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フルコア5.1GHzなら常用可能!?

起動だけなら5.4GHzも夢じゃない!? 「G-Master Spear Z390-Taichi KS II」でCore i9-9900KSのOCに挑戦してみた

2020年01月25日 13時00分更新

文● 宮里圭介 編集● ASCII

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「CINEBENCH R20」の完走をOCの成功とみなしてチャレンジ

 OCが成功したかどうかの判断は人それぞれ。UEFIの画面が出ればいいという人もいれば、Windowsが起動すれば成功とする人もいる。また、負荷テストで丸1日耐えなければ成功とは言えないという人もいるだろう。

 今回はそれなりの負荷に耐えられれば成功とみなすことにし、「CINEBENCH R20が完走」を条件とした。CINEBENCH R20はCGレンダリング速度からCPU性能を測るベンチマークソフトで、性能を独自スコアとなるptsという単位で教えてくれる。負荷テストとしてだけでなく、OCによる性能向上もチェックできるという、一石二鳥の判断基準だ。

 ちなみに、OC設定はせずにデフォルトのまま試した場合のスコアは「5110pts」。ここからOCでどこまでアップするのかが楽しみとなる。

OC設定をせず、デフォルト時となる全コア5GHz動作でのスコアは5110 pts。ちなみにCore i9-9900Kのスコアは4940ptsなので、この時点でCore i9-9900Kより高速だ

 また、OCに失敗した場合の原因究明用として、CPUの動作クロックと温度をチェックするため「HWiNFO」を表示しておいた。「Core * Ratio」で各コアの動作倍率、「CPU Package」と「Core Max」でCPUの温度をチェックできる。

CPUの状態を見るのに「HWiNFO」を使用。これは標準状態でCINEBENCH R20を動かした直後のもので、5GHz(50倍)で動作し、最大101度まで上昇しているというのがわかる

準備が整ったところでチャレンジ! 5.1GHzならあっけなく動作

 デフォルト設定の数値を見て気づいた人もいると思うが、実はCore i9-9900KSというCPUはTDPが127Wと高く、温度も高くなりがちなCPUだ。加藤勝明氏の記事「【詳報】Core i9-9900KSの性能をRyzen 7 3800Xや3900Xと比較」でのベンチ結果を参照してもらえるとわかるのだが、360mmラジエーターの水冷クーラーを使った場合でも高負荷時は100度超えとなっており、これが通常運転となる。

 この温度を見てしまうと、正直、これ以上のOC動作は見込めないのではないかと思えてしまう。それでも、ほんの少しでも、5.1GHzでもいいから動いてくれないかと思いながら試してみたところ……倍率を変更するだけであっさり動いてしまった。

デフォルトから「CPU Ratio」を「x51.0」に変更しただけ。Voltageは最初からCPU Coreが+0.060Vとなっていたので、そのままにしている

CINEBENCH R20のスコアは5210 ptsで、100ptsほど上昇。オーバークロックの成果がしっかりと出ている

CPUの最大温度は100度前後と、一応はOC設定にもかかわらず変化なし。CPUクーラーの冷却性能は間に合っているようだ

 調子に乗って5.2GHzに変更してみたところ、Windowsそのものの動作は問題なし。ただし、CINEBENCH R20を動かしている最中にフリーズしてしまい、最後まで完走してくれなかった。

 CPUの電圧を盛りまくり、「+0.200V」にしたところで一応は完走してくれたものの、スコアは5195ptsと5.1GHzの時よりも下がってしまった。HWiNFOで情報を見ていたところ、CPU温度は114度まで上昇しており、さらにところどころでコアがグレーアウトし、まともに動いていない状況だった。いくら完走したといっても、スコアが下がってしまえばOCの意味がない。成功といえるのは5.1GHzまでだろう。

 とはいえ、今回は倍率と電圧しか変更していないため、他の項目を調整することで安定動作も目指せそうだ、という手ごたえは感じた。

AVX2命令を使わない負荷テストなら5.3GHzで動作!

 「CINEBENCH R20」はCPUへの負荷が高いAVX2命令を使うため、負荷テストとしてはかなり厳しいものとなっている。そこで、AVX2命令を使わない「CPU-Z」の「Stress」テストでどこまでOCできるのかもチャレンジしてみた。

 テスト方法はまったく同じで、A-Tuningを使って倍率と電圧のみを変更。CPU-ZのStressテストで2分間負荷に耐えたらOC成功とした。

 5.1GHzは倍率変更だけで難なくクリア。CINEBENCH R20では完走しなかった5.2GHzも、倍率変更だけで問題なくクリアしてしまった。続いて5.3GHzにしてみたが、さすがにこれは途中でフリーズ。そこで電圧を「+0.080V」へと少しだけ盛ってみたところ、無事動作した。

倍率を53倍、電圧を+0.080Vとすることで、5.3GHz動作に成功。さすがにこの時のCPU温度は100度まで達している

 5.4GHzでは設定そのものは可能で、Windowsも動作していたのだが、Stressテストを始めた途端フリーズ。電圧を盛っても変わらなかったため、5.3GHzが限界だと判断した。

 とはいえ、OSを動かすだけなら5.4GHzでも動き、AVX2を使わなければ5.3GHzで動作するというのは、OCとしては大成功といえるだろう。

純粋な高性能PCとしてはもちろん、OCにチャレンジしたい人にはとくにオススメ

 元々Core i9-9900KSは数量限定の高性能モデルということもあり、純粋に高性能PCが欲しいという人に「G-Master Spear Z390-Taichi KS II」は魅力的な構成となっている。さらにOCにチャレンジすることで、既製品にはない性能まで追求できるというのが最大のメリット。自己責任となってしまうが、倍率を変更するだけで5.1GHzで動作する可能性があるなら、試してみたくなるハズだ。

 PCパーツを集めて組むのが面倒だけどOCはやりたいという人はもちろん、初めてOCにチャレンジしたいという人まで、誰もが本格的なOCに挑戦できるモデルといえる。

 簡単な倍率変更から電圧調整、そしてさらに安定動作を目指した細かなチューニングと試行錯誤へステップアップしていけば、OCの楽しさがきっと見つかるはず。最強性能を目指したOCに興味があるなら、必ずチェックして欲しい製品だ。

(提供:サイコム)

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