このページの本文へ

業務環境と監査部屋をクラウド上に構築した監査法人の事例も披露

リモートワークをセキュアに迅速に実現するAWSのサービス

2020年04月23日 18時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2020年4月23日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンは「リモートワークを支援するAWSサービスに関する説明会」を開催した。仮想デスクトップのAmazon WorkSpacesやファイル共有サービスのAmazon WorkDocsなどのサービス紹介に加え、新型コロナウイルスに対応する在宅勤務をAWSのサービスで実現した仰星監査法人の事例も披露された。

仮想デスクトップからファイル共有、スケールするVPNまで充実の品揃え

 Amazon Chimeを介して、AWSのリモートワーク向けサービスについて説明したのはアマゾン ウェブサービス ジャパンの瀧澤与一氏になる。

アマゾン ウェブサービス ジャパン 技術統括本部レディネスソリューション本部本部長/プリンシパルソリューションアーキテクト 瀧澤与一氏

 最初に紹介したのはクラウド型の仮想デスクトップ(VDI)サービスの「Amazon WorkSpaces」だ。ユーザーはデスクトップ上にあるAmazon WorkSpacesのクライアントを起動し、ユーザー認証を経ると、ネットワークを通じてデスクトップが配信される。キーボードの入力やマウスの操作を行なうとそれに応じた画面がAWSクラウドから送られてくるので、あたかも自分のPCが手元に延長されたようなイメージで利用できる。料金は利用時間に応じた従量課金制で、初期費用はなし。インスタンスの増減も容易だ。

 Amazon WorkSpacesでは、OSライセンス込みの標準的なWindows 7/10のほか、ユーザーによる持ち込みライセンス(BYOL)にも対応。また、LinuxデスクトップやGPU搭載によりグラフィック処理が強化されたインスタンスも利用できる。利用デバイス・環境もPCやシンクライアント、タブレット、Webブラウザなど幅広い。ストリームデータや保存データも暗号化され、クライアントデバイスにデータが残らないためセキュリティも高いという。

デプロイが容易な仮想デスクトップ「Amazon WorkSpaces」

 また、「Amazon WorkDocs」はセキュアなファイル共有を実現するコンテンツコラボレーションサービス。同一ファイルを複数人で共同編集できるほか、Amazon WorkDocs Companionを用いることでローカルファイルとのシームレスに連携を実現する。ユーザーや共有・サイト、監査、コンプライアンスなどに対応した管理者によるコントロールやセキュリティも充実している。

 その他、瀧澤氏はクラウド型コンタクトセンターである「Amazon Connect」、オンライン配信サービスの「Amazon Chime」、需要にあわせて柔軟にスケールアップする「AWS Clinet VPN」、デスクトップアプリケーションを任意のPCに配信する「Amazon AppStream 2.0」などを紹介。リモートワークを支援する無料利用枠や特別提案、オンラインイベント、新型コロナウイルスでのデータ分析を実現するパブリックデータレイクのプロジェクトもあわせて披露した。

WorkSpacesとWorkDocsをフル活用した仰星監査法人

 AWSが提供するリモートワーク向けのサービスのうち、Amazon WorkSpacesとWorkDocsを用いることで、セキュアで柔軟性の高い業務環境を実現したのは仰星監査法人になる。説明会では、仰星監査法人 パートナー公認会計士 金子彰良氏は導入の背景と効果について語った。

仰星監査法人パートナー公認会計士 金子彰良氏

 仰星監査法人は2015年のサービスローンチ初期からWorkSpacesを積極的に利用している。現在は全員にWorkSpacesを貸与しており、法人の業務推進環境はすべてAWSに集約。重要な情報資産はAWSに保存しているので、監査調書などのファイルはいつでも、どこからでもアクセスできるようになっている。一方で、WorkSpacesに接続するクライアント端末はシンクライアント仕様にすることで、重要情報の漏えいリスクを軽減している。

 仰星監査法人では、いち早くクラウドシフトを進めた結果、法人業務の中断にともなうリスクが軽減され、今回の新型コロナウイルス対応でもいち早くリモートワークが整えられたという。「被監査会社に直行・直帰するスタイルが下地があった。だから、仕事のロケーションが変わっただけで、スムーズに在宅勤務に移行できた」と金子氏は語る。

仰星監査法人のAWS活用

 一方のWorkDocsは被監査会社との資料の受け渡しで利用している。従来、会議室等で行なっていた監査資料の受け渡しを、監査チームと被監査会社間のみがアクセスできるWorkDocサイトで行なっており、「クラウド上に監査部屋を作っている」(金子氏)という状態になった。2月からはサイトの新規作成の依頼が急増しており、現在はトータルで110サイトが稼働しているという。

 今回の在宅体制の構築に関しては、ITの施策のみではなく、さまざまな業務面での対応も行なった。在宅勤務への切り替えインパクトを分析し、出勤体制や運用ルールを検討。職員の定期的な健康チェック、行動履歴の記録などを徹底したり、リモートによるサポート体制を構築するほか、被監査会社に対しても制約面や対応について理解してもらったという。

カテゴリートップへ