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データ流通がもたらす未来を身近なテーマから考えるサイトを公開

G20の主要テーマ、デジタルイノベーションとは?

2019年06月27日 12時00分更新

文● 松下典子

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 6月28・29日の2日間、G20大阪サミット2019がインテックス大阪で開催される。G20大阪サミットの主要テーマは、1)世界経済、2)貿易・投資、3)イノベーション、4)環境・エネルギー、5)雇用、6)女性のエンパワーメント、7)開発、8)保健——の8つ。第3のテーマである「イノベーション」では、デジタル化によるデータの効果的な活用に焦点を当て、自由かつ信頼性のあるデータ流通について議論される予定だ。

 経済産業省では、広くデータ活用の可能性を考えるきっかけとして、特設サイト「G20 Japan Digital :Data」を開設。「職場」「地方」「医療」「恋愛」「法」の5つをテーマに、データの活用の未来を描いた動画と解説記事、有識者のインタビューなどを掲載している。

「G20 Japan Digital :Data」

 現代は、POSやネットからのユーザー行動、交通情報、病院の電子カルテ、衛星画像など、世界中で膨大なデータが収集されている。こうした得られたデータの活用として期待されているのが、効率的な商品開発や物流、自動運転、AI/産業用ロボットによる労働環境の改善、医療機器や新薬の開発、IoT、雇用や人間関係のマッチング、高精度な気象予測などの実現だ。さらに、世界中の機関や企業が集めたデータを共有し、データのエコシステムが構築されれば、産業や社会生活は大きく変わる可能性がある。

 こうしたデータの利活用を促進するための取り組みがオープンデータだ。国内では2012年に「電子行政オープンデータ戦略」を策定。さらに、2013年のG8では、オープンデータ憲章が採択され、世界各国の政府や自治体、企業が保有するデータを公開し、活用できるようにするための整備が進められている。世界中から信頼性の高いデータが自由に手に入り、AI用の学習データなどに使えるようになれば、スタートアップにとっては新たなビジネスチャンスになるだろう。

 2019年1月の世界経済フォーラムの年次総会(通称:ダボス会議)では、安倍首相が「Data Free Flow with Trust(信頼性に基づく自由なデータ流通)」というコンセプトを提案。自由なデータ流通は、イノベーションを促進し、産業の発展や平等な社会の実現が期待される一方で、プライバシー保護や改ざん防止といったセキュリティー、サイバーテロといった課題を抱えている。

 また、通信インフラや教育が整っていない発展途上国、貧困・差別によるデジタル格差がさらに広がることも懸念される。AIによって雇用機会が奪われるのでは、という不安もあるだろう。

 とはいえ、問題を回避するために、単に規制を厳しくするのでは、自由な競争や経済発展の妨げになってしまう。リスクを最小限に抑えつつ、データ活用の恩恵を最大限に享受するためには、政府と民間が連携してデータの信頼性を確保するシステムを考え、デジタルインフラの整備、リテラシーや技術教育などの取り組みを世界規模で促進していくことが重要だ。

 G20に先立ち、6月8日には「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」を開催。各国の担当大臣たちが集まり、Data Free Flow with Trust 、AI技術の運用、イノベーションを起こしやすい政策立案、セキュリティ、デジタル格差改善への取り組みについて議論された。

 公開された閣僚声明によると、今後は、デジタル経済ビジネスモデルを含むデジタル化における事例の共有、発展途上国や地域のデジタル化に向けた協力や支援策を議論し、すべての人が恩恵を受けられるような取り組みを継続して進めていくとしている。

有識者インタビューでは、データ活用の可能性と課題を解説

 「G20 Japan Digital :Data」では、データ活用による未来の生活をポップな動画で紹介し、メリットと注意点をわかりやすく解説している。

 そのほか、慶應義塾大学法科大学院教授の山本 龍彦氏、慶應義塾大学SFC研究所上席所員の斎藤 賢爾氏ら有識者がデータ活用に必要な仕組みや制度についての見解、G20に先立って開催された「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」における閣僚声明などのコンテンツが公開されている。

 こうした情報を参考に、データを最大限に生かし、社会を発展させるには、どんな仕組みが必要なのか、アイデアを膨らませてみてはいかがだろうか。

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