ESET/マルウェア情報局

ネットストーカーはあなたがインターネットにアップした情報を狙っている

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 本記事はキヤノンマーケティングジャパンが提供する「マルウェア情報局」に掲載されたインターネットにアップした情報がストーカー被害を助長するを再編集したものです。

 サイバーストーキングがかつてないほど広がっている。ストーカーにとって、過去にないほど簡単に対象者を監視、分析ができるようになり、現実空間上での追跡が容易になってきている。極端なケースだと、ソーシャルメディアの「フォロー」で始まった関係が殺人に至ったものすらある。

 Netflix上で「自分自身」をチェックしてみると、ひどい状態であることに驚くかもしれない。デジタル時代の今日、ストーカーは狙いを定めたら、フォローを繰り返して取り入ろうとする。残念ながら、ストーカーが大量の情報を収集し保存するための手段がインターネット上にはあふれ過ぎている。この対策として、追跡やオンラインストーキングから身を守る方法を知ることが大切だ。

 最近、私はFacebookのタイムラインに、サイバーストーキングの体験談を聞かせてくれないかとの投稿をしてみた。不審な者がどのような動きをするか理解することで、新たな被害の予防につながるとの思いからだ。すると、女性の友人たちからさまざまなストーキングの被害について共有してもらえた。それはまとめると、「背筋が凍りつく」ような内容ばかりであった。

 最初のメッセージは、子供向けの農場で娘と一日を過ごした友人から届いたものである。その日、彼女たちはのんびり動物と戯れ、数多く写真を撮った。その中には自撮りしたものもあった。その後、遊びに行ったところを紹介するために、ハッシュタグとして農場の名称を付け、彼女はInstagramにアップした。しかし、農場で遊んでいたときには気付かなかったが、そこには彼女が写真撮影を楽しむ姿をチェックしていた男がいた。その男は、Instagram上で農場名のハッシュタグが付いたあらゆる写真から彼女を見つけ出した。

 数日後、その男はソーシャルメディアで彼女のアカウントをフォローし始めた。彼女の写真に「いいね」やコメントを付けてくれることが嬉しくて、彼女はその男とチャットを楽しむ仲になった。趣味や嗜好が同じことが分かり、プライベートなメッセージも数回交わした。その数週間後、実際に対面した際、「共通点の多いこと」に彼女は驚きを隠せなかった。その男の口から、「数週間前に農場で彼女を見掛けて嬉しかった」という言葉が出てくるまで、話は「出来すぎ」なほど、スムーズに進んでいたのだ。その男がこのタイミングまで出会いのきっかけについて話をしなかったことに彼女は不審感を抱き、適当な言い訳を残しその場を立ち去ったとのことである。

 自分の居場所が誰にでも分かるという事実と、どう向き合うべきだろうか。自分自身に「ジオタグ」を付けるだけで、見知らぬ人が連絡してくることも考えられる。だからこそ、アカウントは原則としてプライベートにしておくべきだろう。少なくとも、リアルタイムに「チェックイン」しようとする場合は徹底してほしい。

 最近、若い世代の間では常に自身の居場所を友人に分かるようにしているとの記事を目にする機会があった。そのため、私の友人たちも居場所をリアルタイムに友人やパートナーに公開しているのか、再びFacebookで友人たちに質問を投げかけてみた。そして、オープンにする理由と、そのリスクを把握できているかを知りたくなった。妻と私の間では「友達を探す」機能でいつでもお互いの居場所をわかるようにしているものの、他人に対して私たちの正確な居場所をオープンにはしていない。

 28歳の友人からは自分の居場所を誰でも確認できるようにしているとのコメントをもらった。彼女の連絡先に登録されていて、彼女の居場所を確認したいと思ったなら、フォローリクエストを送信するだけで良いのだ。しかも、彼女は今までリクエストを却下したことがないという。このことは、彼女が職場やジムにいる時間だけでなく、自宅にいる時間さえもオープンにしていることを意味する。これは非常に恐ろしい話ではないだろうか。なぜ、若い世代の人たちはプライベートな情報を誰かと共有したがるのだろう。

 以前、私がデジタル科学捜査班に所属していた頃、被害者を積極的に狙っていくストーカーたちが増えてきていることを目の当たりにしてきた。ストーカーが被害者について収集したデータも含まれた資料には、恐ろしいというだけでは済まず、殺害を意図するような情報まで残っていた。

 2019年の時点で、ストーキングは極めて容易にできるようになっている。見知らぬ他人であっても、ウェブサイトにアクセスするだけで、膨大なプロフィールデータを入手できてしまう。このことがリスクをもたらすことを理解している人は多くない。その一方で、ストーカーはあなたに夢中になり、あなたの生活にこっそり侵入して情報を盗み出すことができるのだ。

 あなたのプロフィールデータを厳重に管理し、面識がない人にはあなたのデジタルライフにアクセスできないようにすれば、この問題は解決に至るのだろうか。この方法は一見安全なように思える。しかし、以前パートナーであった人がストーカー化するようなケースもある。

 試しにNetflixで「自分」をチェックしてみてほしい。あなたがストーカーと信頼関係にある、または以前そうだったのであれば、ストーカーがその人の生活をのぞき見するのは非常に簡単であることが分かるだろう。このようなストーカーは、共有のパスワードや電話番号を知っているかもしれない。さらに、気付かれないうちにあなたのスマートフォンを操作し、追跡アプリを仕掛けている可能性もある。その疑いがあるならば、直ちにアプリをすべて確認し、怪しいアプリがあれば削除するのが賢明だろう。そうすれば、とりあえずスマートフォンを安全な状態に戻すことができるだろう。

 多くの人々があまりにも軽率に、パートナーに対しパスワードだけでなく指紋さえも共有し、スマートフォンや他のアカウントへのアクセスを許しているようだ。しかし、アクセスが許可されたまま別れに至ったら、別れた後にもメッセージを読まれたり、行動履歴をチェックされたり、ということが起きかねない。そのほかにも次々と疑問が湧き上がってきてしまう。しかし、そんな質問を投げかけても、多くの人々はただ肩をすくめるだけだろう。この絵文字「¯\_(ツ)_/¯」のように。

 高機能なデバイスが普及したことで、誰もがセキュリティ対策を講じなければならない時代になってきている。そのため、私たちは自身のデータが漏えいする恐れがあることを理解し、対策を強化する必要がある。アカウントをプライベートにしておくことは必須であり、連絡先を定期的にチェックし、今後連絡することがない連絡先があれば、削除しておくことも大切だ。電話に追跡アプリが仕掛けられていないかの確認もしておきたい。もしアプリでの追跡やストーキング、あるいは何らかの方法で監視されている疑いがある場合は、直ちに警察へ連絡することも忘れないでほしい。

[引用・出典元]
Look who’s stalking by Jake Moore 3 Apr 2019 - 11:33AM