SBIとヤフーがタッグを組んだ 筆者撮影
ネット証券最大手のSBIホールディングス(SBI)と、ヤフーの親会社にあたるZホールディングス(Z社)が金融分野で業務提携する。
SBIの髙村正人副社長とZ社の川邊健太郎社長が10月10日に記者会見で発表した。
傘下にネット証券、銀行、保険会社などがあるSBIと、メディアやコマースなど幅広いネットサービスを展開するZ社。両社の提携の狙いはどこにあるのだろうか。
●証券会社とIT企業が接近
ひとつのキーワードとして浮かぶのは、野村證券などと組み、証券や銀行業への進出を進めるLINEや、金融領域への進出を進めるKDDIの存在だ。
銀行や証券会社がIT企業や通信事業者と組み、スマホを通じた金融サービスの提供を強化する流れは加速している。
新たにつくられていく企業グループの形が、金融とテクノロジーの融合を意味するFinTech(フィンテック)の言葉そのものとも言える。
SBIとZ社の提携も、こうした流れの中にある動きのひとつと位置づけられる。
●SBIの野村への対抗意識
「年率10%近い伸びを維持し、野村證券を追い抜くのも時間の問題というところまで参りました」
10日午前の記者会見で、髙村氏はこう語り、野村證券への対抗意識をあらわにした。
SBIの北尾吉孝社長は、野村證券の出身だ。北尾氏も、四半期ごとの決算説明会など公の場で、野村に対する対抗意識をむき出しにした発言を繰り返してきた。
SBIによれば、ネット証券会社の比較ではSBIの口座数は482万でトップ。証券会社全体でみても、534万口座の野村證券を射程に収めたというのが、SBIの説明だ。
Z社の川邊社長も、ネット証券をめぐる競争について、「ほぼほぼ国内市場での勝負はSBIさんに決しつつある」とSBIを持ち上げた。
一方の野村は、LINEとともにLINE証券を立ち上げ、8月からサービスを開始している。
●Yahoo!ファイナンスとSBIの連携
今回のSBIとZ社の提携では、金融情報のメディアであるYahoo!ファイナンスとSBI証券の連携がもっとも重要と考えられる。
Z社によれば、Yahoo!ファイナンスは、「月間1500万人が利用しており、金融のメディアとしては日本でもっとも使われている」(谷田智昭・Zフィナンシャル社長)という。
Yahoo!ファイナンスはこれまで、情報の提供にとどまっていたが、証券の売買取引などもできるよう、連携を進めるという。売買取引の連携については、2020年秋ごろのサービス開始を目指している。
また、住信SBIネット銀行の住宅ローン「フラット35」を、Z社傘下のジャパンネット銀行で販売するという。
●「親戚筋」の両社
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