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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第640回

2019年のデジカメを猫とともに振り返る

2019年12月13日 10時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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1~6月までに登場したデジカメを
当時撮影した猫写真で振り返ります

 はやいもので、2019年も12月になってしまったわけで、12月といえば年末恒例企画の季節。この連載も今年撮った猫写真から各機種取り混ぜつつ1年を振り返ってみるのである。注目は2点。

2019年の話題といえばソニーの猫瞳AF。人間よりも猫をよく撮る人に撮っては大トピックなのだった。2019年4月 ソニー α7 Mark III

 まずはデジカメ市場が低迷といわれながらも新製品が多かった。「一眼レフからミラーレス一眼へのシフト」の時期だからだ。一眼レフの新製品はキヤノンから2機種出たのみだが、ミラーレス一眼は各社から複数登場。それが功を奏するにはちょっと時間がかかるだろう。

 もうひとつは猫認識。ソニーから猫瞳認識機能が出たほか、パナソニックのハイエンド機は瞳のみならず猫全体を認識してくれる機能を搭載したのである。1月はさすがに新年早々新製品ってのはないので、カメラはオリンパスの「E-M1 Mark II」で……ってこれ、2016年発売なんだけど、新しいのはレンズ。2018年11月末に出たシグマの「56mm F1.4 DC DN」だ。これをマイクロフォーサーズ機につけると、実にいい感じの猫撮り向き中望遠レンズになるのである。マイクロフォーサーズでもボケを楽しめる猫撮りレンズなのだ。

正月明け、真冬のせいかふくらんで暖かそうな猫。都内のとあるお寺で撮影。新しく買ったシグマの52mm F1.4で猫を撮りたくてでかけたのだった。お気に入りのレンズ。2019年1月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 2月はオリンパスのE-M1 X。大きくてデカくて高性能と猫撮りにはちょっとオーバースペックではあるが、仲良く並んだ兄弟猫をどうぞ。兄弟だなあって感じがいい。

ちょっと被写体ブレしちゃったけど、とあるおうちのお庭で兄弟がなかよく寝てたので望遠で撮ってみた。兄弟だと思ったけど、親子かも。2019年2月 オリンパス OM-D E-M1 X

 3月は3台。発売月じゃなくて撮影日なのでそこはご容赦を。ソニーの「α6400」。この時点ではまだ猫瞳AF(正式には瞳AFの動物対応)は搭載されてないので通常のAFで撮影した墓地猫。高速AFが快適なAPS-Cサイズ機だが、ボディー内手ブレ補正は未搭載のスタンダードモデル。ちょっとお金を出してボディー内手ブレ補正搭載の上位機にするか、でもこのシリーズは手ブレ補正搭載レンズが多いからスタンダードモデルでもよいかも……と悩ませてくれた。

α6400の魅力は速さ。AFと連写が速いので撮りたいと思ったときさっと撮れるのだった。墓石の上でくつろいでた猫。墓地は普段人がいないので猫にはありがたい場所だ。2019年3月 ソニー α6400

 次はキヤノンの「EOS RP」を。フルサイズセンサー搭載の、ややエントリー向けで廉価なモデル。優れているのは暗所AF。かなり暗くてもAFがすっと合うので夜猫撮影時にいい。深夜になると猫が安心してやってくる公園があるのでちょっとお邪魔。1匹だけ近くへ来てくれたのでその隙に。

特に高感度に強いわけではないけど、暗所でのAFは優秀。かなり暗い公園だったけど迷わずにすっとピントが合う。35mm F1.8のレンズで猫が近くに寄ってきた瞬間にさっと撮影。2019年3月 キヤノン EOS RP

 3月、3台目は富士フイルム「X-T30」。富士フイルムならではの画質やアナログダイヤルを多く使った、指先が気持ちいい操作系を備えたミドルクラスのモデルで、ファインダーを覗いて撮ると気持ちよい。公園の片隅でくつろいでた黒猫を狙ってたら舌を出した瞬間を撮れた。首にスカーフを巻いてるので後ろに見えるブルーシートハウスの人が世話をしてるのだろうか。

AFも優秀だしこのクラスとしてはファインダーも大きくて見やすいのでちゃんと構えて撮ると楽しい。日陰の黒猫だけど、舌のピンク色がいいアクセントになった。2019年3月 富士フイルム X-T30

 4月はソニー「α7 Mark III」。この月にファームウェアアップデートがあって、猫瞳AFに対応したのだ。冒頭写真もそう。待望の機能だったので、さっそくカメラを借りて使ってみたのである。もともとAFが速いし、モニターがチルト式なので猫目線での撮影をしやすく、気持ちよく撮れるのがいい。目を閉じてても明後日の方を向いててもちゃんと猫顔認識してくれるレベルへと進化していただけるとうれしく思います。

 猫瞳AFだ! ってんでよろこんで猫を狙ってたら、鼻の頭を舐めた瞬間を撮影。曲がりしっぽもチャームポイントの猫。

 4月にもう1台、パナソニックの「DC-S1R」。これでフルサイズミラーレス一眼の全マウントが揃った。このカメラ、動物認識AFを持ってるのである。猫を見つけるとその全体に枠が表示されてそこにピントが合ってくれる。しかもできるだけ顔にAFがくるように設計されているのもよい。

木の幹のちょっとした瘤に器用に乗っかってたキジトラ。動物認識AFにおまかせして撮影。2019年4月 パナソニック DC-S1R

 5月は同じくパナソニックの「DC-S1」。S1Rとはセンサーの画素数が違う。S1の方が画素数が少なくて価格もちょっと安い。動物認識AFはもちろん持ってる。顔がこっちを向いてなくてもOKなのはありがたい。もうちょっと評価されてもいいカメラだと思う。

猫が2匹日陰でくつろいでたのでカメラを向けたら、左からミケが歩いてきたのである。これは邂逅の瞬間を狙うべき、とじっと待って撮影。よいタイミングで撮れた。2019年5月 パナソニック DC-S1

 6月はパナソニックのマイクロフォーサーズ機「DC-G99」。こちら、使い勝手と性能で評価の高い「G9 Pro」の下位モデルという感じで、本格的な撮影ができる一眼レフスタイルのミラーレス一眼。残念なのは、動物認識AFを未搭載なこと。それがあればうれしかった。

パナソニックは狙った一点に合わせるピンポイントAFを持ってるので、草むらに隠れた猫をこそっと撮るときに便利。なんとか目が見えるアングルを探して隙間から。2019年6月 パナソニック DC-G99

 こうしてみると、2019年前半はハイエンド系のカメラが多くて、中でも注目されたのはソニーの猫瞳AFだった、と言ってよさそう。瞳AFにしろ動物認識AFにしろ、被写体を自動認識してAFするってどんどん重要になるだろうから、各社ともぜひ猫AF搭載をご検討くださるとありがたく存じますです、はい。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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