創業者の音楽愛が反映された1万円台半ばの「プレミアム」イヤホン
ハイコスパ! ブルーで高品位な“透け筐体”が美しい、JPRiDEの「1980 Blue MOON」
2020年08月14日 11時00分更新
音色は脚色なくハイレゾの持ち味を生かす
低域は切れ味がよく力強い
1980 Blue MOONのサウンドを確かめてみよう。プレーヤーにはAstell&Kernの「A&futura SE200」をリファレンスにしてハイレゾ再生を聴いた。
フラットバランスなサウンドが音楽の全景を捉え、細かい音にも逃さずにフォーカスを合わせる。ディティールの情報量に富んだイヤホンだ。
ボーカルの輪郭再現がとても繊細だ。ビブラートやブレスなど声の表情が移ろう様子を見事に描ききる。余韻の質感もきめ細かく、贅沢に広がる空間描写に思わずのめり込んでしまう。ピアノやギターなどアコースティック楽器の音色も素直に、余計な脚色をしないで活き活きと引き出す。音楽性がとても豊かだ。ハイレゾ音源を聴くことの醍醐味を存分に味わえる。
低音はむやみに強さ、量感を押し出すタイプのイヤホンではない。インパクトの力強さとスピード感、切れ味の豊かさに魅力を感じる。ロックやポップスのアップテンポな楽曲と相性が良い。バンドによる演奏の立体感がとてもリアルだ。コンサートホールの情景を見事に生々しく描き出す。
ジャズのビッグバンドもスケールの大きな演奏だ。瞬発力の高いベースラインが熱い音楽のグルーヴを体の芯に届ける。
1980 Blue MOONはアンプに十分なパワーを持つポータブルオーディオプレーヤーやUSB-DACと組み合わせて聴くことで真価を発揮してくれるし、イヤホンの側もプレーヤー機器に固有のキャラクターを素直に引き出しながら楽しませてくれる。
とても感度の良いイヤホンなので、スマホにつないで聴く音楽も、実に鳴りっぷりが良かった。SpotifyやApple Musicなど配信系の音源を聴いてみても、ひと味違う上質さを実感できた。筆者がスマホ再生のリファレンスに使用したiBasso Audio「DC02」のようなポケットサイズのUSB端子をイヤホンとの間に介してみても面白いだろう。1980 Blue MOONがまるでコンサートホールやフェス会場に足を運んで生の音を体に浴びながら聴いているような臨場感を満喫させてくれるだろう。