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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第115回

カビ対策に本気出す 殺菌灯を玄関先にインストールしてみた

2020年05月05日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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古くて新しい技術、UVのこと

 今回はUV(紫外線)の話。最近は「UVケア」や「UVカット」など、スキンケアの用語でも知られるようになったUVですが、マジックなど、エンターティメントの世界では、昔からブラックライトの名称で活用されています。

 たとえば、ディズニーランドで再入場する前に手の甲に押してくれる透明のスタンプの確認にブラックライトが使われているのは、ディズニーフリークの間では有名です。

 さらに、コスチュームやキャラクターなどを幻想的に見せ、逆に観客に見せたくないものを目立たなくする効果も。もし、どのショーやアトラクションでブラックライトが使われてるかを知りたければ、ゲートで透明スタンプを押してもらってから、アトラクションやショーに参加してみてください。そうすれば、手の甲のスタンプが光ることで、ブラックライトが使われているシーンがわかるはず。

 そのほかにも、近年、UV硬化樹脂が人気を集めています。UVが照射されると数秒〜数分でガラスのように硬化するため、「ジェルネイル」の名称でネイルサロンで使われたり、「UVレジン」の名でアクセサリー作りに大人気です。

いまや100円ショプでも手に入るUV硬化樹脂(左)。UV-LEDライト(右)で数秒で硬化がはじまる

 それ以外にも、レストランのキッチンや医療機関などで殺菌用に使われるUVも長い間、活用されています。今回は、そんな業務用に使われることの多い(UVによる)殺菌灯を、我が家に取り付けたDIYを紹介していきます。

 ちなみに、コラム表題の「インストール」というフレーズですが、日本ではコンピューターにソフトウェアを入れることを指しますが、「家の壁や戸棚などに何かを取り付けること」が本来の意味。このところ、記者会見などで耳にするカタカナ語を、筆者もちょっと使いたかっただけなので、ご容赦いただければ幸いです(笑)。

地表に届かない強力なUVCを活用

 太陽光線にも含まれるUVですが、じつは地表にはほどんど届かない波長のUVがあります。それがUVC(紫外線C波)。波長が200〜280nmナノメートルの紫外線で、太陽光線のUVCは、大気中のオゾン分子や酸素分子によって吸収され、地表に届くことはありません。

 UVCは殺菌作用が強く、とくに波長253.7nmのUVCは、なんと直射日光の1600倍の殺菌効果があるそう。その特性を利用したのが殺菌灯で、公共施設のハンドドライヤーの奥にある、青く光るライトに気づいている方もいらっしゃるかもしれません。

殺菌灯で梅雨時の靴のカビ防止

 筆者の仕事、マジックのショーで履く靴は湿度管理をしたクローゼットルームで保管しています。しかし、悩みのタネは仕事に行くまでの靴。そんな靴は玄関先の靴入れに入れていますが、どうしても湿度の高い梅雨時はカビに悩まされます。仕事用の高い靴より、普段の安い靴のほうが手入れが大変……、というのも本末転倒な話。

 いままでは、カビ防止にアルコールを掃除に使っていましたが、このところ入手が難しいのはご存知の通り。そこで、殺菌灯をDIYして導入することにしました。

まさに業務用のたたずまいの殺菌灯。電源コードはムキ出しのままのベアボーンキット

 もちろん、殺菌灯はカビにも有効とされています。その原理はカビや菌のDNAやRNAに作用し、増殖能力を失わせたり、原形質を破壊すると考えられている、というもの。

 ただし、細菌や菌などに比べ、カビの場合は長めの照射が必要です。ざっくりと計算して、筆者が購入した殺菌灯(6W)だと、おそらく90分ほど。部屋全体の殺菌とは違い、靴箱なので、もう少し短い時間でカビを死滅させられるかもしれませんが……。

 殺菌灯の光線は、ステンレスよりもアルミのほうが効率よく反射することがわかっているので、殺菌スペースの側面と扉をアルミシートで覆いました。また、靴の全面に光が当たるように、メッシュの棚板にしました。これは、バーベキュー用の網を流用。もちろん、新品です。肉汁や脂がついていたら、逆にカビだらけになりそうだし……(笑)。

 作業場所も狭く、DIYには2日ほどかかりました。殺菌灯の光は直接見ると危険なのですが、地表に届かないUVC対応のサングラスはないので、テスト点灯も一苦労。直接、あるいは間接の殺菌線に照らされないよう、十分注意しました。

 完成時に革靴でテストしましたが、60分ほどの照射で、雨の日にもかかわらず鼻を近づけてもカビ臭さはなく、ほぼ無臭になりました。

殺菌灯の光は直接見ると危険なので、目に光が入らないように撮影するのもドキドキ

 梅雨にならないと、この殺菌ケース付き靴入れの実力は不明……。しかし、長く人々に利用されてきた技術なので、照射時間を調整するなどして活用していこうと思っています。

 近い将来、殺菌灯がLEDに置き換わり、低電力で高出力なUVCが様々な場所や製品に普及する……。世知辛い話題が耳に入りやすいタイミングですが、未来はUVで少しは明るくなるはず。そんな想像をしているのは、決して筆者だけではないはずです。

おまけ(蛇足)の写真。パスポートの偽造防止にもUVは利用されている

 もしご自身で殺菌灯を設置する場合は、電気工事や照射時間などを含め、思わぬトラブルが起きないように、メーカーや専門家の意見を聞いてから、自己責任でどうぞ。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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