■大型還元でポイント循環を「回し始める」
こうした大型の還元キャンペーンに対して、「還元が終われば客離れが起きるだけ」との指摘もあります。しかも、ほぼゼロから始めたPayPayとは違い、au PAYにはau WALLETから受け継いだ2800万もの会員基盤がすでにあるのです。
これに対してKDDIは「ポイントの循環」が目的と説明しています。注目すべきは最大7万円の値引きではなく、最大7万ポイントを付与する点です。ポイントをもらった人には、それを使うためふたたび買い物に出かける動機が生まれます。
そこで活きてくるのがau PAYアプリの「スーパーアプリ」宣言です。他社の決済アプリと同じく、KDDIも多くの決済や金融サービスを盛り込むことで、ポイントの循環を促進しようとしています。
こうした循環サイクルは、最初の「回し始め」に大きなエネルギーが必要です。先行するPayPayは大型還元で勢いをつけ、広く浅い還元を繰り返すことで軌道に乗りました。au PAYは成功までの最短距離が見えている状態といえるでしょう。
ただ、au PAYは楽天ペイと加盟店で提携しているとはいえ、使える店はまだまだ全国チェーンが中心です。au WALLETのアプリは動作が重たく、立ち上げるのはやや面倒に感じることもあります。このあたりは今後のアップデートを期待したいところです。
この連載の記事
-
第270回
スマホ
iPhone値上げ、Pixel躍進──2022年のスマホを振り返る -
第269回
Apple
アップル「iPad(第10世代)」なぜ値上げ? -
第268回
iPhone
iPhone「mini」ユーザーはどこへ向かうのか -
第267回
Apple
アップル「M2 MacBook Air」M1ユーザー視点でレビュー -
第266回
スマホ
iPhone値上げ 高コスパAndroidにチャンスはあるか -
第265回
Apple
アップル製品の「壁」を取り払う新機能に注目 #WWDC22 -
第264回
スマホ
メガネをかけると大画面? 「Nreal Air」を試した -
第263回
ビジネス
在庫不足のアップル、コスト増のアマゾン──GAFA決算、各社の課題浮き彫り -
第262回
PC
出張用のPCやモバイル回線を見直した -
第261回
Apple
アップル「Mac Studio」Mac miniから買い換える価値はある? -
第260回
スマホ
楽天モバイル「Apple Watch」は新たな強みになるか - この連載の一覧へ