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手軽に使えて超クリアで圧倒的没入感!

理想のVR HMDに近づいた「HP Reverb Virtual Reality Headset」レビュー

2019年09月27日 11時00分更新

文● 山口優 編集●村野晃一

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手軽にVRを楽しめるWindows MRに対応

 Windows Mixed Reality(MR)は、2年ほど前のWindows 10の大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」から利用可能になった機能。OSレベルでVRHMDをサポートすることで導入障壁を取り除き、より幅広いユーザーにVRを楽しんでもらおうという狙いで追加された。

 従来のVRヘッドマウントディスプレー(以下VRHMD)はユーザーの動きを検知して追跡する機能(トラッキング)を実現するために外部センサーが必要になるものが多かったが、Windows MRに対応した製品はHMDに内蔵されているカメラを利用するインサイドアウト方式を採用しているのが特徴。そのため、ほとんどの場合、HMD本体をケーブルでパソコンに繋ぐだけで簡単にVRを楽しむことができる。

 対応製品がメーカー各社から相次いで投入されたこともあり、WindowsにおけるVR体験のハードルは、このWindows MR登場を境に一気に下がった。HPもいち早く参入したメーカーのひとつで、今回紹介する「HP Reverb Virtual Reality Headset(以下、HP Reverb)」は2世代目の製品だ。

 新旧モデルの性能にはおもに次のような違いがある。

新旧モデルの性能差
モデル
型番 VR1000-123jp VR1000-230jp
ディスプレイ LCD LCD
解像度(片方) 1440×1440 2160×2160
リフレッシュレート 90Hz 90Hz
視野角 最大100° 最大114°

 ちなみに新モデルのHP Reverbは、フェイスマスク部分の素材や付属品、保証内容の違いによって「コンシューマーエディション」と「プロエディション」に分かれている。今回試したのはコンシューマーエディションの方だが、解像度やリフレッシュレート、視野角などの基本性能はまったく同じだ。

 なお、新モデルは搭載する液晶の解像度が旧モデルから大幅に上がっているが、その性能をフルに生かすには相応のPCハードウェア性能も必要となる。日本HPによるとPC性能と出力できる映像の関係は次の通り。

推奨構成
品質 低解像度 中解像度 高解像度
出力解像度(片方) 1440×1440 1920×1920 2160×2160
リフレッシュレート 60Hz 90Hz 90Hz
CPU Core i5/i7もしくはAMD Ryzen 5/7 以上 Core i7/i9もしくはAMD Ryzen 7 以上 Core i7/i9もしくはAMD Ryzen 7 以上
グラフィックス NVIDIA GTX1060もしくはAMD Radeon RX580同等以上 NVIDIA GTX1080同等以上 NVIDIA RTX 2080同等以上

 多少品質を犠牲にすればエントリークラスのゲーミングノートでも十分楽しめるが、本製品の2160×2160ピクセルという高解像度をフルに生かすには最新のハイエンド向けグラフィックスが必要となるので注意しよう。

 今回HP Reverbとともに使用した「OMEN by HP 15」は、CPUに第8世代インテルCore i7-8750H、グラフィックスにNVIDIA GeForce RTX2070 with MAX-Q Design、メモリに16GBのDDR4-2666MHz、ストレージにPCIe NVMe 256GB SSDと2TB HDDを搭載したゲーミングノートPCだ。グラフィックスが推奨構成のNVIDIA RTX 2080より少し劣るが、結論から言えば問題なく美麗な仮想空間を堪能できた。HP Reverbを楽しむならこの辺りの性能がひとつの目安となりそうだ。

日本HPのHP Reverb Virtual Reality Headset コンシューマーエディションとゲーミングノートPC「OMEN by HP 15」。高解像度でVRを楽しむには相応のPC性能も必要となる

PCとの接続は超簡単!装着感も良好

 HP ReverbはVRHMDとしては比較的コンパクトな方で、ケーブルを除いたHMD部分の重量は430gしかない。本体カラーは黒が基調になっているが、前面や背面にファブリック素材があしらわれているためカジュアルな雰囲気で、見た目もあまり重々しい感じはしない。

 今回試したコンシューマーエディションはフェイスマスク部がファブリックで交換不可だったが、プロエディションはこの部分が合成皮革でできており、しかも交換可能になっている。長期にわたって使いたいと考えているなら、汚れや経年劣化に対応しやすいプロエディションの方を検討してみるのもいいだろう。

 HMDは側面のバンドと頭頂部のストラップで固定するタイプ。どちらもマジックテープで自分の頭のサイズに合わせて長さを調節することが可能。マジックテープの長さはある程度余裕があるので、頭部が大きめの人でも問題なく装着できると思われる。

 なお、本体側面には取り外し可能なヘッドフォンも装備されている。それとは別に3.5mmオーディオジャックも搭載されているので、自分のお気に入りのイヤホンやヘッドホンを取り付けて使用することも可能だ。

 実際にHMDを装着してみたところ、フェイスマスクがクッション性のある素材でできていることもあって顔面にフィットしやすく、無理な締め付けも感じなかった。また頭頂部にストラップがあるおかげで使用中にゴーグル部がずり下がってくることもなく、快適にVRコンテンツを楽しむことが可能だった。

 ちなみにゴーグル部には細かな通気孔が設けられており、レンズが曇るのを防いでくれるとのこと。確かに長時間使用していても蒸れにくく、この手の製品としては通気性はよさそうだ。

 多少気になる点があるとすれば、ゴム製のノーズピース部分のフィット具合だろう。筆者の場合は若干隙間ができて光が漏れ入ってきていた。気になるほどではなかったが、人によっては隙間ができないように何らかの工夫が必要になる場合もあるかもしれない。

 付属のモーションコントローラーは左手用と右手用の2基あり、それぞれ単三電池2本で動作する。コントローラーのボディにはボタンやタッチパッド、サムスティックなどが複数搭載されており、初めて使う場合はどうやって操作するのか戸惑ってしまうが、後述するように基本的な操作を説明するチュートリアルが用意されているので心配はいらない。

 製品には4m近いケーブルが同梱されており、HMD本体とPCはこのケーブルで接続する。ケーブルは先端がふたつに分かれており、片方がUSB 3.0、もう一方がDisplayPortになっている。両方をPCにつなぐことで、PCからHMDに電源を供給しながら映像・音声を伝送することが可能。そのためケーブルの取り回しが非常に楽なのは好印象だ。

 ちなみに製品にはDisplayPort-Mini DisplayPortアダプタも付属している。ただし、それ以外の規格に変換するアダプタは付属しないので、PCのHDMI端子などに繋ぎたい場合は自分で変換アダプタを用意する必要がある。

HP Reverbの本体。ゴーグル部はプラスチック製だが、前面にファブリック素材があしらわれているのがおしゃれ

本体を背面から見たところ。リング状の背面パッドもファブリック素材があしらわれている

コンシューマーエディションの場合、フェイスマスク部はファブリック素材で交換できないが、プロエディションは合成皮革で交換可能になっている

ヘッドバンドはマジックテープで調節が可能

側面にはヘッドフォンが搭載されている

3.5mmオーディオジャックも搭載されている

HMDを装着したところ。無理な締め付けがないので、長時間でも疲れにくそうだ

付属のモーションコントローラー。BluetoothでPCと接続する

モーションコントローラーの電池カバーを開けたところ。電池の下部にペアリング用のスイッチが搭載されている

付属ケーブルでPCのUSBポートとDisplayPort(またはMini DisplayPort)に接続するだけ。ケーブルの取り回しはとても簡単

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