レノボ・ジャパンは11月18日、法人向けデスクトップPC「ThinkCentre」シリーズの一部モデルの、CTO(注文仕様生産方式)を日本国内に拡大すると発表した。
製品のカスタマイズ工程は、レノボとNECの合併会社であるNECパーソナルコンピュータの米沢工場(山形県)にて行われる。米沢工場では、2020年の2月から本格的なカスタマイズモデルの出荷を開始し、CTO製品を最短5営業日で納品する体制を整えるとしている。
今回、米沢工場でのカスタマイズ対象となるモデルは「ThinkCentre M720s Small」「ThinkCentre M720q Tiny」「ThinkCentre M920s Small」「ThinkCentre M920q tiny」。
米沢工場は、1984年からNECブランドのPCを開発・生産している。2011年からはレノボとの合併企業体制となり、2015年にはレノボのモバイルノートPC「ThinkPad」シリーズも生産している。
今回、ThinkCentreの米沢工場でのCTO生産の開始を記念した出荷式が同工場にて行われ、工場内の組み立てラインを見学できたので、紹介していきたい。
設計・生産・サービスすべての拠点を国内に配備
出荷式では、まずレノボ・ジャパン代表取締役社長 デビット・ベネット氏が、オープニングの挨拶とともに、ThinkCentre生産に関するプレゼンを実施した。
ベネット氏は、レノボの経営理念などを紹介。顧客満足度を高めるためのコミットとして、「ThinkPadでは200項目以上の設計基準を設定するなど、多くの基準を設けて製品クオリティーを確保」「保証期間内の製品の修理は、95%以上の製品をサービスセンターに届いて24時間以内に修理を終える」「これまで2、3週間かかっていたCTO納品を最短5営業日に短縮」の3つの体制を整えるという。
レノボでは設計・修理などのサービス・生産をすべて日本国内で行うことで、これらのコミットに取り組んでいくという。設計はレノボグローバル大和研究所、サービスはNECPC群馬サービスセンター、CTO生産は米沢工場が受け持つ。
同社によれば、設計・生産・サービスすべての拠点が国内にあるのは、外資系のPCメーカーではレノボのみとのこと。
ベネット氏の後には、米沢市企画調整部長 我妻秀彰氏が来賓あいさつのため登壇。さらにその後はNECパーソナルコンピュータ執行役員 生産事業部長 竹下泰平氏が、米沢工場の生産の仕組みについて解説した。プレゼンテーションの後には、この際に紹介された工場内の様子を実際に見学することができた。
効率的な「トヨタ生産方式」と現場の声を取り入れるシステム
米沢工場では、ひとつの組み立てラインに3~5人ほどの人数が配置され、組み立てや点検、梱包までの作業をそれぞれの人が担当。自身の工程を終えたら左から右へ流し、ThinkCentreは1ラインあたり1日150台ほどを生産するという。
米沢工場の生産方式は、トヨタ自動車により考案された「トヨタ生産方式」と呼ばれるもの。CTO生産に最適化するために、徹底的に“ムダ”を削減するシステムや、「ジャストインタイム」という、在庫や経費を削減するための体系を組み込んでいる。
また、米沢工場の生産方式では、現場の声を取り入れた環境改善にも取り組んでいる。「VOC活動」と書かれた掲示板には、現場のスタッフからの生産性向上・品質改善のための提案・要求案が貼られており、工場内の人全員が問題点を指摘できる体制が整っている。
また高い技術を持つ作業員を「マイスター」に認定し評価していく「マイスター」制度といった育成方式を取り入れ、“人”の育成にも力を入れている様子が見受けられた。
米沢工場でのThinkCentreの生産は、現在は人気のある4モデルだが、今後はユーザーの声を取り入れラインナップの拡充や、生産ラインを増やすことも検討しているとのことだ。
工場見学時には、ベネット氏、我妻氏、竹下氏によるテープカットを実施。米沢市のマスコットキャラクター「かねたん」も登場し、今回のThinkCentre出荷をお祝いした。