1~6月までに登場したデジカメを
当時撮影した猫写真で振り返ります
はやいもので、2019年も12月になってしまったわけで、12月といえば年末恒例企画の季節。この連載も今年撮った猫写真から各機種取り混ぜつつ1年を振り返ってみるのである。注目は2点。
まずはデジカメ市場が低迷といわれながらも新製品が多かった。「一眼レフからミラーレス一眼へのシフト」の時期だからだ。一眼レフの新製品はキヤノンから2機種出たのみだが、ミラーレス一眼は各社から複数登場。それが功を奏するにはちょっと時間がかかるだろう。
もうひとつは猫認識。ソニーから猫瞳認識機能が出たほか、パナソニックのハイエンド機は瞳のみならず猫全体を認識してくれる機能を搭載したのである。1月はさすがに新年早々新製品ってのはないので、カメラはオリンパスの「E-M1 Mark II」で……ってこれ、2016年発売なんだけど、新しいのはレンズ。2018年11月末に出たシグマの「56mm F1.4 DC DN」だ。これをマイクロフォーサーズ機につけると、実にいい感じの猫撮り向き中望遠レンズになるのである。マイクロフォーサーズでもボケを楽しめる猫撮りレンズなのだ。
2月はオリンパスのE-M1 X。大きくてデカくて高性能と猫撮りにはちょっとオーバースペックではあるが、仲良く並んだ兄弟猫をどうぞ。兄弟だなあって感じがいい。
3月は3台。発売月じゃなくて撮影日なのでそこはご容赦を。ソニーの「α6400」。この時点ではまだ猫瞳AF(正式には瞳AFの動物対応)は搭載されてないので通常のAFで撮影した墓地猫。高速AFが快適なAPS-Cサイズ機だが、ボディー内手ブレ補正は未搭載のスタンダードモデル。ちょっとお金を出してボディー内手ブレ補正搭載の上位機にするか、でもこのシリーズは手ブレ補正搭載レンズが多いからスタンダードモデルでもよいかも……と悩ませてくれた。
次はキヤノンの「EOS RP」を。フルサイズセンサー搭載の、ややエントリー向けで廉価なモデル。優れているのは暗所AF。かなり暗くてもAFがすっと合うので夜猫撮影時にいい。深夜になると猫が安心してやってくる公園があるのでちょっとお邪魔。1匹だけ近くへ来てくれたのでその隙に。
3月、3台目は富士フイルム「X-T30」。富士フイルムならではの画質やアナログダイヤルを多く使った、指先が気持ちいい操作系を備えたミドルクラスのモデルで、ファインダーを覗いて撮ると気持ちよい。公園の片隅でくつろいでた黒猫を狙ってたら舌を出した瞬間を撮れた。首にスカーフを巻いてるので後ろに見えるブルーシートハウスの人が世話をしてるのだろうか。
4月はソニー「α7 Mark III」。この月にファームウェアアップデートがあって、猫瞳AFに対応したのだ。冒頭写真もそう。待望の機能だったので、さっそくカメラを借りて使ってみたのである。もともとAFが速いし、モニターがチルト式なので猫目線での撮影をしやすく、気持ちよく撮れるのがいい。目を閉じてても明後日の方を向いててもちゃんと猫顔認識してくれるレベルへと進化していただけるとうれしく思います。
猫瞳AFだ! ってんでよろこんで猫を狙ってたら、鼻の頭を舐めた瞬間を撮影。曲がりしっぽもチャームポイントの猫。
4月にもう1台、パナソニックの「DC-S1R」。これでフルサイズミラーレス一眼の全マウントが揃った。このカメラ、動物認識AFを持ってるのである。猫を見つけるとその全体に枠が表示されてそこにピントが合ってくれる。しかもできるだけ顔にAFがくるように設計されているのもよい。
5月は同じくパナソニックの「DC-S1」。S1Rとはセンサーの画素数が違う。S1の方が画素数が少なくて価格もちょっと安い。動物認識AFはもちろん持ってる。顔がこっちを向いてなくてもOKなのはありがたい。もうちょっと評価されてもいいカメラだと思う。
6月はパナソニックのマイクロフォーサーズ機「DC-G99」。こちら、使い勝手と性能で評価の高い「G9 Pro」の下位モデルという感じで、本格的な撮影ができる一眼レフスタイルのミラーレス一眼。残念なのは、動物認識AFを未搭載なこと。それがあればうれしかった。
こうしてみると、2019年前半はハイエンド系のカメラが多くて、中でも注目されたのはソニーの猫瞳AFだった、と言ってよさそう。瞳AFにしろ動物認識AFにしろ、被写体を自動認識してAFするってどんどん重要になるだろうから、各社ともぜひ猫AF搭載をご検討くださるとありがたく存じますです、はい。
■Amazon.co.jpで購入
古地図とめぐる東京歴史探訪 (SB新書)荻窪 圭(著)SBクリエイティブ
デジタル一眼レフカメラが上手くなる本 基本とシーン別の撮り方60上原 ゼンジ、桃井 一至、荻窪 圭(著)翔泳社
古地図でめぐる 今昔 東京さんぽガイド荻窪 圭(著)玄光社
筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

この連載の記事
-
第949回
デジカメ
猫撮り散歩に最高! 軽くて取り回し抜群のタムロンレンズで撮ると日常がこんなに楽しくなる -
第948回
デジカメ
最軽量・最速AF・長時間駆動! キヤノン「EOS R6 Mark III」が撮影のストレスを激減させる理由と猫撮影で実感したその実力 -
第947回
デジカメ
タムロンの新レンズが猫散歩の相棒に! 広角から望遠まで、地域猫との一瞬を逃さない高倍率ズームの真価 -
第946回
デジカメ
富士フイルムの「X-T30 III」はキジトラだけじゃない! フィルターで瞬時に撮りたい色にしてくれる -
第945回
デジカメ
富士フイルムの新カメラ「X-T30 III」でキジトラを撮ったらケモノっぽくてカッコ良く撮れた -
第944回
デジカメ
「iPhone 17 Pro」は最高のお気軽室内猫撮影スマホだった! -
第943回
デジカメ
猫好き必見! 動きが速すぎる猫のおもちゃ遊び撮影で見るミラーレス一眼の進化 -
第942回
デジカメ
突如訪れた愛猫の死! 過去さまざまな機材で撮影した写真で振り返りつつ悲しみを癒す -
第941回
デジカメ
夕暮れの猫たちを美しく切り取る「iPhone 17 Pro」のカメラに感動!4倍光学ズームと8倍クロップ望遠が便利 -
第940回
デジカメ
ライカカメラ搭載の「Xiaomi 15T Pro」はコスパ最強の猫スマホだった! -
第939回
デジカメ
パナソニック「LUMIX DC-TZ99」が実現する驚きの30倍ズームは猫を撮るのにピッタリだった - この連載の一覧へ














