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Oracle Digitalがブランドイメージを一新するセールス拠点を開設、ミッドマーケット戦略を語る

「レガシーなオラクルとは違う」中堅中小向けオラクル部門、新拠点開設

2019年01月18日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは2019年1月17日、港区北青山の本社内3フロアを使い、ミッドマーケット(中堅中小企業市場)向けの新しいセールス拠点「Oracle Digital Hub Tokyo」を開設したことを発表した。SaaS/PaaS/IaaSを網羅するクラウドサービスの営業組織「Oracle Digital」、クラウドERP「Oracle NetSuite」の両部門が所在し、全国の中堅中小企業を対象としたセールス活動を行う場となる。

 発表会に出席した同社 執行役社長CEOのフランク・オーバーマイヤー氏は、ミッドマーケット向けクラウドサービス市場へのアプローチを強化するためだと、Digital Hub開設の狙いを語った。ここを拠点として、エンタープライズ(大企業)向けビジネスが中心だったこれまでのオラクルとはまったくアプローチの異なる“違う会社”として、中堅中小企業向けビジネスを展開していくとアピールしている。

「Oracle Digitalは今までのオラクルとは“違う会社”」だと語る日本オラクル 執行役社長CEOのフランク・オーバーマイヤー氏。壁にはOracle Digital独自のロゴマークも

中堅中小企業顧客へのダイレクトなアプローチを強化するDigital Hub

 Oracle Digital Hubは、オラクルがヨーロッパ、中東、アジア太平洋(APAC)の各地域で展開する新しい形態のセールス拠点だ。中堅中小企業に対するよりダイレクトなアプローチを志向している。APACでは東京のほか、インド、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、韓国に配置されている。各国に合わせたインテリアデザインがなされており、Digital Hub Tokyoの場合は「数寄屋」をコンセプトとして、3フロアそれぞれに異なるデザインが施されているという。

 Digital Hub Tokyoはまず、Oracle DigitalとOracle NetSuiteのセールス拠点として機能する。このオフィスでは、全国の中堅中小企業をカバーするために、各種テクノロジーを用いたリモートからの迅速な情報提供やコラボレーションを積極的に行う「デジタル・ワークスタイル」、フリースペースを多く設けて社内コミュニケーションや協働を促す「コラボレーション」、そして働く人に負担やストレスを与えない「サステイナブル・ワークスペース」の3つをキーワードに掲げる。さらに今後は、海外のDigital Hubで実践しているような「顧客やパートナーとの“共創”」を行うオープンな場としての活用も検討していくと説明された。

「Oracle Digital Hub Tokyo」の内観(写真は日本オラクル提供)

Oracle Digitalはオラクル内にある“別の会社”という位置付け

 Oracle Cloudのミッドマーケット向けセールスを担うOracle Digital(オラクル・デジタル本部)は、2017年6月に設立された組織だ。現在はおよそ300名規模だという。

 Oracle Digitalのクラウドアプリケーション(SaaS)責任者である善浪広行氏は、40年以上の歴史を持つオラクルは「古い会社」と見られがちだが、Oracle Digitalでは「社内に新しい会社を立ち上げるようなイメージ」で組織作りを進めており、“デジタル世代”の30歳前後を中心とする多様な人材が、顧客の経営課題解決に向き合っていると紹介する。

 オーバーマイヤー氏も、Oracle Digitalのビジネスアプローチは、エンタープライズ向けの大規模案件を中心としてきたこれまでのオラクルとはまったく違うことを説明した。

 「トップダウン型で大規模な顧客案件を手がけてきたこれまでのオラクルとは異なり、Oracle Digitalでは何千という顧客企業に対して同時に、クイックにアプローチしていく。小さなユースケースを提案し、実際に使ってみてもらって、そこから(案件を)拡大していく、これまでとは“違うタイプ”のオラクルだ。つまり、Oracle Digitalは(同じ日本オラクルの組織内にはあるものの)今までのオラクルとは“違う会社”だ。そのために、たとえばオフィスフロアも分けている」(オーバーマイヤー氏)

 具体的な数字は示していないが、Oracle Digitalのビジネスは非常に好調だという。善浪氏によると、Oracle Digitalは「組織を立ち上げて1年半で、日本オラクルにおけるアプリケーション売上の数十%をカバーするほどに成長した」。Oracle CloudはIaaS/PaaSもラインアップしており、それらと組み合わせてカスタム機能もカバーできるため「すべての業務システムをOracle Cloudに載せる、という顧客も出てきている」という。

日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 オラクル・デジタル本部長の善浪広行氏。「上半期に日本オラクルが受注したアプリケーションの大型案件上位にも、Oracle Digitalの案件が多く入っている」日本オラクル 執行役員 オラクル・デジタル本部長の本多充氏。Oracle Digitalでは「今までの、大きくて、高くて、レガシーな(イメージの)オラクルとは違うかたち」でアプローチしていると語る

 また、Oracle DigitalにおけるIaaS/PaaSの責任者である本多充氏は、好調なビジネスの背景事情のひとつとして、ミッドマーケットにおけるIT人材不足の深刻さがあることを指摘する。特に、自律型のチューニングやメンテナンスの機能を備えた「Oracle Autonomous Database Cloud(Autonomous DB)」については、専任のデータベース管理者を置く必要がなく、そこに人手をかけられない中堅中小企業顧客が強い興味を持っているという。

 「これまでオラクル製品を使っていない新規顧客でも、DBにはすごく悩みを抱えている。(DBのメンテナンスやチューニングには)人手がかかるが、社内の事業部門からは常に『遅い』とクレームが上がる。かといってこれ以上コストもかけられない。そう悩む顧客にOracle Cloudのラインアップをひととおり紹介すると、多くのケースで『Autonomous DBについてもっと詳しく知りたい』と反応がある。(自律型DBが)実現するなら今すぐにでも使いたい、という顧客は多い」(本多氏)

 さらにIaaSのOCI(Oracle Cloud Infrastructure)においては、市場競争力のある価格体系と従来アーキテクチャを一から作り直した“第2世代のクラウド(Generation 2 Cloud)”という強みもある。「Autonomous DBと“Gen2”のOCIは、特に新規顧客に対する強力な武器になっているのではないか」と本多氏は述べた。

Oracle Digitalが公表している導入事例の例

 オーバーマイヤー氏は、現在ミッドマーケットが大きな成長を見せており、「この市場にアクセスすることが、日本オラクルにとって2019年の重要な目標である」と語った。その動きを加速させるために、今年は東京(5月)と大阪(12月)にデータセンターを開設する予定のほか、オンプレミス環境からのAutonomous DBやクラウドERPへの移行を強く顧客に推奨し、支援していく方針だと説明した。

 また日本市場では特に、従来からの比較的大規模なSIパートナーに加えて、ミッドマーケット向けに「新しいタイプ」の「クラウドネイティブなパートナー」とも一緒にやっていきたいと考えており、そうしたパートナーの拡大にも努めていくと述べた。

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