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働く人のパフォーマンスと幸せ、顧客満足度のすべてを高め「世界最高峰のSOC」を目指すために

「つまらないSOC業務」からの脱却、NTTセキュリティ“5つのSOC改革”を聞く

2019年08月02日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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採用方式改革:技術力だけでなくコミュニケーション能力も重視

 人材採用は通年で行っている。特に即戦力を求めるセキュリティアナリストの選考では、まず書類選考で実務経験を確認したあと、技術試験を実施。通過すればリーダー面談で技術試験の解答手順などを確認し、最後にマネージャー面談で採用を決定する。応募は毎年100件近くあるが、合格率は5%未満と非常に狭き門だ。

 技術試験では、Webやパケットキャプチャ、バイナリ、プログラミングなどの実力を網羅的に測る目的で、アナリストが作成したCTF問題のようなものを解いてもらう。一方で面談では「コミュニケーション能力をチェックする」という。

 コミュニケーション能力を重視するのは、他のSOCメンバーとお互いをリスペクトし合いながら仕事を進めることが大切だからだ。個々人の自由を尊重するWantsの仕組みは、ともすれば“わがまま放題”になってしまうおそれもある。自分だけがよければいいという考えの人は、当初は成果が出せても、いずれは足下が揺らぐ。

 ネットワークやプログラミングなど他分野での実績とスキルがあり、セキュリティにもチャレンジしてみたいという人も歓迎すると羽田氏は述べる。「セキュリティはそれ自体で存在するのではなく、何かを作るときに必要となる“プラスα”の存在。セキュリティ以外の軸があることも大切だと思います」(羽田氏)。

「SOCの仕事は世界を守る仕事ですが、一人で世界を守れるわけではありませんから。きちんとチームとして動ける人が必要なのです」(羽田氏)

 柔軟な勤務形態や自由な業務設計。セキュリティエンジニアにとっては最高の仕事環境のように思えるが、誰にとっても“快適”かどうかはわからないという。「たしかにモチベーションが高い人には良い環境ですが、与えられた仕事をこなして『なんとなく過ごそう』という人には厳しいかも知れません」と羽田氏は語る。

 離職率は低いという。退職者は年に1人出るか出ないかで、退職理由も「友人の会社を手伝いたい」「ほかの分野に挑戦したい」といった前向きなものがほとんどだと説明した。

 「退職する人は必ず『環境には十分満足しているんですが……』という枕詞を言うんです。そうか、環境には満足しているのか、だったら私たちで改善できることはないなぁと(笑)」(羽田氏)

 いつか新たな体験やスキルをたずさえて帰ってきてくれたら、また一緒に世界最高峰のSOCを目指そう。両氏は旅立つ仲間の背中を押して、こころよく送り出す。

世界最高峰のSOCを目指して、これからの取り組み

 グローバルに展開するNTTグループの中でトップレベルのSOCだと断言する両氏。それでは「世界最高峰」とはどんなSOCなのか。「ひとつ言えることは、働いている人たちが世界で一番ハッピーであることです」と、阿部氏は即答した。

 さらに、第一線級のリサーチができる人材が国際的なカンファレンスなどの場で成果を発表し、SOCアナリストの底力を知ってもらうこと。「トップレベルの人材が顧客を直接守るというのが素敵だと考えていて、そこが一つの着地点です」(阿部氏)。

 外部からはなかなか判断しにくい「SOCとしての実力」については、ときには営業と顧客先に同行してカタログや資料に載らない話を含めて説明し、より詳しく知ってもらう取り組みも行っている。そうした地道な努力もあってか、特に他社のSOCサービスから乗り換えた顧客企業の定着率は高いと羽田氏は語った。

 最後に、これからのSOCはどうあるべきと考えているのか、阿部氏、羽田氏それぞれに聞いてみた。

 「もっと業界全体で、会社の枠組みを超えた知見の共有に取り組んでいけたらよいなと思います。なれ合いにならず、互いに切磋琢磨できるような場を一緒に作っていけるような関係性を構築していきたいですね」(阿部氏)

 「聞こえのいいことを語るセキュリティベンダーもたくさんいますし、(ユーザーにとって)各社のできることを比較、判断するのは容易ではありません。でも、何が必要かをしっかり理解した上でサービスを導入しなければ、期待するセキュリティレベルは実現できませんし、結果的に世の中も良くなりません。同時に、わたしたちもカタログからは見えてこない部分を含む情報発信を地道に行い、少しずつ信頼を得られるよう努力する必要があります。これからもさまざまな活動を通じて、そうしたギャップを埋めていきたいです」(羽田氏)

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