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スペースXがクルー・ドラゴンの緊急脱出試験に成功、有人飛行近づく

2020年01月21日 19時17分更新

文● Neel V. Patel

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SpaceX

スペースX(SpaceX)は、飛行中の宇宙船「クルー・ドラゴン(Crew Dragon)」から緊急脱出するシステムの試験に成功した。これで同社にとって初となる有人飛行の準備がいよいよ整った。

無人のクルー・ドラゴンを搭載したファルコン9(Falcon 9)ロケットは1月19日、ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。打ち上げから約84秒後の高度19キロメートル付近でファルコン9がエンジンを停止すると、クルー・ドラゴンのスーパードラコ(SuperDraco)エンジンが起動。マッハ2.3の速度でファルコン9からクルー・ドラゴンを分離した。クルー・ドラゴンの軌道修正用の小型ロケットエンジンが無事機能した後、ロケットは落下中の空中で爆発し、大西洋上に墜落した。クルー・ドラゴンは、ロケットの残骸から離れた安全な海域に無事着水した。

有人宇宙飛行船にとってもっとも重要な飛行中の緊急脱出メカニズムでは、打ち上げ開始後に何らかの不具合が生じた場合に乗組員が安全かつ確実に避難できるようにする必要がある。スペースXは試験の一環として、緊急事態に遭遇した際に宇宙船内部にいる可能性があるすべての宇宙飛行士が、増大する重力加速度や凄まじい揺れに耐えられることを確認するため、宇宙船内部からの測定値を収集した。

今回の試験は、スペースXと米国航空宇宙局(NASA)にとって、クルー・ドラゴンによる初の有人飛行を実現するための最終チェック項目だ。スペースXとボーイングはNASAの商業乗員輸送プログラム(CCP:Commercial Crew program)に参加しており、NASAは地球低軌道(宇宙ステーションなど)への有人飛行任務を民間企業に委託しようしている。それによってNASAは月と火星への深宇宙探査に専念する。ただ、NASAの宇宙飛行士が最後に米国内から宇宙へ旅立ってから、すでに8年以上が経過している。

CCP計画の道のりは、決して平坦なものではなかった。スペースXとボーイングの両社は、大幅な計画の遅れに直面している(最初の有人飛行試験は2017年に予定されていた)。昨年4月には、発射台の火災によってクルー・ドラゴンが消失し、スペースXの計画は数カ月遅れることになった。ごく最近では、ボーイングの宇宙船「スターライナー(Starliner)」が、最初のミッションでタイミングの問題から、計画通りに宇宙ステーションとドッキングできなかった

楽観的に見れば、スペースXはすべての主要な試験に合格しており、わずか数カ月後には初の宇宙への有人飛行を実現する可能性がある。最初の有人ミッションに参加する予定のNASAの宇宙飛行士の1人、ダグ・ハーレーは1月19日の試験について次のように述べている。「これは卒業試験のようなものです。(中略)私たちが実際に宇宙に飛び立つ日が刻々と近付いています」。

一方、NASAとボーイングは、12月のミッション失敗の原因をまだ調査中であり、スターライナーの試験・開発にどのような遅れが出るかは不透明だ。もっとも楽観的な見方をすれば、NASAがボーイングに別の無人飛行試験をさせず、今年後半のスターライナーによる国際宇宙ステーション(ISS)への有人飛行の実現を目指すことになりそうだ。

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