松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第93回

iPhone SEにiPhone 11 Pro Maxから「戻る」のは難しい

●マスクをつけても使えるTouch IDは便利だが……

　最後にTouch ID。

　マスクをつけることが常となっている日常において、顔認証がうまく働かず、いつもマスクをずらさなければならないことは、日本人の冬から春にかけての半年間の悩みでした。それがいま、世界中に共有されており、メッセージのチェック、店頭でのApple Pey決済などがホームボタンの指紋認証で実現できる点は、2020年の新型コロナウイルス流行にフィットすると思います。

　Face IDに移行したモデルにはホームボタンがありません。一度完全にジェスチャーのみで利用するiPhoneに慣れてしまうと、ついついホームボタンを押し忘れてしまって、動作が次に進まなかったり、画面を下から上にスワイプしても、ホームボタン搭載端末だとコントロールセンターが開いてしまいます。

　この操作の違いと、3年間すでに新しい操作に慣れてきたことを考えると、筆者個人としては、iPhone 11 Pro MaxからiPhone SEへ「戻る」ことは難しいと感じました。

筆者紹介――松村太郎

　1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員（訪問）。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

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