2019年12月12日、AMDがエントリー向けGPU「Radeon RX 5500 XT」(以下、RX 5500 XT)を発表したことは記憶に新しいのではないだろうか。
このRX 5500 XTは、開発コードネーム「Navi 14」と呼ばれていたもので、Radeon DNA(以下、RDNA)アーキテクチャーを採用したGPUが、ようやく購入しやすい価格帯に登場したことになる。発表から1ヵ月以上が経過した2020年1月中旬、PCパーツショップの店頭には、さまざまRX 5500 XT搭載製品が並び、賑わいを増している。
そんな中、MSIから登場した「Radeon RX 5500 XT MECH 4G OC」(以下、RX 5500 XT MECH 4G)は、ビデオメモリー容量が4GBながらも、価格は実売で2万2000円~2万5000円とかなりリーズナブル。
では、このRX 5500 XT MECH 4Gでどの程度ゲームが快適にプレイできるのだろうか。そこで、本稿ではテストを踏まえ、RX 5500 XT MECH 4Gのポテンシャルに迫りたい。
カードサイズは実測で212mmほど
ゲームクロックがリファレンスから16MHz上昇
まずは、RX 5500 XT MECH 4Gのカードそのものについて見ていこう。カード長は、実測で約212㎜(※突起部除く)で、比較的コンパクトにまとまっている印象だ。マザーボードに装着した際、垂直方向にブラケットから22mmほどはみ出ているため、補助電源コネクターがケースに干渉しないよう、カード上部にある程度の余裕は必要になるだろう。
その補助電源コネクターは8ピン×1構成。MSIによると、RX 5500 XT MECH 4Gの消費電力は130Wとのこと。450W以上の電源ユニットが推奨となっており、エントリー向けモデルらしく電源ユニットのハードルが比較的低い点は、かなり扱いやすいといえる。
GPUクーラーは2スロット占有タイプで、90mm角相当のファンを2基備える。最近のカードとしてはめずらしく、GPUクーラーにLEDは一切搭載されておらず、その分コスト低減に励んだということなのだろう。
特徴的なのは2基のファンブレードで、途中から傾斜が変わる分散型ファンブレードと、2つの突起が施された従来型ファンブレードの2枚が交互に並ぶ「トルクスファン 3.0」仕様を採用している。なお、MSIによると分散型ファンブレードにより静圧を強化し、従来型ファンブレードによりエアフローをより集束できるという。
カードを横から覗き込むと、GPUクーラーのヒートシンクには6mm径のヒートパイプが2本用いられており、これらのヒートパイプがGPUに直接触れることで冷却効率の向上が図られている。また、GPUだけでなくメモリーチップや電源部にもヒートシンクが装着され、コンパクトなサイズながらも冷却面はかなりしっかりした設計がなされている。
さて、RX 5500 XT MECH 4Gの動作クロック設定だが、ベースクロックが1647MHz、ゲームクロックが1733MHz、ブーストクロックが1845MHzとなっている。RX 5500 XTのベースクロックは非公開だが、RX 5500 XT MECH 4Gのブーストクロックはリファレンスから変わりがない一方で、ゲームクロックはリファレンス比で16MHz引き上げられており、製品名から察しが付くように、メーカーレベルで動作クロックが引き上げられたクロックアップモデルである。
付属アプリケーションの「Afterburner」(Version 4.6.2)を用いることで、ユーザーの自己責任にはなるが、オーバークロック向けの各種調整を行なえる。具体的には、ブーストクロックは1MHz刻みで920~2395MHz、メモリークロックは1MHz刻みで875~2275MHzにそれぞれ設定でき、細かなオーバークロックを試せる。