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多拠点のリモート管理もゲストWi-Fiのキャプティブポータルも「無料」で実現? その実力を知る

TP-Linkの業務用製品は、快適な無線LAN環境をコスパ良く作れる

2018年10月30日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 コストパフォーマンスの高いネットワーク製品メーカーとして人気を集めるTP-Link。日本でも家庭向け製品でその名が知られるようになったが、実はSMB(中小規模企業)向けのネットワーク製品にもその特徴は引き継がれている。クラウド経由でのアクセスポイント一元管理、ゲストWi-Fiの簡単な構築といった、オフィスや店舗、宿泊施設、工場などの無線LAN環境で求められる機能も、安価な製品/サービス群で実現しているのだ。

 今回はTP-Linkのラインアップから代表的なSMB向け製品/サービスを取り上げ、その実力をご紹介していこう。

Omadaシリーズの天井取付型無線LANアクセスポイント「Omada EAP245」

11ac/MU-MIMO対応のオフィス向け無線LAN AP「Omada EAP245」

 TP-Linkの「Omadaシリーズ」は、企業オフィスや店舗、宿泊施設、商業ビルなどに適したSMB向けの無線LAN製品群だ。無線LANアクセスポイント(AP)をはじめ、APを統合管理する無線LANコントローラー(ソフトウェア/ハードウェア)、外出先や遠隔地から無線LAN環境の状態を監視/コントロールできるクラウドサービスがラインアップされている。

 SMBでの業務利用に十分な性能と機能を持つにもかかわらず、どの製品も参考価格で1~2万円台、さらに統合管理ソフトウェアやクラウドサービスは「無料」というコストパフォーマンスの良さが特徴だ。以下、代表的な製品を順に紹介していこう。

TP-Linkのビジネス無線LAN製品「Omadaシリーズ」のラインアップ

本稿で紹介する製品 参考価格(税込)
Omada EAP245 無線LAN AP 2万1000円
Omadaソフトウェアコントローラー 無 料
OmadaクラウドコントローラーOC200 1万7900円
Omada Cloudサービス 無 料
CPE510 屋外向け無線LAN AP 1万3300円
T1500G-10MPS PoE+8ポート
スマートスイッチ
2万1000円

 Omadaシリーズでは屋内用と屋外用の無線LAN APをラインアップしている。代表製品である「Omada EAP245」は屋内用で、天井取付型のモデルだ。参考価格(税込)は2万1000円である。

 EAP245はアンテナ内蔵、薄型のすっきりしたデザインで、オフィスはもちろん、店舗やホテルといった人目に付きやすい場所でも設置しやすい。「JetStream T1500G-10MPS」などのPoE/PoE+スイッチと一緒に導入すれば、設置場所への電源敷設工事も不要となり、Ethernetケーブル1本だけですっきりと設置できる。

 無線LAN APとしての基本性能は、2.4GHz/5GHz帯のデュアルバンド対応で3×3 MIMO、スループットは理論値で最大1750Mbps(450Mbps+1300Mbps)となっている。本体裏面には2つのギガビットEthernetポートを備えており、1つがPoE受電(IEEE 802.3af/at)対応Ethernetポート、もう1つはブリッジポートである。PoEスイッチがない環境向けに、電源アダプタ(PoEインジェクター)も標準で付属する。

EAP245の本体は薄型。背面にはPoE受電対応ポートとブリッジポートを備える

 近ごろのオフィスでは、PCやスマートフォン、タブレットなど多数のクライアント端末が同時接続するようになった影響で、無線LAN接続が切れやすい、通信が遅いといった問題が生じがちになっている。EAP245では802.11ac Wave 2の「MU-MIMO(Multi-User MIMO)」をはじめ、ビームフォーミング、バンドステアリングといった無線技術を搭載しており、オフィス内の無線LAN環境を快適なものにしてくれるはずだ。

 そのほかEAP245は、マルチSSID、タグVLAN、QoS、スケジュール式の電源管理/再起動など、SMB向けの業務用無線LAN APとして必要十分な機能を備えている。

無料のソフトウェアで複数台のEAPをまとめて設定/管理/監視できる

 EAP245が1台だけの小さな環境ならば、Webブラウザで直接APにアクセスするか、モバイルアプリの「Omada App」を使えば設定や管理ができる。しかし、ある程度の広さがあるオフィスや店舗などでは、フロア全体をカバーするために複数台のAPを設置することになるはずだ。その場合は、1台ずつ設定していくよりも、複数台をまとめて集中管理/監視できる無線LANコントローラーを導入したほうが便利だろう。

 TP-Linkでは「Omadaソフトウェアコントローラー」という管理ソフトを無料で提供している。これをWindows(またはLinux)マシンにインストールし、起動することで、LAN内にある複数台のEAPを集中管理できるようになる。

「Omadaソフトウェアコントローラー」の状態監視(Statistics)画面

 無料とはいえ、Omadaコントローラーは十分な管理機能を備えている。複数台あるAPのSSID/パスワード一括設定、ファームウェアアップデートの一括実行、個々のEAPにドリルダウンして無線設定を細かく調整することもできる。さらに、ネットワーク全体の稼働状況やクライアントの接続状況、時間ごとのトラフィック量などの一元監視も可能だ。

 導入時の初期設定作業はとてもシンプルだ。コントローラーを起動すると、まず初期設定画面が表示されて、管理ユーザーの登録や構築する無線LANネットワークの基本設定(SSIDやパスワード)を実行するウィザードが起動する。この初期設定が済むと、同じLAN内に接続されているEAPが自動検出されてリスト表示される。各EAPに表示される「Adopt(追加)」ボタンをクリックすれば、SSIDなどの設定がEAPに自動的に適用され、無線LANネットワークが構成される。

 なお、ネットワークを追加して「ビルのフロアごと」「建物ごと」など管理しやすいよう複数のグループに分割することもできる。またOmadaコントローラーでは、同じモデルのEAPに対してまとめて最新ファームウェアへのアップデートを実行する機能もある。

Omadaコントローラーの初期設定ウィザード

自動検出されたEAPをワンクリックすれば設定が適用される

 稼働状況(Statistics)の画面では、クライアント台数と接続先SSID、各EAPへの接続台数やトラフィック量の経時推移グラフがわかりやすく表示される。ふだんはこの画面を見るだけで、どこかでEAPが停止していないか、1台のEAPにクライアント接続が集中していないか、トラフィック量のキャパシティに余裕があるかといったことが確認できる。

 Omadaコントローラーのインタフェースはわかりやすく、設定が自動化されている部分も多いので、無線LAN環境のセットアップにはさほど時間はかからないだろう。現在のところ英語表示でしか使えないのは残念だが(今後日本語化されることを期待したい)、グラフィカルなインタフェースなので迷う部分も少ないはずだ。何よりも、便利な機能を持つ集中管理/監視ソフトウェアが無料で使えるのが嬉しいポイントである。

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