2020年7月31日、日立ソリューションズは、ニューノーマルにおける新しい働き方を実現する「新・ワークスタイル変革ソリューション」を発表した。テレワークの常態化によって顕在化してきた不安や課題を解消すべく、新たにクラウド型の仮想オフィスをはじめとした複数の製品・新機能を投入する。
コロナ渦のテレワークで失われたものとは?
冒頭、登壇した日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 事業部長の紀平篤志氏は、「ニューノーマルにおける働き方への展望」と題し、コロナ禍で日常生活や仕事に大きな制約が発生した2020年以降の働き方と同社の働き方改革について説明した。
紀平氏は、テレワーク勤務が常態化する中、企業は勤務状況の把握やインフラの整備、労務規約の改定などが必要になると指摘。また、オンラインで業務を遂行する従業員は、オフィスで交わされていた会話ややりとりが失われたことで、人との関わりや一体感が薄れ、モチベーションが失われているといった事態に陥っていると分析した。こうしたことからテレワークの向上に向けては業務の遂行だけではなく、従業員のケアまで含めた包括的なソリューションが必要になるという。
日立ソリューションズは2016年から全社あげて働き方改革を推進しており、2017年にはコミュニケーション基盤や勤務管理、RPA・AIまでを含んだ「ワークスタイル変革ソリューション」の提供も開始している。ソリューションは社員5000人分のデータ、ユーザーや社員の声を反映しつつ、法改正への対応も進めてきた。そしてコロナ禍に見舞われる現在、ニューノーマルにおける働き方に向けてより強化を図ったのが、今回発表された新・ワークスタイル変革ソリューションになる。
日立ソリューションズではニューノーマルでの新しい働き方を「時間や場所にとらわれず、一人ひとりが自律的した効率的な働き方」と定義している。これを実現すべく、新・ワークスタイル変革ソリューションでは、いつでもどこでもスムーズに業務を遂行できる「自由な働き方」、出社しなくても業務が実行される「究極の自動化」、そして「勤務管理のみならず従業員のエンゲージメントを高める「働きがい」の3つを新しい働き方の軸として据える。
この3つの軸において、今回は自由な働き方を実現する製品として仮想オフィスと遠隔プレゼンの2製品、究極の自動化に関しては同社がRPA製品として扱うオートメーション・エニウェアの新機能、そして働きがいに関しては人事統合ソリューション「リテシア」のテレワーク対応が発表された。
人の気配を感じられるオフィスをオンラインで実現
今回の目玉はテレワーク環境でもオフィスと同じ環境を実現する仮想オフィス「Walkabout Workplace」だ。米Walkabout Collaborativeと国内初の代理店契約を締結し、国内での展開を開始する。
Walkabout Workplaceは、テレワークによって失われた「オフィスの日常」や「たわいもない会話」「人の気配」を再現することで、チームの状況把握や孤独感の解消、自由な発想などを実現する。
具体的にはリアルオフィスを模した仮想オフィスをクラウド上に再現し、ログインすることで、オフィスと同じようなコミュニケーションを実現する。テレワーク中は意識しなかった人の存在を可視化することで、オフィスの日常を再現しつつ、長時間労働の抑制や業務と生活の効率的な切り替えが可能になる。また、従業員の状態をプレゼンスとして表示することで、テレワークで失われた雑談や相談といったコミュニケーションをオンラインで実現できるという。販売は8月3日で、価格はオープン。
また、遠隔プレゼンツールの「Personify Presenter」(米Personify製)はPCのカメラとソフトだけでも臨場感のあるプレゼンを実現できる。プレゼン資料をプレゼンテーターの背後にリアルタイムにマッピングすることが可能になる。こちらは8月末に販売開始予定となっている。
その他、自動化を推進するRPAの新機能としては同社が扱っているオートメーションエニウェアの「Automation Anywhere Discovery Bot」により、AIを使ったプロセスのキャプチャとボット化を実現。人事統合ソリューションのリシテアでは、勤務場所の管理、位置情報の取得といったテレワーク対応を進めるほか、タレントマネジメントやエンゲージメントサーベイなどの機能を強化し、従業員エンゲージメントの向上を推進していくという。