ファーウェイから2019年のフラッグシップモデル「HUAWEI P30」シリーズが発表となりました。HUAWEI P30の性能はどのように決めたのか、また誰もが気になる「HUAWEI Mate X」の今後の展開や、ファーウェイ製スマートフォンのこの先の技術について、同社コンシューマービジネスグループ CEOのRichard Yu(リチャード・ユー)氏に話を伺いました。
ベストな製品を提供し続けるために
HUAWEI P30のカメラはさらに性能を高めた
──HUAWEI P30シリーズの本体サイズは、昨年秋のHUAWEI Mate 20 Xより大きくなっていますが、このサイズはどのように決めたのでしょうか?
リチャード・ユー氏(以下、同) Pシリーズはカメラとして使うことを考えてサイズを考えています。「リーディングカメラスマートフォン」として使いやすい製品を目指し、なおかつハンディーサイズとするため、この大きさになりました。
──高性能なズームカメラを搭載した理由はなぜですか? またフロントカメラにズーム機能は搭載しないのでしょうか?
ズームはユーザーからのニーズが高いため、今回強化したポイントです。また、フロントカメラは片手でスマートフォン本体を持って撮影します。つまり手の長さが最大撮影距離になります。リアカメラなら遠くの景色を拡大してみたいという需要が多いのでしょうが、フロントカメラはズーム機能より画質アップが求められています。そこで3200万画素のフロントカメラを搭載しています。
──昨年の「HUAWEI P20」シリーズのカメラもかなり高性能です。それでも今回、より性能を高めたカメラを搭載した理由はなぜでしょうか? 他社との競争を強化するためですか?
われわれの使命は人々に「ベストな製品」を送り届けることです。カメラ性能に対してユーザーから新しいニーズがあれば、それに応える製品を開発するのは当然のことでしょう。
4K動画撮影を標準にしないワケ
──カメラの動画性能について教えてください。4K動画撮影を標準にしないのはなぜでしょうか?
スマートフォンの画面サイズは小さいため、フルHD動画でも十分美しく見ることができます。また、TVの大画面で動画を見るときも、まだすべてのコンテンツが4Kにはなっていません。それに、スマートフォンで4Kの動画を撮るとあっという間にストレージがいっぱいになってしまいます。一般的な利用であれば4KではなくフルHDで動画を撮影することを、われわれはユーザーの方々にリーズナブルであると伝えています。
──HUAWEI P30シリーズの本体を見ると、下部のベゼルの幅が広いように感じます。他社はベゼルをなるべくなくす方向のようですが、この本体デザインにしたのはなぜでしょうか?
ベゼルを無くす方向へ持っていくのはできないことではありません。しかし、HUAWEI P30シリーズでは「ホームに戻る」「マルチタスク」などの操作を、ディスプレーの下から指先でスワイプするUIにしています。そのため操作性を考えるとディスプレーの下部には多少の幅を残しています。つまり、ベゼルを完全に無くすことがユーザーにとって使いやすくなるとは限らないのです。
──本体カラーはどのように各国に投入されるのでしょうか? また、オススメのカラーはありますか?
どの色をどの国に投入するかはコンシューマー調査で毎回決めています。パールホワイトは女性に向いていると思いますし、男性にはオーロラやブラックもいいでしょう。個人的にはクリスタル(Breathing Crystal)が気に入っています。
アウディのほかにも
スマホをクルマのカギとして使えるメーカーは増える?
──今回、アウディの車のカギになる機能を採用しましたが、今後ほかの自動車メーカーにも対応予定でしょうか?
カギの機能については他のメーカーとも対応を検討しています。できれば今後登場するすべての新車に対応させたいと思っています。
折りたたみスマホは
メインストリームになるのか?
──2月に発表したフォルダブルスマートフォン、HUAWEI Mate Xについても聞かせてください。今後の市場性はどのように考えられていますか?
フォルダブルスマートフォンはまだ価格も高く、現時点ではマーケットは小さいと思います。しかし、1年後あるいは2年後には、今のフラッグシップスマーフォン程度に価格は下がってくるでしょう。とはいえ、コンシューマーの方々はフォルダブルを選ぶ方もいらっしゃるでしょうし、従来スタイルの製品を好む方もいると思います。フォルダブルスマートフォンが使いやすい製品となれば、いずれはフラッグシップモデルがフォルダブル形状になるかもしれません。
──HUAWEI Mate Xのサイズは大きくはないでしょうか?
個人的にはこのサイズは大きいとは感じていません。しかし、将来はより小型サイズのフォルダブル端末を投入することも検討しています。私は仕事でHUAWEI Mate Xを使っていますし、プライベートではHUAWEI P30 Proを使っています。
5Gスマホは早くも今年から本格展開していく
──それでは、5Gへの対応はどの程度進んでいるのでしょうか? いつごろ5Gスマートフォンが市場に投入されるのかを聞かせてください。
われわれの5G技術は、他社よりも1.5年程度進んでいると自負しています。多くのキャリアが弊社の5G端末を導入すると思います。最初の5G端末はヨーロッパでは今年の5月にローンチし、6月から本格的に投入する予定です。また、今年の秋には世界各国で5Gが始まっているでしょうから、弊社も製品を投入していきます。なお、最初の製品はHUAWEI Mate XとHUAWEI Mate 20の5G版になります。
──話は変わりますが、先日アップルが新しいサービスを開始しましたが、御社も予定はありますか?
ハードウェアメーカーがサービスを強化することはいいことだと思います。われわれも現在、中国では動画サービスをパートナーと組んで展開しています。
──スマートフォンのこの先の技術はどのようなものが来ると考えていますか? カメラ、AI、その次には何がくるでしょうか?
AIはそれそのものが技術ではなく、スマートフォンの機能を高め使いやすさを増してくれるものになります。人間ができないことを補佐する、たとえばカメラの画質を高めたり、外国語の翻訳をしたり、顔認識したり、自動運転の手助けをしたりなどをAIが得意とします。つまり、AIを進化させることがこれからのイノベーションになると考えています。
ユーザーは迷ったらベストな製品を選んでほしい
ファーウェイは常にベストな製品を提供している
──最後に、消費者の方々へメッセージはありますか?
製品を選ぶときは、ブランドで選ぶ方も多いと思います。しかしどのスマートフォンかで迷ったら「ベストの製品を買ってほしい」と伝えたいですね。そして、弊社は常にコンシューマーの皆様に対してベストの製品を開発しています。おかげさまで2018年、弊社のビジネスは大きく成長しました。しかも2019年は1月と2月どちらもすでに昨年比50%増のパフォーマンスとなっています。これは消費者の方々がベストワンの製品を求めているからではないでしょうか。皆様がベストなモノを求めているなら、常にベストを追求しているわれわれには大きなチャンスがあると考えています。
──ありがとうございました。