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クラウド完全移行に取り組む住信SBIネット銀行も登壇、Oracle DBとの比較評価結果も紹介

「商用DBのクラウド移行が加速」AWSJが移行支援サービス説明

2019年03月11日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)は2019年3月8日、企業における商用データベース(DB)のクラウド移行をテーマとした記者説明会を開催した。数年前にはクラウド移行の対象外と見なされていた商用DBが徐々に移行対象となりつつある背景や、AWSが提供するマネージドDBサービス、各種移行支援サービスなどを紹介した。

 またゲストとして、基幹業務システムも含めてクラウドへの完全移行を推進している住信SBIネット銀行の担当者も登壇。オンプレミスの「Oracle Database」からクラウドサービスの「Amazon Aurora with PostgreSQL Compatibility」への移行を決めた背景、両者の比較、移行作業の実態などを紹介した。

今回の説明会では、AWSが提供するマネージドDBサービスのうち「Amazon Aurora with PostgreSQL Compatibility」が紹介された
アマゾン ウェブ サービス ジャパン 事業開発本部 本部長の安田俊彦氏ゲスト登壇した住信SBIネット銀行 システム開発第2部長の相川真氏

「既存のIT資産、商用データベースのクラウド移行が加速している」背景

 AWSJ 事業開発本部 本部長の安田俊彦氏は、パブリッククラウドの活用が企業に浸透する中で、最近ではこれまでの「新しいアプリケーション」ではなく「既存のIT資産」、つまり基幹業務システムのクラウド移行が加速しつつあることを感じると語る。

 その背景には、この数年間でパブリッククラウド環境の整備がいちだんと進み、これまでのように「パブリッククラウドに適したアプリケーション」だけを選んで移行するのではなく、「すべてのアプリケーションをクラウドに持っていくのが良いだろうと判断する顧客が増えた」(安田氏)ことがあるという。オンプレミスで運用するうえでのさまざまなコスト(データセンター、ソフトウェアライセンス、人件費など)、そして技術的な負債(アジリティの欠如など)を解消する狙いがある。

 「たとえば日本ではAGCが、3年間で142もの業務アプリケーションをAWSに移行することで、ITコストをオンプレミス比で4割削減した。(クラウドに適した)特定のアプリを移行するというのではなく、100を超える数のアプリを一気に移行するといった流れが来ている」(安田氏)

 そうした動きの中で、これまではクラウド移行の対象外と判断されるケースが多かった商用DBについても、徐々に移行対象に含まれ始めているという。オンプレミスで既存の商用DBを使い続けるコストと、クラウドに移行してライセンスコストの安いオープンソースDBに乗り換えるコストとを比べて、「そのコストが逆転し始めたから」だと安田氏は説明する。

 オンプレミス環境で商用DBを利用する場合、高額なライセンス費や保守費をソフトウェアベンダーに支払う必要があり、さらに高可用性を担保するためには追加オプションも購入しなければならない。それでも数年前までは、クラウド上のオープンソースDBに乗り換えるよりは合理的な選択と判断されていた。クラウド/オープンソースDBへの乗り換えには、従来の運用手法や運用手順の変更、アプリケーションの大幅な改修、クラウド環境における高可用性の検証といった数々のハードルがあり、これらにかかるコストや手間を考えると移行は難しいと判断されていたわけだ。

 その「コストが逆転」した背景にはもちろん、パブリッククラウドで提供されるDB関連サービスの整備/充実が進んだこともあるが、安田氏は「企業が扱うデータ量が増大することで、オンプレミス/商用DBの“痛み”が大きくなってきた」ことを指摘した。ビジネスのデジタル化という流れに伴って、企業はより大量のデータを蓄積/活用しようとしているが、そのためには既存のDB環境を拡大する必要がある。DB台数の増加はライセンスコストや運用コストの増大に直結する。

 「実際には過去数十年、顧客企業は商用DBに対してそうした課題をずっと抱えてきた。ただ、昨今のデータ増大の流れによって、その“痛み”がずっと大きくなったことが(企業がクラウド移行を決断する)きっかけになっているのではないか」(安田氏)

 こうした背景をふまえつつ、安田氏はあらためて、企業がこれからデータ活用を進めていくうえでのDBの課題として「データ容量の増大」「他システムとの連携」「データ再利用」という3点を挙げた。

安田氏が挙げた「これからのデータベースの課題」3つ

 なお「Microsoft SQL Server 2008」のサポート終了が今年7月に迫っているが、その乗り換えのための問い合わせも来ていると、安田氏は述べた。

商用DBからの乗り換え促すマネージドDBサービス、各種移行支援サービス

 オンプレミス/商用DBからの移行先として、今回の説明会ではAmazon Aurora with PostgreSQL Compatibility(以下、Aurora PostgreSQLと記す)が紹介された。Aurora PostgreSQLは、AWSがクラウド環境を前提に開発した高速リレーショナルDBエンジンのAuroraに、オープンソースDB「PostgreSQL 9.6/10」との互換性を持たせたマネージドDBサービスである。

 安田氏は、Auroraはクラウド上で商用DBと同等の機能、可用性、パフォーマンスを10分の1のコストで提供することを目標に開発されたサービスであり、「AWSサービスの中では最速で伸びている」と紹介した。そのうえで、Aurora PostgreSQLでは商用DBユーザーのニーズに応えてQuery Plan Management(QPM、実行プラン管理)などの機能を実装していると紹介した。

Aurora PostgreSQLの特徴。商用DBユーザーのニーズに応える機能も実装している

 さらにAWSでは、オンプレミス/商用DBからクラウドDBへの移行を支援するサービス群を提供している。安田氏は計画/移行/運用の各段階のうち、移行フェーズを支援する2つのサービス「AWS Database Migration Service」「AWS Schema Conversion Tool」を紹介した。

 AWS Database Migration Service(DMS)は、移行元(ソース)となるオンプレミスDBから、クラウド上のDB(ターゲット)に継続的なオンラインレプリケーションを実行するサービスだ。Oracle DBやSQL Serverなどの商用DBに対応しており、これを使うことでサービスのダウンタイムを最小限にとどめつつクラウド移行することができる。「グローバルですでに11万インスタンスを超えるDBが、DMSで移行を完了している」(安田氏)。

「AWS Database Migration Service(DMS)」の概要。異なるDB間のオンラインレプリケーションにも対応し、アプリケーションのダウンタイムを最小化する

 AWS Schema Conversion Tool(SCT)は、異種DBへの移行によって生じるスキーマ、ビュー、ストアドプロシージャ、関数といったカスタムコードを自動変換するサービスである。顧客が保有するコードをスキャンし、自動変換できるものはどれか(全体の何パーセントか)をチェックするほか、自動変換できないコードについては具体的にどの部分が理由なのかを示すレポートを提供する。

 「移行元と移行先のDBの組み合わせで『この組み合わせなら○パーセント自動変換できる』といったことも示せる。自動変換できないオブジェクトについては、具体的にどの部分を手作業で変更すればよいか、またそのためのガイダンスも提示する」(安田氏)

「AWS Schema Conversion Tool(SCT)」の概要。カスタムコードの自動変換や、自動変換できないコードの変更についてのガイダンスを提供する
自動変換できるカスタムコードの割合や、自動変換できない部分の詳細、変更のためのドキュメントなどをレポート

 これらに加えて、Oracle DBやSQL ServerからクラウドDBへの移行時の参考資料「Database Migration Workbook」も提供している。たとえばOracleのある機能がAurora PostgreSQLではどれに当たるのか、コードの変更が必要ならばどう変更すればよいのかといったことを、サンプルもまじえて記したドキュメントだ。

 安田氏はさらに、既存システムの棚卸しからPOCの方針決定まで、DBのクラウド移行検討を包括的にサポートする「Database Freedom Workshop」をAWSが提供しているほか、「AWS MSP(マネージドサービスプログラム)パートナー」をはじめとする幅広いCIパートナーが専門知識と技術で支援できると紹介した。パートナーについてはオンラインの「AWSパートナーソリューションファインダー」で検索ができる。

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