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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第15回

AKMから、PCM1.5MHz/DSD44.8MHz対応のアナ/デジ分離型DACが登場

2020年03月10日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 旭化成エレクロトニクス(AKM)が、3月4日付けのニュースリリースで、高級オーディオ用DACのデジタルとアナログの分離ソリューションを提案、それに沿った新しいラインナップとして「AK4191」(デジタル処理用)と「AK4498」(アナログ処理用)を発表した。

写真はAK4498

 これは従来ワンチップで構成していたDAC ICから、デジタル信号を処理をするモジュレ―ター部分(デジタルフィルターやΔΣ処理を担当)を独立させ、アナログ信号を扱うDAC部と切り分けることで、さらに高音質を狙っていくコンセプトである。これによって、デジタル処理で発生するノイズが、アナログ信号に与える影響を最小化し、聴感上のS/Nを向上できるとしている。この2つのICをチップセットとして組み合わせることで従来とDAC ICと同様の機能を持たせされる。

 高級なHi-Fi機器では、音質を向上させるため、デジタル回路とアナログ回路を分離して、干渉を減らす仕組みが取り入れられているが、これに似た考え方と言える。

 デジタル担当のICであるAK4191では、デジタルノイズ成分の低減に加えて、オーバーサンプリングレートがいままでの8倍から256倍に高性能化、主に高域特性を向上させている。対応するデジタルデータもPCMが1536kHz、DSDが44.8MHz(DSD1024)と従来よりも大きく向上する。

 アナログ担当のAK4498では、現在のフラッグシップであるAK4499と同じような電気的な余裕度と低域ノイズ特性を持たせた、オーディオ専用ICとして製造される。特性はTHD+N:-116dB、S/N比:128dBとされている。AK4499はS/N比:140dBをうたっているので、ここはスペックよりも実際の聴感重視なのかもしれない、

 AK4191は2020年の第2四半期のサンプル出荷を予定。AK4498は量産ステータスにあるとのこと。2チップに分けることで、必要とされる基板の面積なども大きくなるため、当面はSACDプレーヤーやネットワークオーディオなど、据え置き機への搭載が中心になると予想できるが、AKMのDACはデジタルオーディオプレーヤーなどにも多数採用されているため、小型のデスクトップ再生機やキャリアブルな製品など、パーソナルオーディオ分野での応用もありうるかもしれない。

 そうなれば、PCM:1536kHz、DSD:44,8MHzに対応するような高性能のDACやデジタルオーディオプレーヤー製品を作ることができるだろう。いまのところ、こうしたハイレゾ音源はないが、PCとの組み合わせであればアップサンプリングと組み合わせた再生なども考えられる。オーディオ製品の可能性を広げる新製品と言えるだろう。

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