東京都の「トップレベル事業所」認定から大型機器リユース/リサイクルの取り組みまで
「環境配慮型データセンター」目指すアット東京、その裏側をのぞく
2019年03月29日 09時00分更新
耐用年数を過ぎた機器や廃材には、どのような“第二の人生”があるのか
データセンター運用ではさまざまな機器が使われるが、そうした機器には耐用年数がある。アット東京では、環境負荷の低減を考え、耐用年数を過ぎたさまざまな機材や資材を再利用できるように処理している。
「たとえばUPS(無停電電源装置)を更新したら、古い機器は産業廃棄物として処理をします。ただし『廃棄』するのではなく、部品やパーツに分解して再利用できるように分別するのです」(伊藤)
大型UPSの場合、バッテリーは7年から9年ごと、本体は15年ごとに更新される。ただし、アット東京の規模になるとそれを何台も導入しているため、毎年いずれかのUPSに更新タイミングが訪れる。それを単純に廃棄するだけでは、環境に優しくはない。
設備保全部設備更新グループ 課長の稲葉亨は、「ただ処分するだけではなくて、その後の活用も考えています」と説明する。UPSの場合、バッテリー部分はNPO法人「非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」(https://www.offgrid-child.com/)を通じて、世界の非電化地域などでリユースしてもらっている。温度や湿度が一定に保たれたデータセンター内で使われてきた機器は劣化が少なく、そのまま使える良い状態のものばかりだという。
バッテリー以外の部品や部材は、粉砕したうえで素材ごとに分別し、再利用される。設備保全部設備更新グループの権藤 豊は、粉砕したものには純金や貴金属、鉛、銅、プラスチックなどが含まれると説明する。粉砕したものに強い風を当てることで、軽いものと重たいものが仕分けられるそうだ。
省エネのために新しい機器を導入し、古い機器を再利用に回すサイクル
前述のとおりトップレベル事業所の認定も取得しているアット東京は、エネルギー効率の改善に対して非常に敏感であり、熱心に取り組んでいる。新たに省エネタイプのデータセンター機器が登場すれば、それを導入して更新することも多い。ただし、その結果として廃棄する機器も増えることになるのが難しいところだ。
「省エネタイプの機器を導入することで、廃棄する機器も次々に出てきます。それを『もったいない』と思い、何とか再利用できないかと考えるのも、環境に配慮すべきデータセンター事業者の使命だと考えています」(伊藤)
アット東京では今年2月から「データ消去破壊サービス」の提供を開始した。これは、不要になった顧客の記憶媒体(HDD、SSDなど)のデータ消去や破壊をアット東京が代行するもので、データ消去の国際基準に沿ったかたちで、データセンターから持ち出すことなく実施できる。そしてこのサービスでももちろん、不要になった機器の買取/リユースや、粉砕した材料のリサイクルが行われる。
顧客データ/システムの安全と発展を第一に考えながら、環境に配慮したデータセンター設計と運用も実現しているアット東京。これからも高品質で信頼性のある、世界最高水準のデータセンターサービスを展開していく。
(提供:アット東京)