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ボーカルの聞きやすさは◎、課題は低域

骨伝導の大本命は完全ワイヤレス型、世界初の「PEACE」を聴く

2019年11月08日 13時00分更新

文● ASCII

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ボーカルが聞き取りやすく、音楽を聴きながら会話できる

 骨伝導は、耳の鼓膜を介さず、振動によって直接、耳の中で音を感じる蝸牛を揺らし、音を伝えるのが特徴。結果、周囲の音を聴きながら、音楽もハッキリと聞こえる点がメリットだ。その際には振動する骨伝導デバイスを、顔のどの部分に当てるかが重要になる。PEACEの開発を通じた発見は、振動させる場所を、耳の裏やこめかみではなく、耳穴近くの軟骨に当てると、音量の感度が大きく取れるということ。さらに、音量を大きくしても、会話や周囲の音が聞きやすい印象が得られるという。

装着イメージ。

 BoCoの説明では、ヘッドセットと比べてもイヤカフタイプは会話がしやすいとする。イヤホン側の音量を上げたり、周囲の騒音が増えてくれば、聞き分けはだんだん難しくなってくるが、小さい音にしても歌詞などははっきり聞こえるので、まったく不満はない。

 一般的なイヤホンと比べると、レンジが狭い面はあるが、ボーカルなどの中域は非常に聴きやすい。取材ではデモ用の音源を聞きながら、説明を聞いたが、50%程度の音量で、音質評価をしながら、会話も十分成立する。70~80%程度まで音量を上げると、音楽に集中できる一方で、さすがに会話はできない。ただし、危険音の察知はできる範囲だろう。個人的には、2種類の音量を簡単にプリセットで切り替えられる機能が合ってもいいと思った。

周波数特性と、イコライジング後の特性。Hi-Fiオーディオ開発のノウハウも生かされているそうだ。

 マッチしそうなのは、小編成のジャズなどアコースティックの自然な響きがあり、音数がそれほど多くないものだ。優しい感じがあり、ナチュラルな響きは、聴いていて飽きがこない。そもそも楽器自体が振動を与えて音色を作る骨伝導に近い仕組みであり、ソースとの相性もいいのだろう。

低域をどう出すかには消費電力との兼ね合いも

 難点があるとすると、低域の鳴りが少しやせている印象がある点だ。ただし、ここはチューニングで変わる部分とのこと。「低域を出すことはできるが、そのぶん消費電力が上がってしまうため、完全ワイヤレス型ではそのバランス調整が難しい」のだという。どこまでやるかの調整が肝になる。これは骨伝導ならではの要素と言えるかもしれない。実際、直接骨を振動して音を伝える機構もあって、音量を上げるとデバイス自体のぶるぶるとした震えを感じてややこそばゆい感じもある。

 使用時に意識するような音もれはない。ただし、骨伝導イヤホンでは、耳の形にも左右されるという。耳がホーンの役割を果たす傾向があるので、個人差があるそうだ。最終的には中に特殊なスポンジなどを入れて音漏れを減らす。筐体の鳴り=振動を減らすための吸音材、制振材によって調整を加える予定だという。

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