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HCIが苦手な「成長が予測不能なワークロード」に対応、「HPE InfoSight」の予測能力も組み込み

シンプルさと拡張性を両立、新HCI「HPE Nimble Storage dHCI」発売

2020年01月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2020年1月23日、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)プラットフォームの新製品「HPE Nimble Storage dHCI」の提供を開始した。導入や運用管理がシンプルなHCIのメリットを持ちつつ、サーバーとストレージを独立してスケールアウトできるコンバージドインフラ(CI)のような柔軟さの実現を目指した製品。

 「dHCI」という製品名の「d」は、「disaggregate=構成要素に分かれる」の意味だという。同日の記者発表会では、同製品の具体的な構成や特徴、「HPE InfoSight」の連携によるメリット、既存のHCI製品「HPE SimpliVity」との位置付けの違いなどが説明された。

HCIプラットフォーム新製品「HPE Nimble Storage dHCI」の構成例。サーバー、ストレージ、スイッチの独立した製品で構成される

日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッド製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

同社 ハイブリッドIT事業統括 製品統括本部 ストレージ製品本部の尾田源市氏

HCIの「シンプルさ」と3ティア/CIの「柔軟な拡張性」を両立させる

 HPE Nimble Storage dHCI(以下、Nimble dHCI)は、HPE ProLiantのx86サーバー(DL360またはDL380)、Nimble Storageのストレージ(オールフラッシュまたはハイブリッド)、HPE/Arubaのネットワークスイッチで構成されるハードウェアに、仮想化基盤として「VMware vSphere/vCenter」を組み合わせた製品。用途に応じてサーバーやストレージのスペックは個別に選択/拡張できるのが特徴で、サーバーは最小2ノードから最大20ノードまでスケールアウト可能。

 Nimble dHCIの最小構成価格(税抜)は1360万円から。ここにはInfoSightの利用権、ストレージコントローラ-がバージョンアップした場合のアップグレード権も含まれる。

Nimble dHCIの構成要素

 このコンポーネント構成だけを見ると、Nimble dHCIはHCIよりも“CIの進化形”のように思えるが、ハイブリッド製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は「Nimble dHCIは、HCIとCIの“いいところ取り”をした製品」だと語る。

 本田氏は、仮想化環境の複雑さをシンプル化したのが従来のHCI製品だったが、HCIでは「成長が予測不能なワークロード」には対応できない課題があったと説明する。サーバーノードの内蔵ドライブを共有ストレージとして利用するHCIでは、パフォーマンス(サーバー)と容量(ストレージ)を個別に拡張できないからだ。一方でCIには、各構成コンポーネントを個別に管理しなければならない複雑さが残る。

 Nimble dHCIの場合は、単にHPEのサーバー/ストレージ/スイッチ製品群とVMware仮想化ソフトウェアを組み合わせただけでなく、導入時のセットアップや運用中の監視/管理作業を一元化/自動化するdHCI専用のソフトウェア(自動展開ツール、vCenterプラグインなど)を組み込んでいる。ここに仮想化環境を一元管理するvCenterも加えて、HCIのようなシンプルな使い勝手を実現しているという。

 「一見するとサーバー、ストレージ、スイッチの3層に分かれているように見えるが、専用ソフトウェアによって、自動化などHCIのシンプルさが実装されている。米国で検証した結果、Nimble dHCIはラックマウント後、およそ15分で仮想マシンを立ち上げることができた」(ストレージ製品本部の尾田源市氏)

仮想化環境の運用管理は「VMware vCenter」に集約し、シンプル化

 もうひとつの重要な構成要素がHPE InfoSightだ。

 これまでInfoSightは、ストレージやサーバー、ネットワーク、仮想化基盤から収集する多種のテレメトリデータ(稼働状況データ)を分析し、障害発生の予兆を検知してプロアクティブな対応(事前対応)に役立てる機能を提供してきた。Nimble dHCIでもそれを踏襲し、予兆に基づく自動対応やHPEのサポート側からの連絡などを行うことで「99.9999%」の高い可用性を実現する。

HPE InfoSightがフルスタック(ストレージ/サーバ-/仮想化/ネットワーク/アプリケーション)の稼働状況データを収集、分析

 これに加えて、InfoSightを通じて「パフォーマンス劣化」の問題解決を支援する機能も提供する。HCIでパフォーマンス劣化が生じた場合、その原因がどのレイヤーのどの部分にあるのか、原因を追及するのが難しい。InfoSightを使うことで、すべてのレイヤーから収集したテレメトリデータを一元的に分析、可視化できるため、その原因究明が容易になるという。

VM別のレイテンシ表示画面。原因がどのレイヤーにあってもこの画面から原因究明できる

 サーバーとストレージが分離されたアーキテクチャでそれぞれ個別に拡張できること、さらにInfoSightの自動分析によってリソース追加が必要なタイミングやその量が明示されることから、dHCIでは「オーバープロビジョニング、リソースの無駄を防ぐことができる」(尾田氏)としている。

パフォーマンス(サーバー)と容量(ストレージ)を個別に拡張できる

 なおNimble dHCIはエンタープライズ向け従量課金制クラウドストレージサービスの「HPE Cloud Volumes」にも対応しており、ハイブリッドクラウド環境もシンプルに構築できる。

既存のHCI、SimpliVityとは「組み合わせて販売する」補完的な位置付け

 製品名からもわかるとおり、今回のNimble dHCIはNimble Storageを中心に据え、そこにHCI構築/管理用ソフトウェアを追加することで“HCI化”した製品である。

Nimble dHCIの位置付け。従来のHCIと3ティアシステム/CIの“いいところ取り”を目指す

 HPEではすでにHCI製品として「HPE SimpliVity」をラインアップしているが、市場における棲み分けをどう考えているのか。そう質問したところ、HPE総合エバンジェリストの山中伸吾氏は「(dHCIとSimpliVityの)どちらを販売するかではなく、これらは組み合わせて販売するものだと考えている」と述べた。

 「たとえば日本のHCI市場は400億円規模だが、それ以外のサーバーには6000億円規模の市場がある。つまり、従来型のHCIでカバーできるワークロードの範囲はまだまだ限られている。ただし、HCIのもたらした『仮想マシン中心型の管理』、仮想マシンを中心にインフラを管理する見方は便利だという声は強い。そこで、HPEでは両方(dHCIとSimpliVity)を組み合わせ、HCIの提案範囲を広げていくことを考えている」(山中氏)

 つまり、ワークロードの特性に応じたHCIの選択肢としてNimble dHCIとSimpliVityを提供しつつ、いずれの場合でも運用管理はvCenterやInfoSightのレイヤーで一元化するというビジョンだ。

 また本田氏も、Nimble dHCIは「現在のHCIプロダクトでは足りない部分を、Nimble Storageの良さを拡張してHCIライクに使えるようにした製品」だと述べ、SimpliVityとは補完的な関係であることを説明している。

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