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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第18回

多機能と高音質、アナログ技術や真空管にこだわった製品

Wi-Fiスピーカーへの印象を改めるとき、iFi-Audioの「AURORA」は感激の音 (4/5)

2020年04月22日 15時14分更新

文● 小林/ASCII

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iFi独自でAURORAの特徴である補正機能を使ってみる

 AURORAを使用してみた。設置について難しい要素はあまりなく、電源とLANケーブルを接続して起動すればすぐ準備が整う。なお、アンプ部に真空管を利用しているため、起動とウォームアップには少し時間がかかる。あせってオンオフを繰り返すのは避けた方がいいだろう。

 すでに述べたように操作は、タッチパネルとリモコンが主体となっている。特徴である「ART」は最上段、左から二番目のボタンを長押しすることで、「Audiophle mode」(他社で言うところのダイレクトモードやピュアモード)との切り替えができる。また、Audiophile modeで、ARTのボタンを押すと「SoundSpace」のオン/オフができ、ARTの結果を反映せず、音の広がり感だけを得ることも可能だ。

メインドライバーは前面と側面に向けて4つ。高域担当のツィーターはコーナー部に斜めに設置されている。

 AURORAは筐体を囲むように6つのドライバーを持つ。SoundSpaceでは、まず2ch信号のL/Rを比較して、センター成分(L/Rで信号が重なる部分)と周辺成分(ズレる成分)を求め、次に正面ドライバーと側面ドライバー(ともに直径120mm)への割り振りを変える。(高域用を除くと)4つあるメインドライバーのうち側面ドライバーに、周辺成分を多く割り振れば、音の広がり感が増すわけだ。SoundSpaceは多数のスピーカーを持つAURORAの基盤であり、ARTはこのSoundSpaceを補う技術となっている。

 なお、ART有効時には常にSoundSpaceが動作する。つまり、ART有効、Audiophie modeでSoundSpaceのみ有効、Audiophile modeの3種類が選べることになる。

 それぞれのモードで聞き比べてみたが、音質面の基本的な特徴は変わらず、各帯域の聞こえやすさや音場感などが少しずつ変化する印象を持った。こういった補正機能では、極端に音色が変化したり、歪みなどの悪影響が出るケースも少なくないが、そういった心配はいらない。デメリットが少なく、総じてメリットが多い印象なので、積極的に活用していきたい機能だ。

付属リモコン。音量調節やソース切り替えのほかART/Audio Phile Mode/SoundSpace、TrueBassの切替ができる。

 ARTは超音波を使って、壁との距離や周囲の反射物を知る機能だが、計測など特別な操作はない。モードを切り替えるだけで動作する。ARTをオンにすると、少し待ち時間が発生する。耳で聴こえる音は発せられないが、この時間を使って計測やイコライジングの設定をしているそうだ。

 AURORAオリジナルの機能としてはもうひとつ、TrueBassという低音増強機能がある。ユニットの性能を超えた27Hzまでの再生をうたっており、TrueBass1、2、3の3段階が選べる。ここは好みで選べばいいと思うが、最大にしても低域のかぶりによる、ボーカルの聞こえにくさはほぼ感じない。全体的な音のトーンを崩さずに安心して使用できる機能と言える。

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