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CES 2020レポート第22回

第一弾「HED-Net」は急性疾患の早期対応を実現

CES 2020 積水ハウスが新時代の住宅「プラットフォームハウス」発表

2020年01月09日 00時40分更新

文● 貝塚 編集● ASCII

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積水ハウスがCESでプレスカンファレンス

世界初の「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク」

 積水ハウスが米ラスベガスで開催中のエレクトロニクスショー「CES 2020」でプレスカンファレンスを開催。「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net」の開発を明かした。

 HED-Netは、住宅内に設けたセンサーで居住者の脈拍、血圧、体温といった生体データを取得・解析し、急性疾患発症の可能性がある異常を検知した場合に、緊急通報センターへの通知、安否確認、玄関の解錠、救急への出動要請、救急隊の到着、玄関の施錠を一貫して実行する仕組み。

 自宅に、自分を除いて誰もいない状態で、脳卒中などの急性疾患で倒れてしまった場合、誰かに発見されるまで治療を受けられない。そのあいだに脳細胞の破壊が進み、重度の後遺症が残ったり、命を落としてしまったりする例も多い。

在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net

 HED-Netを導入した住宅で倒れた場合、家族や近所の人に代わり、システムが一貫して救急医療を受けられる段階までサポートしてくれることになる。

 現在は「安否確認システム」として国内のシステム特許を取得し、国際特許を出願している。住宅にこのような仕組みを組み込む試みは、世界で初めてという。

脳卒中、早期発見が重要

 滋賀医療大学の2017年の調査によれば、日本の脳卒中の発症者数は年間でおよそ29万人。そのうち79%は、家の中で発症しているという。そして、そのうちおよそ1万5000人は住宅内で亡くなっているそうだ。

 脳卒中の中でも、脳の血管が詰まって、脳の神経細胞が壊死する急性疾患が「脳梗塞」だ。脳梗塞になってから、詰まった血管の先にある細胞は突然破壊されるのでなく、徐々に壊死していく。

 現在の医療では、発症から4.5時間以内なら、「t-PA」と呼ばれる治療が適用できる。これは、詰まっている血管の手前までカテーテルを通し、血栓溶解剤を注入することで、詰まりを改善するというものだ。

 t-PAには有効性が確認されているものの、発症から4.5時間が経過してしまうと、治療の対象外となってしまう。発見が遅れれば遅れるほど、疾患が重篤化するため、早期発見、早期対応が鍵と言われている。

 HED-Netを住宅に導入し、早期発見、早期対応につながれば、急性疾患発症時の、健康への影響を最小限にとどめられる可能性がある。

「人生100年時代の幸せ」を住宅で実現

積水ハウスは住宅による「幸せ」の実現を目指す

 カンファレンスには、積水ハウス 代表取締役社長 仲井 嘉浩氏が登壇。「プラットフォームハウス」と呼ばれる、新時代の住宅の構想を話した。

 仲井氏は、1960年から2020年までの住宅の歩みを「1960年から1990年までは耐火性や防震性といった安全や安心にかかわる部分、1990年から2020年までは断熱性やユニバーサルデザインなど快適性にかかわる部分が、住宅に求められる大きなテーマでした。

 そしてこれからの30年、私たちが目指したいのは『幸せ』です。『人生100年時代の幸せ』を住宅によって実現するのです」と話す。

積水ハウス 代表取締役社長 仲井 嘉浩氏が登壇した

 コンセプトは「わが家を世界一幸せな場所にする」というもの。住まい手の住環境データ、ライフスタイルデータをIoTで取得し、健康、つながり、学びといった、住まい手の幸せにつながる要素に還元しようという考え方が、プラットフォームハウスの概要だ。

 今回発表されたHED-Netもその中の一部。現在は開発を進めているが、今年中にも「パイロットプロジェクト」として生活者参加型の実証実験を実施していく。

「普段の暮らし」を変えずに実現する

 HED-Netに使われている技術も紹介しよう。

 登壇した積水ハウス 執行役員 プラットフォームハウス推進部長の石井 正義氏は、「いままで通りの生活を変えないことに、もっともこだわりました」と話す。

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