エンジニア養成のジーズアカデミー、法人向けオープンイノベーション支援プログラム提供
大手企業とスタートアップのギャップを埋め、双方の交点となる場所を用意
2019年8月26日、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで「IoT H/W BIZ DAY 2019 by ASCII STARTUP」が開催された。エンジニア養成学校「G's ACADEMY(ジーズアカデミー)」のブースでは、大手企業向けのオープンイノベーション支援プログラムを紹介。プログラムの内容について、G's ACADEMYエグゼクティブオフィサー 児玉浩康氏とアライアンス&カスタマーサクセス 大堀貴洋氏に伺った。
G's ACADEMYは、デジタルハリウッドが運営するエンジニア養成学校だ。講師・メンター陣として、現役で活躍する一流エンジニアが指導に当たり、プログラミングの基礎からウェブサービスやアプリの開発までを実践的に学べる。2016年6月に東京・表参道に「G's ACADEMY TOKYO」、2018年7月には福岡に「G's ACADEMY FUKUOKA」を開校し、多くのクリエーターや起業家を輩出している。
さらに、G's ACADEMYの卒業生の起業を支援するインキュベーション機関「D ROCKETS」を設立し、起業資金の出資、シェアオフィスの6ヵ月無償提供、大手企業とのアライアンスなどの支援も実施している。
G's ACADEMYの強みは、エンジニア育成のノウハウと卒業生を中心とした現役エンジニア・起業家のコミュニティーを持っていることだ。東京校舎のある「G’s ACADEMY TOKYO BASE」には、卒業生が24時間無料で使えるコワーキングスペース、シェアオフィス「PORTAL POINT」が併設されている。シェアオフィスは、卒業生であれば6ヵ月間無償で利用できるので、立ち上げ初期のベンチャーが数社入居しているそうだ。また、G’s ACADEMY TOKYO BASEでは、卒業生向けに技術や経営力を磨くための授業やイベントが開催されており、就職や独立起業後も頻繁に顔を合わせることで、同窓生どうしのコミュニティーが自然と生まれている。
こうした人材育成のノウハウと起業家ネットワークを活かして新設されたのが、大手企業向けのオープンイノベーション支援プログラムだ。
「大手企業は、オープンイノベーションに興味を持ちつつも、具体的にどうすればいいのかわからず、漠然とした悩みを抱えています。そこで、大手企業とスタートアップのギャップを埋め、双方の交点となる場所をつくるのが我々の役割です」(大堀氏)
最近は、多くの大手企業がアクセラレーションプログラムを実施しているが、どこも応募者集めに苦労している。期待していたようなアイデアが集まらず、ただのイベントに終わってしまい、事業化へと進むケースは稀だ。エンジニアや起業家のコミュニティーを持つG's ACADEMYなら、アクセラレーションプログラムやハッカソンを開催する際に、その企業とマッチしたベンチャーやエンジニアを集められる。
プログラムには、1)G'sのカリキュラムを使ってテックコミュニティの形成を支援する「G's CAMP」、2)社内外の人材とともにプロダクトをつくるアイデアソンやハッカソンイベントの運営、3)G's ACADEMYのコミュニティーを活用したアクセラレーションプログラムの共催、の3つのメニューを用意。
なかでも特徴的なのは、企業側のプログラミング教育を支援するG's CAMPだ。
「従来のアクセラレーションプログラムでは、まったく縁もゆかりもないベンチャーを集めて、どうにかマッチングしようとしていました。しかし、漠然と広く募集するだけでは、どのベンチャーと組むことが自社にとって有効なのかを十分に検討できない。本来は、クライアントである企業が変革していくためには何が必要なのかを一番に考えるべきです。同時に、大企業側の中の組織を変えていかないと、実際の協業がうまく進まない。社外から新しい技術やアイデアを取り入れるには、それを受け入れる側にも相応の技術や知識が必要です」(児玉氏)
ベンチャーと大手企業とでは、社員の意識や技術力に大きな隔たりがある。これまで大手企業は、実際の開発のほとんどを外注に頼ってきたため、クラウドやAIなど、単語では口にしていても、具体的な技術の中身を理解しておらず、外注先を選ぶことさえ難しくなっているのだ。これが、オープンイノベーションがうまく進まない一因となっている。まずは、このギャップを解決していかないと、ベンチャーと対等に組むことができず、時代に取り残されてしまうだろう。
G's CAMPでは、社内人材向けに短期集中プログラミングキャンプを実施。とはいえ、1日2日の講習ではプログラミングのスキルは身につかないので、その後も永続的にスキルを磨けるように、勉強会を定期的に開くためのコミュニティー形成までをサポートする。
プログラムは1年契約で、メニューから2つ(または同じメニューを2回)を選択して実施するとのこと。オープンイノベーションは本来、ベンチャーと大企業の両社にとって大きなメリットが得られるものだ。興味はあるけれど取り組み方がわからない、過去にやってみたが事業化までは至らなかった、という企業は相談してみてはいかがだろうか。