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より広く、より深く進化するAWSのサービス思想を妄想する

ふがいない僕はラスベガスのホテルでre:Inventについて考えた

2019年01月09日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 昨年末に参加したラスベガスの「AWS re:Invent 2018」。実は会期の後半に体調を大きく崩し、ふがいない僕はほぼ1日ベッドの中でホテルの天井を見ていた。この記事は、ふがいない僕がこれだけは書きたかったという参加して1ヶ月後のre:Inventの感想だ。

アンディ・ジャシーCEOの基調講演までは見られたのだが……

選択肢と規範で揺れ動くユーザーにAWSはなにを与えられるのか?

 re:Invent 2日目のピーター・デサントス氏のMonday Night Live、3日目のアンディ・ジャシーCEOの基調講演などでは例年のごとく数多くの新サービスが披露されたが、特にアピールされたのはサービスの数だ。

 すでに140ものサービス数を誇るAWS。ストレージだけとってみても、ブロック、オブジェクト、ファイル、データ転送など多岐に及ぶ。データベースも、ネットワークも、コンピューターも、機械学習(ML)も同様に多くの選択肢が用意されており、今回のre:Inventではブロックチェーンサービスやオンプレミス用クラウドなども発表された。そして、サービスは機能やコストだけではなく、アクセス速度や利用頻度、耐久性、特定用途などさまざまな条件で選べる。ジャシー氏が強調したサービスの「深さ」だ。この数年、RedshiftやKinesisなどサブブランド的なサービスも増え、ユーザーのまさにかゆいところをカバーするようになっている。

ストレージサービスだけでもこれだけの種類になる

 こうした一連のAWSサービスは、ユーザーが本来のビジネスに専念するためのマネージドサービスと位置づけられている。家に鍵をつければ、セキュリティは上がるが、新たに鍵を管理するという手間が生まれる。そのため、鍵管理まで代行するのがマネージドサービスという定義だ。私のAWS記事に対して「マネージドサービスのレベルが上がった」というコメントがあったが、実に言い得て妙だと思う。ユーザーが手を動かさなければならない手間はますます減り、本質的なビジネスロジックにフォーカスできる。サービスの数が増え、さらに深くなったことで、AWSのユーザーは1つの目的を達成するために、自らのスキルや目的にあわせて必要なコンポーネントを選べるわけだ。

 とはいえ、選択肢が広すぎると、AWSにまだ慣れてないユーザーは困ってしまう。どのツールを、どのように使うべきか、正しい設定とはなにか? 多種多様なユーザーのニーズに応えるべく、生まれたのがいわゆるAWSの使い方をガイドするためのベストプラクティスである。クラウドアーキテクトによるベストプラクティスである「AWS Well-Architected Framework」がよく知られているが、今回はレビューを行なう「AWS Well-Architected Tool」も発表された。また、エンタープライズを前提とした「規範的なガイダンス」となる「AWS Control Tower」「AWS Security Hub」「AWS Lake Formation」も、どのように使うべきかにフォーカスを当てているサービスと言える。

エンプラIT部門の2人が気になる新発表として挙げたのは?

 今回、もう1つ感じたのは単にサービスを提供するだけではなく、利用を推進するための仕掛けの充実だ。ここでは「AWS Deep Racer」や「AWS Ground Station」にフォーカスを当ててみよう。

 AWSでは多くのサービスで無料枠が設けられているため、「とりあえず試してみる」ということが可能だ(既存のITベンダーのクラウドは無料枠の範囲が意外と狭い)。これにより、エンジニアは手軽にサービスの使い勝手を試すことができ、プロトタイプを作ることが可能だ。しかし、機械学習のように多くのエンジニアにとってまだまだ未知の領域を学ぶためには、単にサービスに無料枠が用意されているだけでは利用を促進できない。そこで生まれた学ぶための実践教材が今回発表されたAWS Deep Racerである。

 強化学習(RL:Reinforcement Learning)のハンズオンにも使えるAWS Deep Racerは、HDカメラやジャイロスコープ、加速度計などを備えた1/18サイズのレースカー。Sage Maker RLで仮想の車とトラックを使ってアルゴリズムを学習させ、AWS Deep Racerにデプロイすれば誰でも自動運転でのカーレースが楽しめる。今回はAWS Deep Racerのグランプリも発表され、さらにモチベーションを上げる環境が用意された。

自動運転のカーリーグ「AWS Deep Lacer League」を発表するDr.マット・ウッド氏

 コンピュータービジョンの教材としても最適なAWS Deep Lensも昨年は大いに盛り上がったが、今回発表されたDeep Racerの神通力もすごい。会場で発表を聞いたエンジニアが盛り上がるのはさることながら、先日発表会で登壇したAGCのIT部門のメンバーが気になるre:Inventの新発表としてそろってAWS Deep Racerを挙げたからだ。多少なりともITに関わる人であれば、誰でも胸をときめかせてしまうのが、Deep Racerなのではないだろうか。

 衛星データを手軽に利用するためのAWS Ground Stationも、発表を最初に聞いたときはピンと来なかったが、機械学習やデータ分析を促進するための仕掛けだと思えば、納得がいく。AWSも道具だけではなく、素材まで提供する事業者へ変貌と遂げている。包丁やまな板だけではなく、調理に使うためのお肉や野菜まで提供するようになったわけだ。

 今から考えれば、IBMが2016年にWeather Companyを買収したのも、AI時代の「原料」を持つデータカンパニーとして評価していたからにほかならない。ここらへんはやはり先見の明があると言ったところだが、2019年のクラウド業界はこうしたプラットフォーマーとデータカンパニーとのつきあい方も注目したい。

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