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化粧箱の上蓋を外すと、サンタクララの風が頬を撫でた

GeForce RTX 3080 Founders Edition開封の儀、独特な内部構造に迫る

2020年09月10日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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RTX 3080 FEの内部構造に迫る

 RTX 3080 FEの中身を見たい人も多数いるだろうが、これに関してはカードを借りる時点でNVIDIAから「分解するならすべて検証が終わってからにせよ」と通達があった。NVIDIAから提供して頂いた分解手順書を見ると、ネジ穴は粘着テープがないと外れないダボに埋まっている部分や取り外し時に破損しやすい箇所も見受けられたため、今回は見送った。

 その代わり、NVIDIAからは分解済みの画像が提供されたので、先日のGeForce RTX 30 Series Tech Sessionで提示された資料も併せて、RTX 3080 FEで採用された斬新な冷却システムを眺めることにしよう。

 前述の通り、RTX 3080 FEのクーラーは2基のファンが表と裏に1基ずつ設置されている。カード裏面のファンは表面から空気を吸い上げ、CPU側に空気を誘導してPCケースの背面あるいは天井ファンから排気させる役目を持っている。裏面ファン付近をフィンだけの構造にするために、RTX 3080 FEでは基板の全長を200mm程度に抑え、余った空間を裏面ファン+フィンにあてるという大胆なアプローチを採用した。

 基板サイズが小さくなるとTDP320WのRTX 3080を養うために必要な8ピン補助電源コネクター×2では場所をとるため、専有面積が小さくて済むMicro-Fit 12ピンを縦に配置したのだ。だが、AICパートナー製カードだと大型基板が使えるのでこういったアクロバティックな設計に頼らずともいい。極限まで基板を切り詰めたAICパートナー製カードで12ピンが採用される可能性はあるが、まだ先の話だろう。

RTX 3080 FEの基板写真。18フェーズの電源回路がGDDR6Xのすぐ隣にまで迫っていることがわかる。GDDR6Xチップは10個確認できるが、空きパターンが2つ残されている点に注目。基板裏面(写真なし)のパターン次第では、メモリー12GB/20GB/24GBという展開も考えられる。また、カード上部にNVLinkのコネクターがない点にも注目だ

RTX 3080 FEのヒートシンク&ファン写真。上の写真と向きを合わせているので天地が逆になっている。基板は左端~中央のX字部分までしか届かず、中央~右は全部フィンとファンのためのスペースであることがわかる

TDP250WだったRTX 2080 SUPERの半分程度の基板に、TDP320WのRTX 3080を実装している。こうして比較するだけでもかなりの実装密度であることがうかがえる

一般的なPCケースでは前から冷気を吸いこみ、PCケース背面のファンで排気するのがスタンダードなスタイルだ。ビデオカードはこのエアフローの間に固定される

従来のGPUクーラーではPCケースの前から吸い込まれた空気はファンに取りこまれ、PCケース内部に満遍なく熱気を排出する。そのため、カードが衝立となってしまいPCの背面ファンを効率良く利用できない、というのがNVIDIAの考えだ

PCケース内のエアフローをビデオカードの冷却に最大限利用するために考え出したのが“Dual Axis Flow Through”なデザイン。CPU側に抜ける熱気でメモリーが炙られるのでは? という懸念はあるが、NVIDIAによれば影響は軽微であるという(本当だろうか……?)

RTX 3080 FEではヴェイパーチャンバーとヒートパイプのハイブリッド構造で熱を奪いとり、2カ所のファンで外に排出する。金属色の部材は一体型構造になっているのも面白い

エアフローの模式図。裏面のファンは良いとして、ブラケットから熱気を押し出すファン付近はフィンの物量が少ないので、この構造がどこまで冷却に貢献できるかは疑問が残る

次回は待望のパフォーマンス検証

 これまでのFEもデザイン的に秀でたものだったが、RTX 3080 FEは全体の質感が向上している印象を受けた。Dual Axis Flow Throughデザインの実効性についてはベンチマーク解禁を待たねばならないが、間違いなく人気の出る製品だろう。これが日本国内で販売されないのは何とも残念でならない。

 次回は待望のベンチマーク結果をお見せすることにしよう。果たして「RTX 3080はRTX 2080の2倍の性能、4Kゲーミング向け」というNVIDIAの言いぶんは本当なのだろうか? 今回も時間的・体力的な制約が厳しいこと、検証範囲が広いことを考慮し、2~3回に分けて記事を投下することになりそうだが……。

 気になるベンチマーク解禁は2020年9月16日22時である。乞うご期待だ。

※訂正:記事初出時、ベンチマーク解禁日時を2020年9月14日22時としてましたが、その後NVIDIAから日時の変更が告知されたため、訂正しました。(2020年9月12日)

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