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「YOXO BOX」イベントレポート 第8回

意見・理由を述べて相手を説得する「Essay Writing」を身に着ける

ビジネス英会話を最短でマスター、その勉強法を解説

2020年04月10日 09時00分更新

文● ASCII STARTUP 撮影●永山亘

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 2020年2月7日、横浜市のYOXO BOXで、『英文法の鬼100則』(明日香出版)の著者・時吉秀弥氏を講師に迎えた英語力養成セミナーが開催された。

 YOXO BOXでは、横浜から新たなクロスオーバーとイノベーションを創出することを目指して、月1回、勉強会セミナー「YOXO Study Series」が開催されている。今回のテーマは、相手を説得するビジネス英語力。ワークショップ形式で、ビジネスのプレゼン、レポート、交渉、ディスカッションで必須となる英語スピーキング力を身に着けるための勉強法が紹介された。

スタディーハッカー コンテンツ開発室シニアリサーチャー 時吉秀弥氏

ビジネス英会話をマスターする近道とは

 一口に「英語を話せるようになりたい」と言っても、日常会話ができるようになりたいのか、旅先で買い物やホテル予約ができるようになりたいのか、目的はさまざまだ。冒頭に時吉氏は、英会話をマスターする近道は「英語を話せるようになって"何ができるようになりたいか”を限定すること」と指摘した。

 今回のテーマはビジネス英会話。ビジネスで何ができるようになる必要があるかを考えると、プレゼン、レポート、ネゴシエーション、ディスカッションなどが挙がる。これらはすべて、「~だと思う。なぜならば~だから」のパターンで意見・理由を述べて相手を説得することを目的としている。「つまり、ビジネス英語は、意見・理由を述べることに限定して勉強すればマスターがはやいということです」(時吉氏)

日本語と英語の会話パターンの違いを理解する

 言語に関わらず、スピーキングは、「概念化(何を話すか)」→「言語化(どう言葉にするか)」→「調音」のプロセスになる。ここで、母国語ではない英語を話す際は、「どう英語にするか(言語化)よりも、まず何を話すか(概念化)」が重要になると時吉氏は言う。「言語によって、会話のパターンが違います。日本語と英語の会話の"型”の違いを理解し、英語の“型”で話すトレーニングをしましょう」(時吉氏)

 意見・理由を述べて相手を説得する英語の"型”の1つに「Essay Writing」がある(講師注:書けないものは話せない。ライティングはスピーキングの前段階です)。セミナーでは参加者が、Essay Writingを習得するための勉強法を、ワークショップ形式で実践した。

 英会話と日本語会話の大きな違いは、英語は「Why」が多く出てくる点だ。日本語会話では、「なぜ?」を繰り返すと詮索しているようで感じがよくない。一方、英会話はWhy? の質問を繰り返して「あなたに興味がある」というサインを送り、親しみを示そうとする。理由を考えて話すという英語のパターンに慣れることが、Essay Writing習得の第一歩目だ。

 「英語の会議で、賛成は簡単にできるのに反対は難しいと感じる日本人が多いとききます。これは、反対すればWhy? と聞かれて、理由を話さなければならないためです。日本人は日常的に理由を話す会話の文化がないので、ここが弱みです」(時吉氏)。英語が必要な会議で自分を有利にするためにも、理由を述べる訓練が大事になる。

実践:意見と理由を瞬時に話すトレーニング

 セミナーでは、英語で理由を述べるトレーニングとして「Comparison Game & Why Game」が紹介された。これは、1つのトピックに対して、理由を瞬時に、かつ複数思いついて言う練習だ。まず「Comparison Game」では、2人1組になり、次の例のように「自炊と外食はどちらがよいか」というトピックに対して、意見+理由をいくつも言い合う。

例:Which is better, eating at home or eating out?

A:Eating at home is better because it’s cheap.
B:Eating out is better because it’s cheap as well.
A:Eating at home is better because you can eat healthy.
B:Eating out is better because you can save time.
A:Eating at home is better because you can improve your cooking skills.
B:Eating out is better because it’s fun.

(訳)
A:自炊のほうがいいです。なぜなら安く済むからです。
B:外食のほうがいいです。なぜなら同様に安いからです。
A:自炊のほうがいいです。なぜならバランスよく食べられるからです。
B:外食のほうがいいです。なぜなら時間が節約できるからです。
A:自炊のほうがいいです。なぜなら料理がうまくなるからです。
B:外食のほうがいいです。なぜなら楽しみがあるからです。

 次に「Why Game」では、1つの理由・意見に対して「なぜ~だといいのですか?」「たとえば?」「それはどういうことですか?」「そうするとどうなりますか?」というふうにWhyはじめとする4つの質問を繰り返す対話を行なう。

例:Which is better, eating at home or eating out?

(訳)
A:Eating at home is better because it’s cheap.
B:For example?
A:Once you buy food at the supermarket, you can make two or three meals out of it.
B:What happens then?
A:You can keep the food by freezing it.
B:Why is it good?
A:Because it’s convenient when you don’t have enough time to cook.

(訳)
A:自炊のほうがいいです。なぜなら安く済むからです。
B:たとえば?
A:1つの食材で2、3種類の料理を作れます。(具体例)
B:そうするとどうなりますか?
A:作った料理を保存しておけます。(利点)
B:そうするとなぜいいのですか?
A:料理をする時間がないときに便利だからです。(理由)

 最後にWhy Gameの対話を次のようにパラグラフにしてWhy Gameは終了だ。

パラグラフの例:Eating at home is better because it’s cheap. Once you buy food at the supermarket, you can make two or three meals out of it. You can keep the food by freezing it when you don’t have enough time to cook. That enables you to save time and money. Since it’s cheap, eating at home is better.

(訳)
自炊のほうがいいです。なぜなら安く済むからです。スーパーで食材を買ってきたら、1つの食材で2、3種類の料理を作れます。さらに、作った料理を保存しておくと、料理をする時間がないときに便利です。よって、私は外食より自炊の方がいいと思います。

 パラグラフの段落の最後は、もう一度「意見」を必ず述べるのがポイントだ。話の最初と最後のつじつまを合わせるパターンで話すことで、説得力が増す。「論理の組み立ての『型』を使って、いつでも一貫性のある意見を作れるようにしておく、そしてさらに、それを英語でできるようにする、そういう訓練を行なうためのゲームです。このゲームを通して日本語の論理能力も磨かれます」(時吉氏)

相手を説得する会話パターン「Essay Writing」

 「Comparison Game & Why Game」のトレーニングを積むことで、意見とその根拠を述べる英会話のパターン「Essay Writing」がマスターできると時吉氏は言う。

 Essay Writingは、Introduction(概況説明)、Body(理由1/理由2/理由3)、Conclusion(結論)の5つのトピックから成る。

 Introductionは次のようなパターンになる。

Essay WritingのIntroductionの例
1)トピックとその概況説明
例:More and more people are discussing how to eat these days.
2)論点の提示
例:Some people think eating at home is better while others think eating out is better.
3)意見+理由3つ
例:Considering that it’s cheap, you can eat healthy and you can improve your cooking skills, eating at home is better than eating out.

 いきなり自分の意見を提示するのではなく、聞き手がスムーズに話題に入っていけるように前段階として概況、論点を提示し、その上で意見・理由を述べる。相手にざっくりまとめた意見を話すならこのIntroductionだけでよい。相手が興味を持ってくれたら、さらにBodyを話せばよい。

Essay WritingのBodyの例
Eating at home is better because it’s cheap. Once you buy food at the supermarket, you can make two or three meals out of it. You can keep the food by freezing it when you don’t have enough time to cook. That enables you to save time and money. Since it’s cheap, eating at home is better.

 時吉氏はEssay Writingのパターンを、「荷物の入った箱」に例えて説明した。情報(荷物)を相手に受け取ってもらうには、まず箱にまとめて渡す(Introduction)。相手が箱の中身に興味を示したら、中の荷物を順に取り出して見せていく(Body)。最後に、取り出した荷物をもう一度箱に戻して片付ける(Conclusion)。

 Essay Writingは、「自分の頭の中にある考えを英語で流しだす用水路」だと時吉氏は言う。「だれでも意見は頭の中にある。用水路がないから、言いたいことが詰まって外に流れ出ない。プレゼンがうまい人は、『用水路』の組み立てがうまい人です。」意見・理由を述べて相手を説得するEssay Writingの“型”を習得することが、ビジネスで本当に役立つ英会話をマスターする近道だ。

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