「バイオ」を踏襲しつつも、独自のストーリー展開は大きな魅力
ここまで解説してきたように、本作は多くの点で「バイオハザード」の作法を踏襲しているが、オリジナリティーもある。特に、そのストーリー展開には驚かされる人も多いだろう。
「バイオハザード2」を思い起こしてみると、街でゾンビと遭遇してから脱出に成功するまで、物語の展開はそれほど起伏に富んでいるわけではない。90年代当時のゲームらしさを重視するのであれば、そのような作り方をしても問題なさそうなものだが、「Invader Studios」は本作の開発にあたり、3人の主人公を場面に応じて操作するザッピング視点を採用した。
実際にプレイした印象として、この選択はかなりの英断だと感じられる。このシステムが非常にうまく機能していて、ストーリーは先が読めない、次の展開が気になるものとなっているのだ。
あまり詳しく書いてしまうとネタバレになってしまうのだが、特にCAPTER1からCAPTER2にかけて、かなりインパクトのある展開が待ち受けており、筆者も一気に引き込まれた。
そもそもCAPTER1の主人公である特殊部隊員「リーヴ」からして、「バイオハザード」ではまず操作キャラにならないタイプの一癖ある主人公だ。彼は潜入した研究所でガスのサンプルを探すのだが、基本的に仲間や生存者たちに対しても態度が悪く、平気で銃を向けるようなこともする。
CAPTER2で登場する森林レンジャーのサムは、腐食性ガスを運ぶヘリの墜落前の姿を目撃し、キーンサイトの街に戻ったところでゾンビ騒動に巻き込まれてしまう。彼は定期的に薬を飲まないと悪夢や幻覚に悩まされる疾患を抱えており、ヘリの目撃時に見張り台から薬を落としたことで、不安定な状態のまま行動を続けなければならなくなるのだが、こうした要素は今どきのゲームらしい。一般人でありながら、ある強い動機により積極的にアウトブレイクの渦中へ進まなければならなくなる彼の物語も、非常に先が気になるものだ。
もう一人の操作キャラクターについてはあえて書かないが、本作ではこうしたストーリーテリングの要素が良いアクセントになっている。一度ハマれば、それぞれの人物の物語がどのように絡み合っていくのか、主人公たちはこれからどうなってしまうのか、先の展開見たさにプレイし続けてしまうだろう。
1チャプターごとの長さもそれほどではなく、マップもほどよい広さなので、謎解きで詰まるようなことさえなければ、プレイ自体はかなりスムーズに進んでいく。前述のような戦闘・アイテム管理のシビアさはあるものの、ゲームシステムそのものに慣れてしまえば、プレイ時のストレスはあまりないだろう。

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