3月8日にグローバル市場でGalaxy S10シリーズの販売を開始したサムスン電子。4月には折りたたみ型スマートフォン「Galaxy Fold」も登場予定です。話題の新製品の日本動向や、原宿にオープンさせた「Galaxy Harajuku」の狙いなどを、同社のモバイル部門トップ、DJ Koh(DJコー)CEOに聞いてみました。
Galaxy Foldはこうして開発された
───大きな話題となっているGalaxy Foldですが、日本でも気にしている消費者は多くいます。ずばり、日本で発売する予定はあるのでしょうか?
DJ Koh氏 日本で発売するために、キャリアとも調整を行なっているのは事実です。ですがGalaxy Foldの数がグローバル市場で非常に限られているため、世界各国すべてのキャリアに出すことはできません。日本では年内に出せることを希望しています。
───Galaxy Foldはどのような経緯で開発されたのでしょうか?
DJ Koh氏 Galaxy Foldよりもはるかに昔、10年前に我々はGalaxy Noteを開発しました。当時4型前後が主流だったスマートフォンの世界に5型という大型ディスプレーを搭載することで画面への没入感を増し、さらにワコムと共同開発したペンを付属させまったく新しいカテゴリの製品を生み出しました。そしてGalaxy Noteはメインストリームの製品となり、他社が似たような製品で追従をしています。
Galaxy Foldの開発は、Galaxy Noteよりも大きいディスプレー体験を提供するにはどうしたらいいのか、という点からスタートしました。当時、人の手で持てるスマートフォンのディスプレーの最大サイズは6~7型が限界と考えていました。しかし、それより大きい画面を搭載するためにはどうすればいいのか。その答えが折りたたみ型でした。とはいえディスプレーを曲げるには多くの技術が必要です。ヒンジのメカニズムはもちろん、20万回、30万回といった開閉に対しての耐久性、本体のバッテリーをどうするかなど、乗り越えなくてはならない壁は数多くありました。
───Galaxy Foldはディスプレーが内側に折り曲がります。なぜこのような構造にしたのでしょうか? また優位性はどこにあるのでしょうか?
DJ Koh氏 Galaxy Foldの開発は、ディスプレー部分も含め実は8年くらい前から着手していました。そして昨年(2018年)11月のデベロッパー会議でようやく製品を披露することができたのです。ハードウェアをただ作るだけではなく、ディスプレーを開くことができ、そして開いた状態で4:3のアスペクト比を有効利用できるアプリケーションなどがそろわないとお客様には製品として出せません。Galaxy Foldの3つの画面(アプリ)を同時に開く機能は1年前からグーグルと協業して開発しました。
さまざまな検証をした結果、我々は内側に折りたたむ方式のほうが優位と判断したのです。もちろんこのデザインが主流になるかどうかはこれからの検証も必要です。
───Galaxy Foldはどのような使い道を想定されていますか?
DJ Koh氏 さまざまなユーザビリティーが考えられます。1つが発表会でも披露した3つのアプリの同時起動です。PCのようなマルチタスク環境を手軽に使うことができます。また、開いた状態でソフトウェアキーボードを表示すると快適なタイピングも可能です。これもPCと同じ体験を提供できると考えています。
たとえば車の中で閉じた状態で地図を見て、より詳細が見たくなったら開いて使うことで没入感も体感できます。私自身は毎朝運動をしているのですが、フィットネスマシンの上にGalaxy Foldを広げてコンテンツを見たりしています。「大画面ならタブレットでもいいのでは?」ともいわれますが、Galaxy Foldならこれ1台でスマートフォンとタブレットを兼用できるメリットがあります。