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規格外、季節外れに挑戦する植物業界の革命家

ひとの心に植物を植える〜プラントハンター・西畠清順

2019年12月24日 10時00分更新

文● 前川亜紀 編集●ASCII

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イギリス・ロンドンにて11月13日に開催された、ホームレス支援団体「センターポイント」の50周年を記念したチャリティーイベント「Centrepoint 50th Anniversary」。 コンサート会場ラウンドハウスの装飾を手掛けた

植物に対する愛と敬意、知識が深い国との縁

 プラントハンターとしての西畠さんの仕事は、クライアントの依頼に即して植物を探し、ベストな状態で期限通りに納品することだと言う。常に70以上のプロジェクトが実働しており、なかには、政府、グローバル企業、世界的なハイブランドなどからの依頼も多い。

 2019年の活動で、特に注目したいのは、英国でウィリアム王子がパトロンを務めるチャリティーイベント「Centrepoint 50th Anniversary」で植物装飾のプロデュースを行ったことだ。もちろん、日本人初であり、イベントには西畠さん自身も紋付き袴姿で参加した。

故ダイアナ妃、現在はウィリアム英国王子がパトロンを務める団体「センターポイント」は、50年に渡り若いホームレスを支援する活動をしている

 「英国はガーデニング大国で、植物に対する愛と敬意、そして知識も深い国です。僕はご縁があって、チャールズ皇太子に何度かお目にかかったことがあり、英王室全体のその植物に対する強い思いを感じていました。イベント会場は、電車工場の跡地です。ここを有機的にうるおわせたいと思い、天井から緑が振ってくるイメージで装飾していきました」

 植物に対して情熱的な英王室サイドと、ピュアに植物を愛する西畠さんが起こした「化学反応」は、イベントに訪れた世界中の人の心を動かした。

 「僕が会場にいると、多くの人がなんの偏見もなく、美しいものを美しいと言ってくれて、植物の持つ力を改めて感じました。チャールズ皇太子には、今年2回お会いしましたが、いずれも、『Very special!』と皆の前で言葉をかけていただきました。これは本当にうれしかったです」

 英国王室の依頼で植物を使い装飾する、巨大な木を何千キロも離れたところから運ぶ、一輪の椿を茶室に運ぶ……西畠さんは、前例がないことに取り組み続けている。

 「どの仕事も、根底は同じです。僕が持っているテクニックと知識を駆使して、納期を守って責任を全うする。ある茶会では、花を落としたら終わるというものもありますし、植物が到着しなければイベントそのものが終わるというものも多々あります」

 その仕事は、個人の力だけではない。植物の知識を縦横に我がものにしながら、輸送手段を考え、植物の状態を保ち、コストを算出してその国の検疫をパスしなければ、全てが水泡に帰す。特に世界一厳しい国のひとつとされる日本の検疫なら、なおさらだ。

 「植物は、種1個、苗1本でも国同士の契約になりますし、害虫、病気、ウイルスなどがないという証明書が必要。またその植物が合法的に売買されたというインボイスも必要です。リスク管理と法律の専門知識がないと僕の仕事は成立しません。あまりにもマニアックな知識が必要だから、競合が生まれて来なかったかもしれませんね」

 そう笑って語る西畠さんだが、キャリアは順風満帆ではなかった。20代のとき、イタリアからオリーブの木を日本に輸入したところ、カタツムリが付着していたことで、検疫官から上陸を許可されなかった。

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