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自由な検索とAIの洞察で仮説と検証をリアルタイムに繰り返し実行できるデータ分析基盤

ビジネス現場の「仮説検証型データ探索」実現、ThoughtSpotが日本法人設立

2019年06月10日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 データ解析プラットフォームベンダーの米ThoughtSpot(ソートスポット)が2019年6月5日、日本法人の設立を発表した。大量のデータに対する柔軟な「検索」とインサイト/サジェストを自動で行う「AI」、それらを超高速に処理するインメモリ計算エンジンを組み込んだプラットフォームによって、ビジネスユーザーが「仮説検証型のデータ探索」を可能にするデータ分析環境を提供する。

ThoughtSpotの画面イメージ。柔軟な「検索」と自動でインサイト/サジェストを行う「AI」を高速なインメモリ基盤で提供することで、ビジネスユーザー自身による深い「データ探索」を実現する

 日本法人の立ち上げに伴って日本語対応製品と国内向け顧客サポートを開始したほか、国内最初の販売代理店として日鉄ソリューションズ(NSSOL)との協業も発表し、誰もが簡単にデータ分析できる環境の実現を通じて日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押ししていくとしている。

 同日の記者発表会には米ThoughtSpot CEOのスディーシュ・ナイア氏、日本法人カントリーマネージャーの水嶋ディノ氏が出席し、ThoughtSpot製品の特徴や、日本市場におけるビジネス戦略などを説明した。

米ThoughtSpot CEOのスディーシュ・ナイア(Sudheesh Nair)氏ソートスポット日本法人 カントリーマネージャーの水嶋ディノ氏

ビジネスユーザーの質問にリアルタイムな回答、新たなアプローチ確立を目指す

 CEOのナイア氏は、ThoughtSpot入社前は米Nutanixのプレジデントを務めていた人物だ。2011年にNutanixが日本のビジネスを立ち上げた当時もその立場にあり、そこで日本市場の顧客企業、パートナー、ビジネスなど「多くを学んだ」と語る。その経験をふまえて、ThoughtSpotの製品も日本で展開したいと考えたという。

 「ThoughtSpotのテクノロジーは日本市場に適しているだけでなく、労働人口減少のような日本の抱える課題を解消し、日本がグローバルな競争環境の中で経済成長を続けるために必要なものだと考えている」(ナイア氏)

 ThoughtSpotの特徴は、あらゆる形式のデータソースを横断的かつ簡単に「検索」できること、「AI」技術でデータだけでなくインサイトを持ったかたちでユーザーに回答できること、そしてベースとなる「インメモリ計算エンジン」がこれらを数ミリ秒~数秒レベルで処理するため、得られた回答/インサイトからさらに深い質問を繰り返せること、の3つにまとめられる。

 つまり、従来のBIツールのようにダッシュボードを開発/社内共有するのではなく、仮説→検索→検証(分析結果)→新たな仮説→検索→……という仮説検証型データ探索を行う、新たなアプローチの確立を目指すものだ。ナイア氏は、従来のBIツールでは質問から回答(ダッシュボード/レポート)までに時間がかかったが、ThoughtSpotではすべてアドホックに、リアルタイムな回答が得られる点を強調する。

ThoughtSpotのアーキテクチャ(製品データシートより)。「インメモリ計算エンジン」「リレーショナル検索エンジン」「SpotIQ AIエンジン」が特徴的なコンポーネント

 リレーショナル検索エンジンは、接続したデータソースからデータとスキーマの検索インデックスを自動生成し、検索語のサジェストや“Data Rank”付けなども行う。こうした機能により、ビジネスユーザーはGoogleライクな検索操作で目的のデータを探すことができる。検索結果はデータ形式に応じて自動的にビジュアライズされる。

 なおAI技術を活用した「SearchIQ」機能により、平易な文章で質問できる自然言語解析にも対応している(現状では英語のみの対応)。AIが文章からユーザーの「検索意図」を分析したうえでクエリ文を構成、実行し、検索意図を反映した結果表示やビジュアライズを行う。

自然言語解析の仕組み。平易な質問文を入力すると、AIが質問意図を“理解”したうえでクエリを実行する
検索のデモ画面とリレーショナル検索エンジンの機能。デモでは検索語に「近畿」と入力すると、「店舗地域」と「顧客地域」のどちらの意味なのかを選択するリストが表示された

 またSpotIQは、データに潜むインサイトを、AIエンジンが自動的に導いてくれる機能だ。ダッシュボード、検索結果(個別のグラフ)で自動表示され、ユーザーが気付かなかった未知の相関関係などをわかりやすく示す。

「SpotIQ」の主要な機能(Webサイトより)。自動的に大量のクエリと多種のアルゴリズム適用を行い、「意義のあるインサイトを数秒で提供」するとしている
SpotIQのデモ画面と機能一覧。検索結果を自動的にグラフ表示するだけでなく、結果から読み取れる特徴的なインサイトをAIが自動的に説明してくれる

 こうした処理はすべてインメモリエンジンで高速に行われるため、ビジネスユーザーでも仮説検証型のデータ分析が容易にでき、データに基づく意思決定を現実かできるというわけだ。ナイア氏は、エンタープライズにおけるこれまでのデータ分析/BI環境の問題点を次のように説明する。

 「従来の大企業では、特殊なスキルを持つユーザー(BIチーム)だけが『質問』を作ることができ、一般のビジネスユーザーは配布される『答え』を閲覧するしかなかった。つまりダッシュボードの形で提供されるまで、ビジネスユーザーはデータにアクセスできない。そしてデータが爆発的に増加する中で、この仕組みがボトルネックになってデータ活用が進まない。こうした(データ活用の)状況は持続可能とは言えない」(ナイア氏)

 ThoughtSpotのテクノロジーによってビジネスユーザーが直接、かつ容易にデータ分析を行える環境を提供し、「ビジネスユーザーの『好奇心』を解放することが重要だ」とナイア氏は同社の狙いを強調した。

開発にスキルと時間を必要とする従来のBIツールは、ビジネスユーザーが「好奇心」を発揮してデータ探索を深めることを阻害し、DX推進の足かせになっているとナイア氏は指摘した

日本企業のDX推進のために進出、「技術スキル」要件を大幅に緩和する

 日本法人カントリーマネージャーの水嶋ディノ氏は、そもそもThoughtSpotが日本市場に進出した理由について「日本企業がDXを推進する一助となり、デジタルネイティブな企業に負けないような力を付けるため」だと語る。

 経済産業省のDXガイドラインでは「組織としてのデータリテラシー向上」が必要であるとうたわれているが、具体的にはデータリテラシー向上は「3つのステージをふんで進む」と水嶋氏は説明する。事業状況を正確に把握する「受動的」ステージ、受け取ったインサイトに基づき意思決定を行う「反応的」ステージ、そして自らインサイトを引き出して意思決定を行う「能動的」ステージだ。

 自らインサイトを引き出せる人材には、大量のデータを取り扱う技術スキルだけでなく、どのようなインサイトが必要なのか、またインサイトからどう意思決定するのかを判断できるビジネススキルが求められる。「その両方がなければデータをビジネス活用できない。ただし、両方を持つような人材はなかなかいない」(水嶋氏)。そこでThoughtSpotでは、「技術スキル」側の要件を大幅に緩和することで一般のビジネスユーザーにも使えるデータ分析環境を提供する。

企業組織のデータリテラシー向上には「技術スキル」「ビジネススキル」の両方を持った人材が求められる。ThoughtSpotは技術スキルの要件を緩和し、より多くのビジネスユーザーが自らデータ活用できる環境を提供する

 なお今回、NSSOLがThoughtSpotとの販売代理店契約締結を発表している。両社が共同で、ユーザー企業向けにThoughtSpotの検証環境と導入支援、構築サービスの提供を行うという。

 具体的な導入価格については公表していないが、「ユーザー数ではなく活用するデータ容量単位での課金」という点がTableauやQlikといった競合とは違う特徴であり、社内の特定ユーザーではなくあらゆるビジネスユーザーで使える仕組みだと水嶋氏は説明した。「価格帯は導入案件によりまちまちだが、海外での平均的な初期導入ケースでは、データ容量が1~2TB程度で20万ドル程度」(水嶋氏)。

 またナイア氏は、ThoughtSpotの平均的な導入案件は平均で30万ドル程度と大規模であり、パートナーとの協業が欠かせないこと、日本国内においてもローカルパートナーを通じて展開していくと述べた。今後、さらに国内パートナーは拡大していく方針だという。

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