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KDDI、沖縄で海底ケーブルを敷く新造船内部を初公開

2019年12月24日 09時00分更新

文● 山田祥平 編集●ASCII

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沖縄~九州間で新たな海底ケーブルが!
ケーブルシップ「インフィニティ号」が活躍

 沖縄セルラー電話、KDDI、国際ケーブル・シップ(JCS)が、「沖縄~九州間 新海底ケーブルの建設」についての説明会を実施し、新造船内部を公開した。

この9月に運用が開始されたケーブルシップKDDIケーブルインフィニティ号

 新海底ケーブルは5G時代に向けた高速、低遅延、多数同時接続の通信ネットワークのバックボーンとしてはもちろん、最近多発している自然災害に備え、既設の沖縄本島東ルート(沖縄・具志頭~宮崎)に加え、東シナ海の西ルートとして沖縄・名護~鹿児島・日置約760Kmを結び、東西2ルート化による信頼性の向上をもくろむというものだ。

 沖縄セルラーの山森誠司氏(常務取締役技術本部長)は、「沖縄は台風に慣れているものの、先日の13号、19号では石垣、宮古に大きな被害が出た。さらに18号では海底ケーブルシステムが被災、離島のループ回線が11時間まったく使えない状況になった。強靱な通信ネットワークがなければ島が孤立化してしまうことの危機を痛感した」と大規模災害を見据えることの重要性を説く。

沖縄セルラーの山森誠司氏(常務取締役技術本部長)

梧谷重人氏(KDDI理事技術統括本部グローバル技術・運用本部長)

 昨年の12月からルート調査を実施、機器・ケーブルの制作を行ない、両岸の局舎の完成も間近でいよいよ海底工事の工程に進む。運用開始は2020年4月を予定しているという。

 海底工事にはケーブルシップと呼ばれる専用の船が使われる。この9月に新たにJCSが運用を開始したKDDIケーブル「インフィニティ号」は、日本で初めて電力ケーブル工事への対応が可能なケーブルシップで、大規模災害時にau携帯電話の疎通復旧を支援する船舶型基地局にも対応できるように作られている。

東シナ海経由で新設される西ルート

 KDDIによれば、今、日本と海外とのインターネット通信の99%は海底ケーブルを経由しているという。今後は、その役割がますます重要になる。今から55年前、東京オリンピックの年に、太平洋を横断する日米間の国際電話が接続されたが、それを担った海底ケーブルTPC-1を敷いたのはKDDIの前身でもあるKDD(国際電信電話)だ。

ケーブルを繰り出して海底に沈めていく各種装置

 KDDIの梧谷重人氏は「KDDIは職人の技術で多くの海底ケーブルを敷いてきた。そういう意味でも、やり方としては今回も55年前とまったく同じだ。太平洋の場合は、日米最短距離は約9000kmで、両岸から敷き始め、太平洋の真ん中で接続するイメージで工程を進める。光は減衰するため、弱くなった光を元の強さに戻すことが必要で、海底中継器を45~70キロ間隔で沈める。これらの工程はダイバーやロボットが作業する。また、ケーブルはいろいろなケースで損傷するため、保守や修理も必要だ」(KDDI理事技術統括本部グローバル技術・運用本部長)という。

最新鋭の機器で構築されたKDDIケーブルインフィニティ号のコクピット

DGPS(左)とレーダー(右)によって1メートル単位での位置を把握

ドーム状の容器が船舶基地局設備

 今回、敷かれるケーブルは約760km分の8芯光ケーブルで、その帯域幅は80Tbpsだ。かつて太平洋を横断したTPC-1はメタルで電話回線128本分。1本あたり32Kbpsだとすれば約4Mbpsで、2千万倍の容量ということになる。それが半世紀分の進化だということだ。

 気になるコストだが、海底ケーブルは都市部の地下ケーブル敷設に比べればずっと安いとのことだ。ケーブルの寿命は約25年で、その保守に必要なコストを勘定にいれても、たとえば大阪から九州までの約1000kmを陸の地下にケーブル敷設するよりも、圧倒的に安くあがるらしい。

海底を走りながら数メートル掘り、ケーブルを敷設していくロボット

船内にとぐろを巻くケーブル。繰り出すときにねじれ位相が起きないように回転しながら巻く仕組みになっている

この青いネットの下部に、先のケーブルとぐろがある

 現在、海外と日本を結ぶ多くのケーブルは本州に陸揚げされている。理由はカンタンで、通信事業者は自分自身の通信が終焉するところまでの費用を持つ必要があり、海外の通信事業者らはコストを少しでも削減しようと最短距離を求めるからだ。そのため、沖縄の国際通信は沖縄と本州の間の太いケーブルがなければ成り立たない。そして、それが万が一切れるようなことがあると、沖縄そのものが離島になってしまう。だからこそ、そのルートの冗長化が求められるのだ。今回の西ルートにより、2つのルートが完成し、しかも、東ルートより帯域幅はずっと広いという。沖縄経済の活性化には、欠かすことができない一大プロジェクトということだ。

船内には保守のためのスペースもある

中継器が銀色のシートで覆われた状態で保管されている


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