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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第257回

10連休に試したい、ゆるやかなデジタルデトックス

2019年04月26日 09時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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ゆるやかなデジタルデトックスのため
必要性があってスマホを使っているかそうでないかを整理

 シリコンバレーでも、デジタルデトックスのセミナーや広い意味での治療には注目が集まっています。画面を見ながらコーディングなどを行なわなければならないテクノロジー企業が、デジタルデトックスを手がける医師を招いて従業員の相談を受け付ける福利厚生を提供している例もあります。

 デジタルデトックスが必要だという判断がなされる傾向として、「FOMO」(Fear of Missing Out)があります。SNSなどで自分が見ていないときに起きていることが気になったり、繋がっていない時間に不安を感じてしまうことを指します。もし、そうした不安を解消するためにスマートフォンを見ているのであれば、より本格的なデジタルデトックスが必要ではないでしょうか。

 そうでない場合は、個人的には「不便を感じることで、必要性を認識する」という揺り戻し前提のデジタルデトックスが良いのではないか、と思いました。

 まずは2〜3日、完全にスマートフォンを持たない、あらゆるスクリーンを見ない生活を心がけます。

 普段仕事や学校に出かけていく場合、すでに「スマートフォンを持たない」という前提が実現不可能ですから、休みの日にやるしかありませんよね。いつもポケットやカバンに入れていたスマートフォンは充電器の上に置きっ放しで過ごします。

 正直、これはかなり不便です。

 そしてあらためて家を見渡してみると、すでにCDもCDプレイヤーも処分してしまって、スマホなしで音楽を聞く手段はなくなっていました。本も雑誌も、スマホやタブレットなしで読めません。

 仕方なく、かろうじて財布に入っている1000円札とともに散歩に出かけるわけですが、見かけた綺麗な植物や風景を撮影するには、カメラを持っていかなければなりません。最近のカメラは背面スクリーンばかりかファインダーも電子式になっていて、これもスクリーンだよなと思うと、写真も目をつむって撮らなければなりません。

 買い物をするにも、クレジットカードやカード型のSuicaではなくiPhoneで支払いをしているし、スマホに取り込んだポイントカードの本体はここ数ヵ月見ていません。スマートウォッチも外しているなら、時間もわからなくなりますし、電車に乗ろうにも10年近く使わなくなったがために、最新型になった券売機の使い方に悩み、駅の時刻表や路線図の場所も気にしなくなってホームをウロウロせざるを得ませんでした。

 というように、スマホの画面を見ずに不便に思ったことを書き出してみると、これが自分にとってスマホに不可欠な機能であることがわかってきます。人によって異なると思いますが、これらリストのために使うスマホは悪ではない、と認識して良いでしょう。

 逆にここに上がってこなかったことは、必ずしもスマホでやる必要がない、あるいはなんとなく使っている時間であり、改善の余地があるというわけです。

 ぜひみなさんも、一度実験として、スマホなしの数日間を試してみてはいかがでしょうか。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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