iPadが目の前にあると、つい練習を始めたくなる不思議
iPad ProとApple Pencil 2を衝動買いしたのはいいけれど、ネットショッピングと動画視聴にしか使っていないダラダラ生活。それをキリリッな生活に変換するためにはじめたデジタルペン習字ですが、前回のレポートから2週間ほど続いています。とはいっても、稽古時間は1日に40分くらいで、ときどきサボってます。
ペン習字に最適なメモ帳アプリは「コンセプト」
前回のレポートでは、iOSに標準インストールされている「メモ帳」を使っていましたが、ペン習字の練習には少し使いづらいところがありました。たとえば、練習中にかなりの頻度でソフトウェアキーボードが現れてしまうことや、キャンバス(用紙)に制限があること。
どうやら、右手の小指側で画面に触れることでソフトウェアキーボードを呼び出してしまうみたい。設定で「ソフトウェアキーボードを使用しない」を選択できるようにして欲しいところですが、「ペン習字の練習で使う」というのは、おそらくレアケースのはず。なので、素直にいろんなメモ帳アプリを試してみました。
なかでも「コンセプト」(販売元TopHatch,Inc.)は「ペン習字」用には一番使いやすかったアプリ。アプリ内課金がありますが、基本機能は無料です。Apple Pencilの筆圧感知やダプルタップで機能切り替えにも対応しているので、筆者は課金せずに使用しています。
「コンセプト」は、レイヤーも使えます。なので同じ文を何度も練習したいときにも便利です。メモ帳アプリで検索しましたが、かなり高機能で、メモ帳というよりはデッサン/スケッチ用のアプリなのかもしれません。
純正アプリ「メモ帳」でレイアウト
紙の書き味に近いフィルムを画面に貼っているとはいえ、最後はハガキや便箋にペンで書くのが目標です。「じゃあ、次はハガキにペンで…」と、なる前に文章がちゃんとおさまるか確かめる必要があります。
次のステップは純正アプリ「メモ帳」を使いました。まず、iPadのカメラで実際に使用するハガキを撮影。ハガキの背景を写真アプリでトリミング。iOSに標準インストールされているメモ帳アプリでは、取り込んだ画像の上からペン書きができるため、文字が収まるかなど、レイアウトの確認ができます。
いよいよ清書…。はたして?!
最後は、ハガキに清書します。本当は万年筆を使いたいところですが、iPad Pro + Apple Pencilの書き味に近いのは、水性ボールペンであることがわかりました。筆者が好きな鳩居堂のハガキは、マジシャンの相棒のハトが描かれたモチーフがあるので愛用しています。こんなハガキや便箋に万年筆でサラサラと書けるようになるのは、いったいいつになるのでしょう…。
デジタルなペン習字でのメリット、デメリット
筆者が感じたiPad ProとApple Pencilでペン習字をする一番メリットは、練習時に紙がムダにならないこと。おそらく、本来のペン習字では大切なプロセスなのかもしれませんが、筆者はテキトーに練習しているときもあるので、そんな紙の消費にしばし罪悪感を覚えます。デジタルなペン習字では、そんな罪の意識も薄れてガンガン練習できます。
動画視聴やネットショッピングの合間に「ちょっと練習しようかなぁ…」という気分になるのも、筆者がiPadでペン習字を継続できたメリットかもしれません。
デメリットとしては、値段が高めのApple Pencilを紛失したくないので、外出先で練習に躊躇してしまうこと。さらに、画面フィルムやApple Pencilのペン先の耐久性が未知数なことも少し不安です。
もしかしたら、一番の被害者は、僕が書いた拙いハガキを読まされる相手なのかもしれませんが…(笑)。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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