大型の360mmラジエーターを採用した簡易水冷クーラーを装備
モンスターCPU「Ryzen Threadripper 3970X」搭載、デュアル水冷で冷却もスゴイゲーミングPC「G-Master Hydro TRX40 Extreme」
2020年01月23日 17時00分更新
サイコムの「G-Master Hydro」シリーズは、簡易水冷クーラーを使ってCPUを冷却するだけでなく、独自に改造した水冷ビデオカードまで採用したデュアル水冷モデル。120mmラジエーターを使ったスタンダードなモデルから、360mmラジエーターのOCモデルまで多くのラインナップがあるが、新たに追加されたのが32コア/64スレッドCPUの「Ryzen Threadripper 3970X」を搭載したモデルだ。
今回は、この最強クラスCPUを搭載した「G-Master Hydro TRX40 Extreme」をチェックしていこう。
大型の360mmラジエーターを採用した簡易水冷クーラーを装備
まずはG-Master Hydro TRX40 Extremeの構成からチェックしていこう。今回テスト機として借りたものは、メモリーが8GB×4から16GB×4へと増量されていたものの、基本的には標準構成と同じとなっていた。
試用機の主なスペック | |
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機種名 | G-Master Hydro TRX40 Extreme |
CPU | Ryzen Threadripper 3970X |
CPUクーラー | Fractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BK |
グラフィックス | GeForce RTX 2070 SUPER(サイコムオリジナル水冷静音仕様) |
メモリー | 64GB(16GB×4、DDR4-3200) |
ストレージ | 512GB SSD(M.2接続、Intel SSD 660p Series) |
マザーボード | ASUS PRIME TRX40-PRO |
PCケース | Fractal Design Define S2 Black TG |
電源 | Corsair RM850x(850W/80PLUS Gold) |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
G-Master Hydro TRX40 Extremeの最大の特徴は、「Ryzen Threadripper 3970X」を搭載している点。32コア/64スレッドというだけでなく、基本動作クロックが3.7GHz、ブースト時は最大4.5GHzと高く、モンスタークラスのCPUといって間違いないモデルだ。
これだけ規模の大きい構成のCPUだけに、TDPも280Wと非常に高い。通常のRyzenシリーズ最高峰のRyzen 9 3950X(16コア/32スレッド)でも105W、メインストリームのRyzen 7 3700X(8コア/16スレッド)では65Wというのを踏まえると、どれだけ発熱が大きいのかがよくわかる。
この高発熱CPUを冷やす方法はいくつかあるが、G-Master Hydro TRX40 Extremeが採用しているのが360mmの大きなラジエーターを備えた簡易水冷クーラーだ。
サイコムのG-Master Hydroシリーズは120mmのラジエーターを使うのが通常だが、CPUに合わせ構成を変えている。ちなみにこの360mmラジエーターを採用しているのはほかに、Core i9-9900Kを全コア5GHzで動作させるOCモデル「G-Master Hydro Z390 Extreme OC」などがある。
吸気口へのラジエーター装着は、冷却性能を重視した配置
水冷クーラーは、ラジエーターからの熱をケース外部へと排出するよう装着するのが通常なのだが、G-Master Hydro TRX40 Extremeではラジエーターを前面に取り付け、熱はケース内へと逃がす構成となっている。これはケース内温度が上がりやすくなるため一般的には推奨されない配置だが、ラジエーターに冷たい外気を直接あてられるというメリットがある。つまり、ケース内温度の上昇を抑えるよりも、冷却効率を重視した構成といえる。
独自に水冷化したビデオカードを装備
デュアル水冷ということからもわかるとおり、CPUだけでなくビデオカードも簡易水冷クーラーを装備。こちらのラジエーターは120mmと小さめだが、高負荷でも十分な冷却性能があるのはサイコムで検証済みだ。ascii.jp内でも過去に何度か水冷化したGeForce RTX 2080やGeForce RTX 2070 SUPERなどで負荷テストを試しているが、70度にも届かないことを確認している。
ビデオカードに搭載されているファンは負荷がかかると高回転になるものが多く、CPUクーラー以上の騒音源となるのが少なくないため、この騒音が減らせるという点でもデュアル水冷は魅力的だ。なお、GPUからの熱を考慮しなくていいぶん回転は緩やかなので、水冷化した後ももビデオカードのファンはそのまま残してあり、メモリーや電源回路の冷却に活用されている。
メモリーはクアッドチャネルとなるため4枚構成が基本
通常のRyzenシリーズはメモリーコントローラーを2つ搭載しているデュアルチャネルとなるため、メモリーは2枚単位で増設するのがもっともパフォーマンスが出る構成だ。これに対しThreadRipperは4つのコントローラーを搭載するため、クアッドチャネル、つまり4枚単位での増設が最適だ。
メモリースロットを合計8基備え、最大3200MHzとなるDDR4-3200まで対応しているが、この速度は4枚時のもの。8枚時は最大DDR4-2933になってしまうのが公式の仕様だ。ただし、この辺りはメモリーモジュールやマザーボードによっても変わってくるため、8枚装着時でもDDR4-3200として動作することもある。
とはいえ、4枚時よりも8枚時のほうが速度の上限が低くなりやすいのは事実。標準の8GB×4構成ではメモリー容量に不安を覚えるのであれば、最初から16GB×4構成へと変更しておいた方が、速度面でメリットがある。購入時はこの点に気を付けておきたい。
側面ガラスパネル装備!定番ケースの「Define S2」
本体に採用しているケースは、Fractal Designの「Define S2」。自作PCでも定番となるもので、これにUSB 3.0×2、USB 2.0×2、USB Type-C、ヘッドフォン出力、マイク入力のインターフェースを持つパネルが組み合わされている。
このほか、取り外してホコリの掃除をしやすいフィルターや、シンプルで目立たないデザインなど、純粋にケースとして優れた部分を多く備えている。
側面パネルは、内部が見えるガラスを採用。オプションのLEDストリップ(+2420円)を追加すれば、内部のライトアップも可能だ。
G-Master Hydro TRX40 Extremeの特徴をひととおり紹介してきたが、やはり気になるのは性能面と、そして熱。360mmラジエーターの水冷クーラーでどこまで冷えるのか、次回テストしていこう。