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業界人の《ことば》から 第396回

キャッシュレス決済で領収書提出が不要に、10月1日に改正される電子帳簿保存法

2020年06月25日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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紙がなくせず、テレワークが進まない大きな理由が領収書

 そして、新型コロナウイルスの感染拡大によって訪れた新たな働き方においても、この仕組みは効果を発揮する。

 日本CFO協会の調査によると、経理部門がテレワークを実施できない最大の理由として、「請求書や証憑などの紙の書類がデジタル化できてない」との回答が77%を占めている。

 「アナログな経費精算によって、社員とっても、経費精算のためだけに出社するなど無駄な出社が発生しており、これが、働き方改革を阻害する要因にもなっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務の増加によって、それを実感した企業も多かったのではないか」とする。

デジタル化は無意味な「承認」手続きもなくす

 コンカーでは、もうひとつユニークな仕組みを提案する。

 それは、上司が決済の承認を行わない「承認レス」という仕組みだ。これもデジタル化によって実現するものだ。

 上長が承認作業をしないと聞くと、コンプライアンス上、そんな仕組みは導入できるのかと思ってしまうが、コンカーの三村社長は次のように語る。

 「誤解を恐れずに言えば、上長の承認は、はっきり言ってザルの場合が多い。それならば、ITを活用して、承認できるかどうかを判断したほうが正確性を増すことができる」

 提出された宿泊費、交通費などを、ITが社内ルールと照らし合わせて、違反や不正がないと判断すれば、上長や経理部門の承認なしで払い戻しを行うというものだ。経費使用のルールを完全に把握していない上長の承認よりは、正確性が高いといえる。

ITが承認することで、経費精算の不正を見つけやすくなる

 さらに、ビッグデータやAIを活用することで、ひとつひとつの処理では気がつかないような不正も発見できるという。

 例えば、1万円を上限とした経費の場合、1回や2回は、その金額を超えても、例外として認められる場合もあるが、特定の人が、全社の平均値に比べて、上限を超える回数が多いということがわかれば、不正の疑いを検出できる。「これは、人が判断するよりも、ITに任せた方がいい部分」とする。

 そして、「こうした仕組みが社内に導入され、徹底されると、社員にも不正を行う気が起こらない。ザルだったチェック作業もなくなり、財務/経理部門のチェックの作業も大幅に軽減される」というわけだ。

 すでに、上長による承認レスの仕組みを導入する企業は増加傾向にあるという。

 コンカーでは、AIによる不正検知を2021年度以降に実用化する予定だ。

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