由でスマホに保存可能。MIDIデータとして書き出したり、PCや他の楽器で使うこともできます。
テンポがズレた音を自動的に正しいリズムに合わせる「クオンタイズ」ボタンもあり、正確にリズムを刻めなくても作曲が楽しめるようになってます。
というわけで、これが「ピコトンズ」でできることの概要です。これまで複数の電子楽器やアプリを買いそろえてやっていたことが紙のシートを入れ替えるだけでできるというのがむちゃくちゃ新鮮。得した気分になりますね。
●大人もためになるプレイブック
完全に忘れてましたが「プレイブック」編もやりましょう。
ここまでやってきた音楽の基礎を一つずつ学んでいくもの。最初はいわゆるリトミック的な音遊びから始まり、メロディ、リズム、ハーモニーと進みます。音楽教室というより音ゲーっぽく音楽にくじけた大人がやってもためになります。
最初は、電車やクルマなどの身近な音から音のピッチなどを理解するもの。
リズムは、お手本のまねをすることでリズムをきざむことを理解するもの。
メロディは音階を当てるゲームから始まり、スケールなどを理解するもの。ハーモニーは、鍵盤で実際に音を鳴らしながらコード(和音)について理解していくもの。
最後には、トラックの作り方、ボーカルの入れ方などを理解して、自作の曲を完成させるという流れになっています。
おまけに「地獄の小部屋」という超高難度のゲームモードも用意。リズム、メロディ、コードのゲームが入っていて、通常の遊び方に慣れてしまった子どもがピコトンズを極めるための、鬼のように難しいモードです。正直まったくクリアできませんでしたが、そのぶん燃える子どもがいそうです。
●コスパ抜群 音質は残念
「おんがくであそぼう ピコトンズ」を遊んできました。
何よりキューブとシートで演奏するのが楽しいゲームです。昔のゲームみたいなピコッとした音色がかわいく、ピコピコトントンやってるだけで時間を忘れて遊べるんですよね。
対象年齢は6歳以上。音楽を学ぶところは5〜6歳にならないと難しそうですが、3歳児でも効果音を使った音遊びくらいは楽しめました。37歳児が遊ぶおもちゃとしても楽しく、音楽理論の再入門にも適している印象を受けました。
残念なのは音を鳴らすtoioのスピーカーがしょぼいこと。
音声ファイルを出力してスマホやPCで鳴らせばきれいに聴こえるんですが、遊んでいるときはおもちゃっぽい音しか出ません。しかも音はモノラルです。どうせなら、それなりにいいスピーカーをのっけた「toio ピコトンズver.」を出すか、本体にヘッドホン端子でもつけておいてほしかったです。
内容としてはtoioのキラータイトルといえるほどに最高です。いわゆる音楽教室のお月謝とか、電子ピアノや音楽系おもちゃをばらばらに買い与えることを考えると、価格も超お買い得。音楽好きの子どもがいる人はお稽古の選択肢に「ピコトンズ」を加えてもいいのではないか、とも思いました。
次回はいわゆるプログラミングおもちゃ「GoGo ロボットプログラミング」を開けます。いよいよ小学校でもプログラミング教育が必修化されプログラミング学習塾も増えてきた昨今、ソニーが考えるプログラミングとはどんなもんか見てみます。