購入から設定までiOSアプリがワンストップで実現
ソラコム、eSIM対応の「Soracom Mobile」でコンシューマー市場に参入
2020年2月21日、ソラコムはeSIM対応のデータ通信サービス「Soracom Mobile」を発表し、コンシューマー市場に参入した。おもに海外旅行者・出張者に向けて提供され、iPhoneおよびiPad上のiOSアプリから、購入から設定までをワンストップで行なえる。
SIMカードの差し替えなしに使えるeSIMデータ通信
Soracom MobileはデュアルSIM対応のiPhoneおよびiPadモデルに対応したeSIM対応のデータ通信サービス。最新のiPhone・iPadには書き換え可能なeSIMがあらかじめ内蔵されているため、eSIMデータ通信サービスを契約・購入すれば、物理的なSIMカードの差し替えなしにサービスを利用できる。
Soracom Mobileでは新たに開発されたiOSアプリ(英語・日本語対応)からプリペイドのデータ通信プランを購入し、インストールすることで利用できる。QRコードの読み込みも不要で、プラン設定、アカウント作成、支払い、APNやローミングなどの設定もすべてアプリ上で完結する。なお、音声通話とSMSは利用できない。
対応端末はiPhone 11/11 Pro/11 Pro Max/XS/XS Max/XR、iPad 11インチiPad Pro/12.9インチiPad Pro(3rd)/iPad Air(3rd)、iPad(7th)、iPad Mini(5th)など。異なる通信事業者を利用するためにはロックが解除されている必要がある。
サービスは世界42カ国で提供され、通信量にあわせて北米プラン(4カ国)、ヨーロッパプラン(36カ国)、オセアニアプラン(2カ国)の3つが用意される。すべて30日単位での料金になっており、ヨーロッパプランは1GBで6.99米ドル、北米/オセアニアプランは1GBで12.99米ドルとなる。決済はクレジットカードおよびApple Payから行なえる。
eSIMのテクノロジーを拡大するための新規事業
新型肺炎の影響により、オンライン開催された発表会に登壇したソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏は、拡大するeSIM市場への戦略やコンシューマー市場参入について説明した。
これまでソラコムは一貫してスタートアップや大企業などに向けたB2B・B2B2Cサービスを手がけており、用途もモノ同士が通信するIoTがメインだった。しかし、今回のSoracom Mobileは海外旅行や出張者といったコンシューマー対象のサービスとして発表され、ターゲットや用途も大きく異なる。「海外旅行者・出張者が抱える『SIMカードの抜き差しに苦労する』『WiFiルーターを持ち歩く必要がある』『空港でSIMカードを購入するのに行列する』などの課題を解消できる。ソラコムの抱えているイノベーターのお客様ともかぶる」と玉川氏は語る。
ここに至るまで、ソラコムのメインサービスである「SORACOM Air」は、年々進化を遂げてきた。当初はNTTドコモ回線を用いたサービスだったが、後に親会社になるKDDIの回線にも対応。2016年にはグローバル対応も果たし、2017年にはチップへの埋め込みも可能になった。そして、2019年にはQRコードからのeSIMプロファイルのダウンロード機能を開始し、いよいよ物理SIMからの開放が実現されている。
こうして培ってきたeSIMのテクノロジーを拡大していくのが、Soracom Mobileのもくろみだ。まだまだ市場では少ないeSIM内蔵デバイスだが、2025年には20億台に拡大し、SoCにすべて搭載された統合型SIM(iSIM)の採用も増えるとみられている。「eSIMのテクノロジーはまだ生まれたばかりだし、マーケットも小さい。このマーケットを立ち上げるために、スタートアップ内の新規事業としてやっていることにした」と玉川氏は語る。