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映像とドルビーアトモスの相乗効果は驚くべき体験

全米のプロたちも評価した、映画『スパイダーバース』のスゴイ音、日本語吹替版の音響監督・岩浪美和氏に聞く

2019年03月13日 20時00分更新

文● 野村ケンジ、ASCII

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セリフ収録は日本だが、本国でオリジナルと同じエフェクトを再現

── 日本語吹替版を担当されたという話ですが、映画の音響にはセリフだけでなく、効果音や音楽などもあります。どういった作業を担当されたのですか。

岩浪 まずアメリカ本国版のセリフ(英語)の日本語訳を作っていただき、それをさらに自然な日本語の言い回しに直して台本を制作します。そのうえで、各キャラクターの声優を選び、吹替のセリフを収録する、というのが主な役割ですね。一般的な洋画の吹替版の制作とそう変わらない内容となります。

── 効果音や音楽などは本国版そのままなのですか?

岩浪 はい、日本語吹替版に収録したのはセリフのみで、基本的にはオリジナルのままです(音楽は一部、日本語オリジナルのトラックあり)。日本で収録したセリフ(タイミング合わせなどをしてあるマルチトラックデータ)をアメリカ本国に送り、現地のスタッフが定位やボリュームやリバーブなどの処理を加え、ほぼオリジナルと同じような手順で作り上げています。

 この頃はアニメの仕事が忙しくてなかなかやっていませんが、以前は洋画でもかなりの数の吹替も担当していました。有名な作品でいうと、『マトリックス』シリーズなどです。

宮野さんのカッコ悪い部分、いいでしょ?

── 日本のアニメファンにとっては、キャスティングも魅力的です。岩浪音響監督ご自身で選ばれたのでしょうか。

岩浪 はい。僕にお声がかかった理由のひとつだと思っていましたから、真剣に選びました。そして幸運なことに、意中の役者さんを全員キャスティングできました。主人公のマイルスは、ファーストインプレッションで小野賢章さんが最適だと思いましたし、ピーター・B・パーカーは、カッコイイ姿とちょっとカッコ悪い三枚目の両方ができる人ということで、宮野真守さんを選びました。宮野さんのカッコ悪い部分、いいでしょ?

── はい。とても良かったです。個人的には、スパイダーマン・ノワールを演じた大塚明夫さんの演技も印象的でした。

岩浪 これは偶然なんですが、本国版のスパイダーマン・ノワール役の声はニコラス・ケイジが担当しています。ニコラス・ケイジは、大塚明夫さんがよく吹替を担当している俳優さんなんです。ああ、やはりみんな考えることは一緒だな、と思いました。

── 悠木碧さん、高橋李依さん、渡辺明乃さんなどの女性陣もいい味を出していました。

岩浪 悠木碧さんは演技の振り幅が非常に大きい方ですが、言われるまで気付かなかった人がいるかもしれませんね。キャラクターにとてもマッチした声と演技をしてもらったと思います。高橋李依さんも、とても可愛らしく、とても日本人らしい(?)声になっています。

── 皆さんお忙しい方なので、ここまでよく揃えられたものだなとも思いました。

岩浪 ベストなキャスティングにできたと思います。

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