外交政策にゆれるアップル:
「サムスンに出し抜かれる」アップルCEOトランプ大統領にささやく
2019年08月23日 16時00分更新
●関税はサムスンに有利になる
ティム・クックCEOはトランプ大統領と、ニュージャージーのゴルフクラブで夕食を共にしました。トランプ大統領によると、クック氏は「サムスンに利する」として、中国からの輸入関税に対して対策を求めたとのことです。
トランプ大統領は、アップルが「切迫した状況」であるとも表現しており、クック氏は、米国企業であるアップルが米国政府の決定によって韓国企業であるサムスンとの競争に深刻な悪影響を受けることを説明したと考えられます。
しかしながら、アップルから出された懸念は、これまでのトランプ大統領の主張を振り返ると「仕方がない」と一蹴されるかもしれません。トランプ大統領は当選前から、強いアメリカ、製造業回帰の議論を通じて「アップルにiPhoneを米国製造させる」というわかりやすいゴールを示してきたからです。
その一方、スマートフォンに対しては関税の猶予を与えているところを見ると、状況によっては交渉の余地があるかにも見えます。前述のように、関税についてはトランプ大統領は選挙対策を優先させることがわかっていますので、そことの駆け引きになるかもしれません。
「米国企業が不利にならなければ良い」と考えるなら、韓国にも関税をかけるという、斜め上とも言えない施策も可能なのかもしれません。
米国政府は迂回輸出が発覚したとして、ベトナム経由の韓国・台湾製の鉄鋼製品に最大456%の関税を課しました。また韓国を、中国と共に、WTOにおける途上国優遇から外すべきであるとの考えも示しました。
複雑な問題が絡み合うため、明確に方向性を読むことはできませんし、アップルにとって不利な状況が是正されるかどうかも不透明と言えます。
この連載の記事
-
第317回
Apple
アップル初のApple Parkでの開発者イベント、初公開の「Loop Building」とは -
第316回
Apple
「Mac Studio」アップルの多様すぎる接尾語について考える -
第315回
Apple
アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問 -
第152回
Apple
アップル「MacBook Pro」ポート増加は敗北なのか -
第151回
Apple
iPhone分解アートと、Appleが目指す未来 -
第150回
Apple
アップル新型「MacBook Pro」どの構成で買うべきか -
第149回
iPhone
アップル「iPhone 13」4つの魅力 -
第148回
iPhone
アップルiPhoneラインナップから浮かび上がる2つのこと -
第147回
iPhone
アップル製品ラッシュふたたび? -
第146回
iPhone
アップルはiOS 15で「時間の支配権」をユーザーの手に取り戻させようとしている -
第145回
Apple
アップル新型「iMac」驚きの電源 - この連載の一覧へ