現在のストロボの主流はワイヤレス
さて、一般的にA1のような機械のことをクリップオンストロボと呼ぶのですが、このクリップオンストロボを使った撮影は、カメラに取り付けて使う人が多いと思います。もちろんそのための機械なのですが、この場合、光は真っすぐ当たり、いかにもストロボを使いました、という画になりがちです。
よって条件がよければカメラとストロボを離して撮りたいのですが、今度はストロボとカメラの間を何かの形で連携(通信)させる必要が出てきます。その昔はケーブルを接続していましたが、現在ではワイヤレス・トランスミッターという機械を使った無線通信が主流。たとえばキヤノンからは「ST-E3-RT」が発売されており、これを使って発光タイミングや光の強さなどを調整します。
もちろんプロフォトからもすでに似たような製品が発売されているのですが、フルサイズミラーレスの登場で、市場からは機材はコンパクトにしたいという声が。ならば表示やコントロール部分をまるっとスマホに任せてしまおう、というのがA1Xと発売を前後して登場したProfoto Connect(3万7400円)というアイテムです。
さらにプロフォトは誰でも手軽にオフカメラ撮影を楽しんでもらおうと思ったのか、出たばかりのA1XとProfoto Connectをセットにした「Profoto オフカメラ・キット」(オープン価格/実勢価格15万円前後)も発売。ちなみにセットで買うと、Profoto Connectが約半値で手に入るのでお得。これを見逃さないわけがありません!
ちなみに画面や操作パネルが設けられているワイヤレストランスミッター「Air Remote TTL」は実売で6万円を優に超えます……。
「A1Xオフカメラキット」の箱は実に高級感あふれるもの。俺、イイものを買ったかも、という所有欲を満たしてくれます。開梱すると、ストロボのA1Xとその付属品、そして小さな小さなProfoto Connectが姿を現すのですが、あまりの小ささに「これだけ?」と目を疑うことでしょう。
Profoto Connectは、操作ボタンもダイヤルもメニューが一切なく、設定モードはTTL(オート)、マニュアル、電源オフの3種類のみ。あとは充電用のUSB Type-Cコネクターが用意されているのみです。モードを切り替えると天面のLEDの色が変わりますが、さり気ない演出色なので注意しないと気づかないかもしれません。ちなみに1回の充電で約30時間の通信が可能で、通信距離は障害物がない見通しでなんと300メートルとのこと! どのような場所でも確実に光らせる、という意思を感じます。
実際に取り付けると、A1やProfoto Connectは接点が露出しているため「水に弱そう」という印象を受けます。防滴対応である純正ストロボとはココが大きく異なるところで、雨の中でストロボ撮影をする予定がある人は注意が必要でしょう。
Profoto Connectの設定をするため、スマートフォンに無料の専用アプリ「Profotoカメラ」をインストール。機材のユーザー登録をした後、Profoto ConnectとBluetoothで接続します。認識もほぼ一発で、すぐに利用可能です。初めて接続した時、スマホ経由でProfoto Connectのファームウェア更新が行なわれました。
ちなみにProfotoアプリは、スマホ向けフラッシュのC1シリーズと、やや大型の可搬式ストロボB10シリーズと、Bluetooth通信によるフラッシュ撮影ができる優れモノだったりもします。
スマホで光量コントロールするメリットは、UIが直感的で見やすい点につきます。調光コントロールは、Bluetoothを搭載した同社B10でも可能で、Profoto Connectと接続したA1Xとの同時コントロールというソリューションもできます。ですが、A1X側のみを動かそうとProfoto Connect側のコントロールスライダーに触れると、チャンネル全体を変化させる動きをするようでB10側も動いてしまいました。どうやらスマホを使った個別コントロールをするには、Bluetooth対応のストロボを複数台用意するしかなさそうです。