では、日本政府はどうするのだろうか
米国のネガキャンの内容は、ファーウェイやZTEなどの中国製通信機器は中国政府による盗聴を可能にするという国家保安上の懸念だ。中国では2017年に「インターネット安全法」を成立しており、中国政府が自国製品に、盗聴を可能にするバックドアを仕込むよう要求する可能性があるのではと疑われている。
「ドイツ」「米国」「盗聴」という単語が続くと、数年前のオバマ政権時にNSA(米国家安全保障局)がドイツのメルケル首相の電話を盗聴していたという事件を思い出すのだが、トランプ政権は今回は「中国政府」による盗聴の可能性があると触れ回っている。
詳細に報じたWall Street Journalによると(https://www.wsj.com/articles/washington-asks-allies-to-drop-huawei-1542965105)、米政府がファーウェイ製品ボイコットへの同調を強く要求しているのは、ドイツだけではない。
イタリアと日本――つまり米軍が拠点をもつ国々もだという。米軍は衛星通信を始め、専用の通信回線を持っているが、商用のネットワークも利用している。記事によると、日本政府関係者は「米国とさまざまな情報を共有している」としながらも詳細は避けたという。また、8月にファーウェイに対する制限について調査しているところと語っていたとも記している。
ファーウェイは日本のキャリアとも5Gで実証実験などを展開している。たとえばNTTドコモとは39GHz帯を使った中継実験を、ソフトバンクとも4.5GHz帯での実証実験を行なっている。
欧州ではすでに英国政府が、5Gネットワーク構築にあたってのベンダー選定に注意するように呼びかけている。なお、ファーウェイの代表は業界向けメディアのLight Reading(https://www.lightreading.com/)に対して、自分たちの事業への懸念は聞かれないとコメントしている。
また、”ファイブ・アイズ”とも呼ばれる、英語圏の5ヵ国で情報共有の協定を結んでいる国のうちの1つであるカナダ政府は、自国内でチェックを強めており、問題があれば検出可能であるということを理由に、ファーウェイのみを除外する必要はないとの見解を示している。
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