超重量級のレンズだが、実力は一級品
では外に出よう。外に出ようったってこの「ボケマスター」、レンズだけで約1.65kgと超重量級なので気をつけるように。レンズを支える左手がめちゃ疲れます。
ぶらぶらしていたら、とあるおうちの裏口の小さな門扉に違和感を発見。よく見ると縦格子のうち3本だけ下部がカットされてるのだ。これは猫用に違いない! そして、そこから「急に猫が来た」のである。
急に猫が出てきたのでピントが間に合わなかったのだけど、そこはご容赦を。ボケマスターを絞り開放で撮ると被写界深度がめちゃ浅いのでわずかのズレがピンボケにつながるのだ。腕が試されるレンズなのである。
出てきたのは耳がカットされてる地域猫なわけで、地域猫のために門扉がカットされているって考えづらいから、おそらく猫を飼ってるか以前飼っていたかだろうけど。で、この猫がつつつーっと移動していったのをそっと追いかけて撮ったのが冒頭写真。人なつこいようで警戒心があって、微妙な距離感の楽しい猫でありました。
このボケマスター、105mmの中望遠なんだけど、sd QuattroのようなAPS-Cサイズのカメラにつけると、157mm相当になる。ちょっと離れた猫を撮るのにちょうどいい。ちょっと離れたところに猫がちょこんと座ってたので、ギリギリの距離で撮影。この猫は近寄るそぶりをみせると逃げちゃうから。この距離でも前後がほどよくぼけて被写体がキリッと目立つのはさすがだ。
ボケが大きいと、背景がもやっとあいまいになり、メインの被写体が浮かび上がってくる。それがいいのだが、ボケ方がきたないレンズだとそれがメインの被写体を邪魔しちゃう。そういうのは「ボケがうるさい」なんていわれる。ボケ界も大変なのだ。
逆に、光源や反射など強い光はボケることで光の玉が大きくなるので、強いアクセントになる。
猫写真をネタにボケの話ばかりしてしまった。今や、たいていのスマホに背景ボカしはあるし、背景のボケを期待してデジタル一眼を買う人も多いだろうけど、ボケひとつとっても奥が深いのだ。
そんなわけで今日の最後の1枚は、「前ボケ」。当たり前だけど、背景だけじゃなくて前景もボケる。前ボケを活かせって写真の本なんかにはよく書いてある。だから思い切り前ボケをかました写真を撮ってみた。
これがなにかというと、鉄製の小さな門扉ごしに撮った猫。縦格子の門扉の情報だけ丸く空いていたので、その丸い部分に猫が入るアングルで撮った。大きくボケたことで門扉が白くふわっとフィルタのようになったのである。Photoshopでフィルターをかけたわけじゃないのだ。
「ボケマスター」はかなりハイエンドなレンズなので(それだけの描写は見せてくれるけど)、そこまでは無理って人も多いだろうけど、中望遠の明るい単焦点レンズを1本持っておくと、猫を撮るの楽しくなるのでみなさまもぜひ。
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老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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