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RINK×ASCII HealthTech 細胞・再生医療先端企業最前線 ― 第4回

犬への再生医療実診療をイヌ脂肪由来間葉系幹細胞(cMSC)活用で展開

動物にも再生医療を「セルトラスト・アニマル・セラピューティクス」

2018年11月26日 06時30分更新

文● 北島幹雄/ASCII STARTUP

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再生・細胞医療の産業化拠点として、再生・細胞医療事業に関わる機関が相互に連携・協力して産業化を加速させているRINK(Regenerative medicine & Cell therapy industrialization network of Kanagawa;かながわ再生・細胞医療産業化ネットワーク)。日本・神奈川県発で細胞の加工・培養・保管・供給という一連のバリューチェーン構築・産業化を狙う、イノベーション拠点にかかわる先端テクノロジー企業を紹介する。

獣医療での細胞治療の実用化・普及を目指し
「新たな社会システム」を構築

 動物の先端医療分野において、富士フイルムとアニコム ホールディングスは両社の保有する技術・製品・データを融合し、再生医療・細胞治療を中心とした先端医療技術およびサービスの開発・提供を目的として、2016年4月にセルトラスト・アニマル・セラピューティクスを設立した。

 実用化の拠点として、神奈川県横浜市に「動物再生医療センター病院」を2016年10月に開設。先端医療技術の実用化にこだわり、開発から診療まで、ソリューション提供、医療情報サービス提供といった3つの事業を通じて、新たな社会システムの開発・提供を行なう。具体的には、細胞治療などの先端医療を、一般診療における臨床獣医師の誰もが確実に実践できる社会を目指す。

 同社は獣医療での細胞治療の実用化・普及において、細胞の品質保証を最重要視し、科学的なエビデンスの構築、細胞搬送の保証、治療のトレーニング、診療データの共有活用、民間医療保険の活用などの多方面の要素が連動して機能する「新たな社会システム」の構築を標榜。

 この一環として、1)治療に使用する細胞の培養、品質保証体制の構築、2)細胞の品質を保ったまま搬送する技術および搬送時のトレーサビリティを担保する技術の構築、3)細胞治療を実施するためのトレーニング機会の提供、4)治療結果(診療データ)を共有し相互に活用できる具体的な仕組みの構築に取り組んでいる。

 また、実治療に関連する取り組みとしては、「イヌ脂肪由来間葉系幹細胞(cMSC: Canine MSC)」の開発が挙げられる。cMSCを用いて、乾性角結膜炎(KCS)、慢性腸症(CE)に対する実診療を開始している。また、椎間板ヘルニア、骨折、関節炎などにおいても、臨床研究を進めている。

cMSCを用いた治療としてすでに2疾患について実際の診療・治療を開始

 今後は、実用化拠点であるセンター病院で開発・実用化した技術・サービスを広く普及できるよう、新たな連携の仕組みを構築すべく関係者と協議中である。細胞治療を普及する社会システムを開発するとともに、普及促進・医療負担軽減のため、アニコム ホールディングス株式会社と恊働で新たなペット保険の開発も目指してもいる。

 代表取締役社長の牧野快彦氏は「獣医領域での直接的なパートナーとは異なると思うが、ヒト治療領域でのMSC(間葉系幹細胞;mesenchymal stem cell)の動物医療への展開や周辺技術での協業の可能性を探りたい」と述べる。

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